鼎子堂(Teishi-Do)

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『表裏源内蛙合戦』③・番外編

2008-11-24 21:02:44 | Weblog
勤労感謝の日の振替休日ですが、今日は、出勤。
朝は、晴れていたのに、時間を追うごとに雲が空を覆って、今、激しい雨。

土曜日から二夜にわたって、『表裏源内蛙合戦』の劇評を書いてきたけれど、今宵は、番外編。

『表裏源内蛙合戦』の作者・井上ひさしさんについて。

この方の著作は、せいぜい二、三冊程度しか読んだ事がないし、戯曲も、やはり、ニ、三本しか観ていない。
『頭痛・肩こり・樋口一葉』、『きらめく星座』、『箱根強羅ホテル』くらいである。

昭和初期のお生まれだったと思うけれど、そのせいか、戦争をテーマにした作品も多いような気もするし、最初は、ユーモア小説を書かれていたように記憶している。
中学生の時、友達から拝借して読んだ『ブンとフン』とか、中学生でも充分その楽しさを堪能できた。

そんな作風が、少しづつ変わっていかれて、ピカレスク・ロマン・・・というか、『天保十二年のシェイクスピア』、『薮原検校』そして、今回の『表裏源内蛙合戦』といった、いままでの暖かな人間ドラマ、或いは、ユーモアあふれる作品とは、全く違う、正反対とも思える作品を、上梓されるようになっているのに、少しばかり、驚きを隠せずにいる。
(それとも、ピカレスク・ロマンを書かれているのを、ワタシが知らなかっただけなのか・・・)

作者ご自身、東北のお生まれで、東北色の強い作品になったりするのだろうか・・・とも思う。
たとえば、東北の飢饉だとか、一揆だとか、飢饉による一家救済のために、娘を吉原に売るとか・・・。
重いテーマである。
戦争ものもそうだけれど・・・『箱根強羅ホテル』あたりは、悲惨なイメージは、まるでなくて、戦時中だというのに、豪華で、豊かな西洋風のホテルが舞台だったのだけれど。
内野聖陽さん演じるの『狂気のシゲルちゃん』が忘れられない。

あまり詳しくは、存じ上げないので、或いは、記憶違いかもしれないけれど、井上さんは、東北のキリスト教系(・・・違うかも・・・???)の孤児院で、育てられた・・・と伺ったような記憶がある。

そんなバックボーンが、ユーモアからピカレスクまで、多彩な世界を構築されているのか・・・とも思う。
モノを書くということは、そういう事かもしれない・・・。
殆どが、想像の産物かもしれないけれど、これまで生きて体験したことが、作品に重要な何か・・・をもたらすのかも・・・。