年明けに、私の主任だったキャラが無事に昇格を遂げ他の部署へと異動した。
その後任として任命されたのがブラッドという若い男の子。
彼は若いくせにどこか中年みたいな落ち着きをもっており、高学歴でさすが賢い。
大学院を卒業してすぐ私の勤める会社へ雇用されて、最初は私よりもお給料が低いポジションから始めたのに
あれよあれよと言う間に、どんどん昇格していって
今までは『同僚』だったのが、あっという間に『上司』になってしまった。
キャラがものすごいやり手の主任だったので、彼女の後継人はきっと苦労するよと誰もが言い、
この私も彼が上司で大丈夫なんだろうかと不安を覚えたぐらいである。
彼が上司になってから数週間がたった。
今のところ目立った問題も起きていないし、同僚からも文句を聞くことはないが
私たちの間でどんどん芽生えてきていることがある。
それは、「彼に聞いてもちゃんとした答えがないから自分らで解決せんとね」という、
一種のあきらめに似た自立心だった。
確かにこの時点で私らが彼に聞くことよりも、彼が私らに聞いてくることの方が確実に多いのである。
『あーあ。行く先、なんか不安だよねー』という声も聞こえるようになった。
だけど私は知ってる。
ある日、彼のキューブに呼ばれて、いろんなデータの管理ファイルのマッピングを教えていたんだが
彼のノートを垣間見て、はっとした。
もうぎっしりと文字が書かれてる。
彼は高学歴だけど、もしかしたらすごい努力をして勉強をして学歴をつかんだのではないかと思われる。
とても腰が低く、質問をするたびに『仕事中、じゃまして悪いんだけど...』って言う。
今日は私は海外事業部の方のシステムメンテでデータ室の出入りが多かったのだが、
一応私の居場所を教えといたほうがいい(ケイエスが勝手に消えたと思われても嫌だし)と思い、その旨を伝えたら
『もし迷惑でなければ、それがどんなシステムなのかちょっと見てみてもいいかな...』と言ってきた。
今までキャラでさえもこのシステムに興味を覚えたことがなかったので、びっくりした。
「興味があるなら連れてってあげるよ」と言って、彼をデータ室に案内したら
私が作業する片隅でじっとそのシステムを見ていた。
父親が木工作業するそばで、黙ってその様子をみる息子のようである。
「新しい仕事、慣れた?」って聞いたら『ここまで大変だとは思ってなかったよ。』と言っていた。
「まあ、キャラが24/7(年中無休)みたいな人だったからねー。」
私は笑ってそう言ったけど、なんか彼もキャラには負けないぐらい頑張る人だと思ったのよね。
頑張る人の足跡っていうのかね。
そういうのが、見えるのよ。
みんな自分の足がおぼつかなくて不安になるけど、ちゃんと、歩いてんだなーって
なんか、保護者みたいなまなざしで彼を応援した昼下がりでした。
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フリちゃん、こっちに爆弾低気圧来なくてよかったねー
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こないだやっと月末レポート終えたのに、また次のが来るんですよ。
早すぎ...(涙)
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いつもありがとう。