第二句集『肥後の城』上梓!
〜9月27日発行予定〜
・第二句集『肥後の城』
・永田満徳(ながた みつのり)
・文學の森
※Amazonにて購入可能
【自薦十五句】
阿蘇越ゆる春満月を迎へけり
この町を支へし瓦礫冴返る
さへづりのつぶだちてくる力石
曲りても曲りても花肥後の城
こんなにもおにぎり丸し春の地震
本震のあとの空白夏つばめ
骨といふ骨の響くや朱夏の地震
水俣やただあをあをと初夏の海
一夜にて全市水没梅雨激し
大鯰口よりおうと浮かびけり
半球はつかめぬかたち天道虫
不知火や太古の船の見えてきし
天草のとろりと暮れぬ濁り酒
大鷲の風を呼び込み飛びたてり
巌一つ寒満月を繋ぎ止む
※地震=なゐ
【帯文】
奥坂まや
阿蘇越ゆる春満月を迎へけり
永田満徳さんは熱情の人だ。 その熱情は、生涯の道として邁進する文学に対しても、自然も人情もおおらかな家郷に対しても、力強く燃え上がっている。
満徳さんの愛してやまない肥後の雄大な天地は、近年、地震と水害という災厄に見舞われた。この句集は、傷ついた故山に捧げる、ひたむきな思いの披瀝に他ならない。
【あとがき(『肥後の城』冒頭抜粋)】
平成二十八年四月十四日夜と十六日の未明に、最大震度七を観測する地震が発生した。多数の家屋倒壊や地盤沈下など、熊本県内に甚大な被害をもたらし、「平成二十八年(2016年)熊本地震」と命名された。熊本城は至る所で石垣が崩れ、天守閣の鯱も落下した。熊本のシンボルである熊本城の崩壊は目を覆うばかりで、図らずも涙がこぼれた。
令和二年七月四日、未明から朝にかけて、熊本県南部を集中豪雨が襲い、球磨川が氾濫し、土砂崩れや浸水被害が多数発生した。人吉市は、市街地を中心に広範囲にわたって浸水や冠水が発生した。一夜明けた五日、高校卒業まで過ごし、見慣れていた市内の景観は一変していた。故郷を離れて、四十数年経っても、人吉の惨状は他人事ではなかった。 震災は句集『肥後の城』の成立に大きな影響を与えた。熊本城を悼む気持を句集の題にして、熊本地震の句を起承転結の〈転〉の部分に当てるつもりで編集を進めていたところ、人吉で大水害が起こり、奇しくも二つの大災害を悼む句集になった。
本書は第二句集である。平成二十四年より令和二年までの八年間の句の中から、三百三十句を収めた。平成二十四年発行の第一句集『寒祭』が二十五年間の句業を纏め、終生の句集という思いで刊行したのに比して、短期間の句業を収めることとなった。八年間で五千句以上の俳句を残せたのは、「俳句大学」を拠点とした俳句活動の進展によるところが大きい。
【画像】 上段・「肥後の城』カバー 下段右・扉 下段左・表紙(案)