中学校では、今年の4月から道徳の授業が教科として始まっています。
教科ですから、生徒の学習の結果が「評価」となって表されます。
ただし、道徳性というものは、生徒の心のようすや変化・成長をはかるので、他教科のように1~5という、数字での評定にはなじまない面があります。
そこで、文章の表記で表すことになっています。
ところで、道徳性とは広くとらえると、その生徒の徳性であり、大人になれば人徳という言葉がよく使われます。
人徳について『源平盛衰記』には、次の言葉が書かれています。
徳を以て人に勝つものは栄え、力を以て人に勝つものは亡ぶ。
源氏と平氏の隆盛に、この原則が如実にあらわれたことを通して、この教訓が示されています。
卒業生が、卒業式の最後で「〇〇先生、3年間ありがとうございました」と感謝の言葉を述べて、式場を退場していきました。
私は担任に、「きっと担任の恩を感じた、感謝の言葉だったのです。担任の人徳があればこそだね」と言いました。
人は、何かを言われたり、指示されたりするときに、力や強制を感じるときには反発します。
しかし人徳でもってかかわりをもとうとしている人には共感します。
「道徳の時間」は、生徒に対して、人徳でもって行動できる人になってほしいという願いが込められています。