鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『MIWA』

2013-10-13 01:03:35 | Weblog

昨日(10月12日)は、夕刻から、東京芸術劇場へ、『MIWA』を観劇に。

美輪明宏さんの半生を、野田秀樹さんの脚本・演出、女優の宮沢りえさんが、演じるというので、拝見させていただいた。

たぶん、美輪明宏さんを語るのに、ジェンダーを避けては通れないだろう。
同性愛者ということで、差別が横行していた太平洋戦争前・戦後。
英国などでは、発覚すれば、犯罪となる同性愛者。
日本では、比較的緩いような・・・見て見ぬふりをするというか・・・江戸期にも、衆道の契りなんてのがあったから、そうでもないのか・・・というのは、たぶん、大正期くらいまでだろうか?
その後は、開戦に向けて一直線。
ヒト・モノ・カネ(そして、今は情報)のヒトをとにかく増やさなければならないから、同性愛は、犯罪として、取り締まる・・・。
そんな背景の中、時代の異端児・シスターボーイのヒトとして生まれる前から、物語は始まる。

MIWAの片割れのアンドロギュノス(安藤牛乳)役の古田新太さん。
相変らずの怪優ぶりを発揮する。
宮沢さんの美に対して、古田さんの醜。

三島由紀夫とオスカー・ワイルドを、モデルとしているのだろうオスカワアイドル役に野田秀樹さん。こちらも矛盾を孕みながら、共存し、物語を牽引していく。
トロイア戦争、カッサンドラの予言と時代を無視したパラレルワールドが展開するのは、いつものパターンか・・・。
敵国の神であるキリストを隠れて信仰し、護り続けた長崎の地に落される原爆。
原爆を落としたのは、神様の国の人間。矛盾と不条理が、交差する。
このあたりは、パンドラの鐘(2000年)の演出を踏襲しているかのようだ。
美輪さんも野田さんも長崎出身ということだから、思い入れが深いのかもしれない。

赤木圭一郎がモデルなのだろう赤絃繋一郎役に瑛太さん。
その妹(マリア・MIAWAの3人の母親役)を演じるのが、井上真央さん。兄によせる禁断の愛で、MIWAと縺れていく。

様々な世間的には、許されぬ愛の形をカレイドスコープのように展開していくのだけれど、上演時間の関係なのか・・・セリフが早すぎる。
野田秀樹さんの演出には、ありがちだけれど、観客(私だけかもしれないが)が、戸惑う。