久しぶりに行った温泉からの帰り道、カーラジオをつけたら緊迫した様子のニュースが流れてきた。
何かあったのだろうかと気になったが、電波が悪くてよく聞こえない。
夫が色々なチャンネルに合わせていたら、なんとか聴き取れるようになった。
安倍元総理、心肺停止。
驚きと共に力が抜けたような気がした。
夫も同じ気持ちだったようで、なんとか一命をとりとめてほしいと願ったが、残念ながらお亡くなりになってしまった。
心からご冥福をお祈りいたします。
その後、ニュースやネットの情報を見たりしていた夫は、珍しく沈んだ様で半日ほど黙り込んでしまった。
「ひどいな、安倍さんが気の毒だ」と夫がいうのを聞いて、少し前のことを思い出していた。
結婚して三十数年余り、なぜこんなに意見が合わないのだろうと思うほど、夫とは意見がわかれることがしばしばあった。
意見が分かれるのは、殆どが政治や社会情勢についてで、家庭内の細かい事については、だいたい意見が一致する。(だからこそ、今まで結婚生活が続いてきたのだろうけど、、、)
そして、安倍政権の時も意見が分かれた。
どちらかといえば安倍政権を支持していた私と、アンチ安倍さんだった夫。
あの時は政治のことが話題になると、必ず喧嘩になるので、できるだけその話題は避けるようにしていたが、心の中はモヤモヤ、ムカムカすることが多かった。
だから、今回の事件を聞いての夫の反応が意外に思えたが、これも夫の元々の気質が優しいからだと思う。(のろけているわけではありませんが、、)
よく言われることだが、結婚して楽しいのは、せいぜい三年くらい。あとは(お互いに)忍耐あるのみというのは、その通りだと思う。
夫婦二人の関係もさる事ながら、結婚は互いの親族も関わってくる。
それは、まさに人生の修行のようなものだと気づいたのは、夫の両親との同居が始まった頃からかもしれない。
早々に見切りをつけて結婚という修行から別の修行に移るのも個人の自由、そのまま修行を続けるのも自由であるが、私は後者を選んだ。
そして過ぎてみれば、結婚とはお互いのデコボコした心の角を取る修行ではなかったかと思う。
もちろん、最初からデコボコがない夫婦もいるでしょうが、私たちにはデコボコがあった。
それをお互いに丸く丸くする作業は、時には口喧嘩になったり、しばらく口をきかないことがあったりと、精神的にきつい作業だった。
たまに同じ考えの人と結婚したら、さぞかし楽だっただろうなと思うこともあったが、やはり私の成長に必要な人だったから、惹かれ合って結婚したのだろうと思う。
最近、夫の定年で、また二人で過ごす時間が長くなったが、過ぎてみれば、やっぱりこの人と結婚して良かったと思う。(お互いに少し角は取れたかな?)
とはいえ、意見の不一致はいまだ解消された訳ではない。
しかし、長い結婚生活で一つの教訓を学んだ。
「家庭に政治、宗教の話は持ち込まない」
今はよほどのことがない限り、その類いの話はしない。
それが我が家の夫婦円満の秘訣かもしれない(笑)