箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

授業は先生と生徒のコラボレーション

2019年07月20日 08時39分00秒 | 教育・子育てあれこれ
 
 
 
 
 
私は、「教育専門員」として、各中学校を回り授業を参観して、先生を指導するこの1学期を通して、感じたことがいろいろありました。 
 
そのうちの一つが、中学生の授業中での元気よさです。 
 
中学生になると、あまり授業中に手を挙げて、発表したり発言したりしない生徒が多くなる。
 
 そのような印象をお持ちのかたも多いと思います。 
 
失敗するのがイヤだから、チャレンジしない。手を挙げて間違うくらいなら最初から手を挙げない方がマシ。 
 
こんな中学生の心理はわからなくもありません。 
 
しかし、私が参観したある中学校の若い先生の授業はちがっていました。 
 
中学3年生の英語の授業でしたが、先生の質問に対して、まっすぐ上に手を挙げる子がたくさんいる授業でした。
 
なかには、まちがえることもありました。でも、まちがえても、その子たちは恥ずかしがったりしない態度で、また次も手を挙げていました。 
 
私は感心しました。 それと同時に思い出した言葉がありました。 
 
それは「失敗とは転ぶことではなく、そのまま起き上がらないことだ です。
 
この言葉は、カナダの女優でサイレント映画時代に活躍したメアリー・ピックフォード(1979年没)が言ったものです。 
 
ところで、水を差すようですが、生徒たちが手を挙げるのには、なにかからくりがあるのでないかと思う人もいるでしょう。 
 
じつは、たしかに、手を挙げて発表した子には、その場で先生はシールを配ります。 生徒たちはシールをもらうと、台紙に大事そうに貼っていました。
 
このシールは、いつもはALTが配っているのですが、この日は休みでその英語の先生が配っていました。
 
なんだ、シールが欲しくて手を挙げるのか。
 
こう感じる人もいるでしょう。でも、3年生にもなると、中学生はシール欲しさを動機にできるほど幼くはありません。 
 
ただ、私はそのあと、もう一つ気づいたことがありました。 
 
その授業の最後には、先生がプリントを生徒に一人30枚ぐらい配ろうとしました。 
 
そのとき、「先生、手伝おうか?」と言って、前に数名の生徒が出てきて配り始めたのでした。 
 
そこで、私は納得しました。
 
生徒たちは先生のことが好きなのです。だから、手を挙げて答えるのです。 
 
英語を得意としない少人数授業の「基礎コース」のクラスでしたが、生徒たちは大きな声で英文を一生懸命リーディングしていました。 
 
先生のことが好きな生徒たちは、学習の意欲が高くなりますし、かりに失敗して転んでも起き上がってきます。 
 
授業は教師と生徒が協働でつくるコラボレーションなのです。 このことを、あらためて感じた授業でした。