朝方に夢を見た。
どこかの室内らしき場所に大勢の人がいた。
どちらかというと若い人より高齢者のほうが多く、不思議と子どもの姿はなかったが、男女とも幅広い年代で、みんなぼーっとした顔で座っていた。
最初は、私もその中で一緒に座っていたのだけど、ふと我に帰り「そうだ、こんなことしていられない。早く帰らないと、、」と思い、近くに座っていた若い男性に「今、何時ですか?」と声をかけてみた。
すると、その男性はどこから取り出したのか、手に大きな時計を持って見せてくれた。
まるで壁から外してきたのかと思うような大きな時計で、文字盤を見ると、なんとも不思議な文字盤だった。
まず時計の針がない。それから数字がたくさん書いてある。
普通は1から順番に12まで書いてあるが、数字と数字の間には、さらに数字がびっしりと書かれていて、一見すると文字盤のすべてに数字が書かれているような時計を見ながら、どうやって読むのだろうと考えたが、さっぱりわからない。
とにかく急がないといけないことだけは確かで、急いでその場から出て歩き始めた。
気がつけば、周囲には多くの人が同じ方向に向かって歩いていた。
すると、前を歩いていた白髪の髪が薄くなった高齢の男性が、歩きながら大きな声で泣き始めた。
「妻がいない。寂しい」
もしかすると、この方の奥さんは亡くなったのだろうか?
お気の毒にと思いながら進んでいくと、今度は道の両側の至る所で、お葬式をやっていた。
そこで行われているというより、お葬式をしている場面が、あちこちに見えてくるという方が正しいかもしれない。
幾つものお葬式の場面を見ながら、さらに歩いていくと、ずっと前方に背が高くてひときわ大きな男性を見つけた。
見覚えのある後ろ姿で、それは亡き父に間違いなかった。
急いでそばまで行って声をかけると、振り向いた父の顔が、あまりに若いことに驚いてしまった。
「お父さん、ずいぶん若返ったね。○○(長男の名前)とあんまり変わらないんじゃない?三十代に見える」と言ったら、父は照れくさそうに笑った。
、、、ここで目覚めた。
目覚めてからも最後に見た若くなった父の笑顔がしばらく頭から離れず、久しぶりに見た変な夢を反芻していた。
もしかすると、あれは死者の世界なのだろうか。
みんなぼーっとしていたのは、もしかして亡くなったばかりだから?
妻がいなくて寂しいと泣いていた男性は、奥さんが亡くなったのではなくて、その男性本人が亡くなっていた?
単なる夢であったが、しばし自分なりの考察をしてから、着替えて台所へ行くと、すでに夫がいた。
今見たばかりの夢の話をすると、「そうだ。今日、墓参りに行って来ないか?お盆に入ると渋滞するから」というではないか。
そうだった。もうすぐお盆だった。
一週間くらい前は覚えていたが、ここ数日忙しくてすっかり忘れていた。
明日土曜日になると、お墓周辺は渋滞で大変になる。だから行くなら今日しかない。
というわけで、ちょっと早いがお墓参りに行ってきた。
霊園周辺は、すでに混み始めていたが、まだ渋滞まではいかず大丈夫だった。
昔はお盆と言っても何も思わなかったが、今はご先祖や縁ある方々をお迎えして、久しぶりのこの世で、くつろいで行ってもらいたいと思うようになった。
ご飯を食べる時も「みなさまもどうぞご一緒に」と心の中で声をかける。
すると大勢の方が、笑顔になって一緒に食べているように思われる。
今回忘れていたが(汗)、年々お盆が楽しみになってきたのは、果たして良いことなのかどうなのかと、ちょっと複雑な気持ちにもなるのだけど。