俳句大学国際俳句学部よりお知らせ【国際俳句の取り組み】!
〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2022年8月号〜
◆俳句総合誌『俳句界』2022年8月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】、2022年6月には【冬・新年】を出版しました。「HAIKU」6号と「歳時記」春・冬・新年は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
The August issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the August issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
Août aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L Août de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】
(Facebook「Haiku Column」より)
Angela Giordano(Italy)
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poppy -
macchie di sangue sulle mani dei combattenti
papaveri-
bloodstains on the fighters' hands
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
The daisy is an annual plant of the poppy family native to Europe. It is simply called poppy, including other poppy plants. With 'sleep' in the language of flowers, the 'poppies' clasped in the hands of Ukrainian war dead are a wish for repose in death. The contrast between the redness of the 'blood' and the whiteness of the 'poppies' appeals to the ruthlessness of the battlefield and is sympathetic.
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
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ポピー咲く戦士の手には血の汚れ
〔永田満徳評〕
ヒナゲシはヨーロッパ原産のケシ科の一年草。他のケシ科の植物も含めて単にポピーという。花言葉に「眠り」があることから、ウクライナの戦死者の手に握りしめられた「ポピー」には死の安息への願いが込められている。「血」の赤さと「ポピー」の白さとを対比することによって、戦場の非情さを訴えていて、共感できる。
Patric Sompru(France)
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vacances d’été
50,000 obus par jour
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Les vacances d'été en Ukraine durent trois mois, de juin à août. Selon le ministère ukrainien de la défense, le 10 juin (heure locale), les troupes russes tiraient environ 60,000 obus et roquettes par jour. J'aime le fait que le film exprime fortement le sentiment anti-guerre en découpant le quotidien d'un enfant ukrainien, dont la vie est en danger, non pas le temps de vacances, mais pas un seul jour de tranquillité d'esprit.
パトリック ソンプル(フランス)
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砲撃は一日五万夏休み 美音
〔永田満徳評〕
ウクライナの夏休みは6~8月の3ヶ月間。ウクライナ国防省の発表によると、6月10日(現地時間)、ロシア軍は1日約6万発の砲弾とロケットを撃っているという。休暇どころでなく、心休まる日は一日たりともない。命の危機にさらされているウクライナの子どもの日常を切り取って、反戦の気持を強く表しているところがいい。
Nuky Kristijno(Indonesia)
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blue sky of Ukraine
children on wreck of a war tank
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
The number of Russian tanks destroyed since the start of the invasion of Ukraine is said to number in the hundreds. The scene is of children jumping on and off the wreckage of tanks left behind in a city reduced to rubble under a blue sky. By depicting the innocent play of a child who does not know the cruelty of war, this haiku captures the essence of war.
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
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ウクライナ破損戦車に子ども達
〔永田満徳評〕
ウクライナ侵攻の開始以降、破壊されたロシア軍の戦車は数百台に上るという。あくまでも青い空のもと、瓦礫と化した街に取り残された戦車の残骸に子どもが飛び乗ったり、飛び降りたりしている情景であろう。戦争の残酷さを知らない子どもの無邪気な遊びを詠むことによって、かえって戦争の本質を捉えた句である。
【今月の季語(Kigo of this month】
(Facebook「Haiku Column」より)
【 初夏 はつなつ hatsunatsu / beginning of summer / début de l’été 】
Mafizuddin Chowdhury(India)
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beginning of summer
her old scooty with new tires
マフィズディン チュードハリ(インド)
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スクーターのタイヤを替へて夏初め
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Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
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début de l'été ~
toutes les peaux sont claires la plage
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
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初夏や砂浜の肌皆白く
【 夕凪 ゆうなぎ yuunagi / quiet evening sea / mer calme du soir 】
Ariani Yuhana(Indonesia)
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quiet evening sea
fisherman' sons pick fishes from net
アリアニ ユハナ(インドネシア)
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夕凪や魚網の魚を子が拾ふ
※
Kim Olmtak Gomes(Holland)
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quiet evening sea
grandmother rocking in her chair
キム オルムタック ゴメス(オランダ)
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夕凪や揺り椅子に居るおばあちゃん
【 ハンモック はんもっく hanmokku / hammock / hamac 】
Paul Callus(Marta)
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lying on the hammock at night -
shooting stars show for free
ポール カルス(マルタ)
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流星の無料のショーやハンモック
Sylvie Theraulaz(France)
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hamac -
les nuages bercés
シルビー テロラズ(フランス)
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ハンモック雲に揺らされゐたりけり
【 螢 ほたる hotaru / firefly / luciole 】
Kim Olmtak Gomes(Holland)
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luminescence in my heart
my eye catches a firefly
キム オルムタック ゴメス(オランダ)
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ほうたるや心の中にある光
Veronika Zora Novak(Canada)
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even with my eyes closed...
fireflies
ヴェロニカ ゾラ ノヴァック(カナダ)
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目を閉ぢて眼裏を舞ふ螢かな
【 薔薇 ばら bara / rose / rose, rosier 】
Ariani Yuhana(Indonesia)
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rose petals
seven months pregnant sister takes a bath
アリアニ ユハナ(インドネシア)
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薔薇風呂へ入り妊娠七カ月
※
Anna Rimondi(Italy)
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resta soltanto l'impronta sul cuscino-
sboccia una rosa
アンナ リモンディ(イタリア)
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枕辺の君の痕跡薔薇開く
【 青林檎 あおりんご aoringo / green apple / pomme verte 】
Rina Darsa(Indonesia)
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green apple
a kiss on baby's cheek
リナ ダルサ(インドネシア)
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青林檎赤子の頬にキスをして
Francesco Palladino(Italy)
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son rire
le son croustillant d'une pomme
フランシスコ パラディノ(イタリア)
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青林檎齧りて君の笑まひかな
【 紫陽花 あじさい ajisai / hydrangea / hortensia 】
Thuillier Françoise(France)
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de ma naissance à sa mort ce ciel qu'elle portait –
cet hortensia
チュイリエ フランソワーズ(フランス)
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今生の空持ち上ぐる濃紫陽花
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Iwan Setiawan(Indonesia)
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blue hydrangea
when blue is blue
イワン セチワン(インドネシア)
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青といふ青を極めて濃紫陽花
【 ラベンダー らべんだー ravenda- / lavender / lavande 】
Angela Giordano(Italy)
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grandma's house...
bunches of lavender inside the wardrobe
casa di nonna...
mazzetti di lavanda dentro l'armadio
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
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祖母の家ワードローブにラベンダー
Anne-Marie Joubert-Gaillard(France)
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lavande -
dans les draps parfumés sommeil du juste
アンヌ-マリー ジュベール-ガヤール(フランス)
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香りたるシーツに眠るラベンダー