ほぼ猛暑日。
本日は、ひとり映画。
1971年公開の『ベニスに死す』のリバイバル上映。
この映画は、ず~っと見たいと思っていたけれど、縁が、なかったというか・・・。
イタリアの巨匠・ルキノ・ヴィスコンティの代表作。
マーラーのアダージェットが、全編に流れ、ベネチアの風景が、なんと美しいことよ。
特に、ロングのシーンが、圧巻の美しさ。
そして、セリフが殆どないのに、そのヴィジュアルだけで、2時間11分。
主人公である老残の作曲家がみた・・・最後の輝き。
『ベニスに死す』予告編
時の流れってなんて残酷なの!
でも、タジオ=ビョルン・アンドレセンの驚異的な美貌は、フィルムの中で、永遠に生きるのね。
この一作で、彼は、美神となった。
そう・・・努力なんて、美神の前では、なんのチカラもない。
タジオ=ビョルン・アンドレセンは、この映画のために存在し・・・現在は、老残である・・・映画の中の作曲家・アッシェンバッハのように。
暗示的です。
この映像の美神の対極にあるのが、生きる屍のアッシェンバッハを演じるダーク・ボガートの気持ちの悪い醜さ。
美少年に虜にされた憐れな残骸。
醜い化粧と薄紅色の薔薇の花、白いスーツ・・・水の都に襲い掛かる疫病・コレラ。
ご本人もゲイであるルキノ・ヴィスコンティの映像に登場する数々の美青年俳優の中でも、ビョルン・アンドレセンは、抜きんでた美しさ。
少年の蠱惑的な笑みも、全て、アッシェンバッハの頭の中の出来事・・・なんだろう。
タジオは、アッシェンバッバなど・・・多分、意識の片隅にも・・・ないハズで。
ヴィスコンティ・・・他の作品もリバイバルしてくれないかな・・・。