【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

季語で一句12

2020年11月03日 23時20分00秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

 

〜季語で一句12〜

 

◆『くまがわ春秋』11月号が発行されました。

◆「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。

( info@hitoyoshi.co.jp ☎0966-23-3759 )

 

「くまがわ春秋」

【季語で一句】11月号(R2)

永田満徳選評・野島正則季語説明

 

【季語で一句】(R2・11月号)

添水(そうず《そふづ》) 「秋-生活」の季語

〔特選〕

ばつたんこむかし話はいま佳境   山野邉茂

 ※本来の「ばつたんこ」で、民話の得意な話し手が「佳境」で間を置いたときに、「ばつたんこ」の音が耳に入って、我に返った瞬間を詠んだものだろう。熱心に「むかし話」に聞き入る人を捉えた句である。

基本季語=添水(そうず《そふづ》)

季語の説明=「添水」の語源は「僧都(そうず)」「案山子(そおず)」からともいわれ、本来の用途は田畑を荒らす鳥獣を音で脅す仕掛けで、流水を竹筒に導き、水がたまると筒が傾いて水が流れ出し、跳ね返るときに、竹筒が石を打って音を出すようにしたもの。現代では、庭園などに設けられ、その音を楽しむようになっている。

 

 

萩(はぎ) 「秋-植物」の季語

〔特選〕

乱れ萩蔵に古銭と日本刀  中野千秋

※「萩」は「たをやか」「なよなよ」とした感じで、古風な風情がある。掲句は「萩」の風情と土蔵との取合せによって、古きものをよく守っている慎ましやかな旧家の佇まいを描き出しているところがよい。

基本季語= 萩(はぎ)

季語の説明=「萩」は国字のひとつで、秋の七草で最初に出てくる。語源には「生え芽」=ハギ説と「枝を箒にする」=掃く説とがある。昔から花の揺れる姿、散りこぼれるさまが愛され、万葉集は萩の花の歌が一番多い。萩の花のモチーフは、襖絵・日本画・着物に取り入れられ、萩は和を表現するのに欠かせない植物である。

 

 

コスモス  「秋-植物」の季語

〔特選〕

コスモスや児童ら囲むお巡りさん   工藤雅典

※公園を巡回中の「お巡りさん」がもの珍しく、幼稚園の「児童ら」が取り囲んでいる光景。無邪気な「児童ら」の行動と可憐な「コスモス」との取合せによって、好ましい場面がうまく切り取られている。

基本季語=コスモス

③季語の説明=「コスモス」(秋桜)は秋の花として有名。キク科・コスモス属に分類される一年草の総称で、花色は様々で、ピンク、白、赤が一般的である。日本にもたらされたのは明治時代で、「秋に咲く桜」という意味で「アキザクラ(秋桜)」という名前になったとされる。繁殖力が旺盛で、日本の秋景色にすっかり馴染んでいる。

 



 

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