鼎子堂(Teishi-Do)

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『土を喰う日々:水上勉・著』

2015-06-07 23:01:00 | Weblog

終日、くもりがち。雨期近し・・・。

手許不如意で、収入がないから、本も自由に買えない。
自由に買えないから、これまで、購入して、未読のものを読んでいる。

・・・それが、結構、あるんですよねぇ。最後まで読了していない本って・・・。

そんな1冊が、今日のお題。

原発、鼻血描写で、休刊に追い込まれたグルメ?漫画『美味しんぼ』の初期の頃、この『土を喰う日々』が取り上げられていたので、購入したけれど、今まで、読まずにいて、たぶん、家人に貸してそのままになっていたのだと思う。
家人は、水上勉さんを、よく読んでいたようだった。
同じ著作者の『精進百撰』の中にも、『美味しんぼ』で取り上げられたことが記載されていた。
それで、一時絶版だったこの『土を喰う日々』が、クローズアップされて、再版の運びとなったようだ・・・と著者の水上氏は、書いている。

禅寺の精進料理は、正に、精進で、僅かな根っこも大切に食べるとのこと。
御馳走とは、おもてなし(・・・東京オリンピック??誘致だったか・・・そのときのキーワードになって以来、なんだか、安っぽくなってしまった単語ですね・・・この、お・も・て・な・し・・・って。以前の拙ブログにも書いたかもしれないけれど・・・)を、するために、馳(は)せ、走り回ること・・・。
手を加え、美味しい料理を作る・・・12ヶ月、四季折々の著者自慢の精進料理の本である。
小学生の頃、京都の禅寺で、生活することになった著者が、典座修行をしたいきさつ、お寺を脱走し、その後、還俗して、作家になったことなども書かれている。
50歳代の著者の写真などが満載で・・・ああ・・・このひとは、美男だったのだな・・・と思う。
チェリストの溝口肇さんにチョット似ていたように思う。

『またお客さんが来やはった。こんな寒い日は、畑に相談してもみんな寝てるやもしらんが、二・三種類考えてみてくれ。』

老師が、禅寺に預けられた子供時代の著者に言う。

こんな経歴からは、想像しがたいが、婚姻・離婚を繰り返したり、私生活では、禅寺の出身とは、ちょっと想像し難いひとのようである。

昨今、主婦の料理は、手を掛けずとも、それなりの味になるような品々が売られているし、勤めを持つ女性(男性でも)、悠長にゴマなんか摺っていられない時代の・・・たぶん、ものすごく贅沢なメニュー集(いや、献立集と書くべきなのか・・・)なのだろうなあ・・・と改めて思う。



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