【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

インターネット時代の「句会」(句座)

2021年10月07日 14時55分04秒 | 月刊「俳句四季」

「俳句四季」(Haiku Suki )9月号

 

〜「忙中閑談」掲載〜

 

◆ 「俳句四季」(Haiku Suki )9月号(2021年の執筆した「インターネット時代の「句会(句座)」と題した「忙中閑談」を執筆しました。

◆そこで、私は「インターネット時代の到来は、新たな俳句活動の場、つまり「句会」(句座)の創出として歓迎すべきではないか。」として、コロナ禍にあって、俳句の将来が明るいことを述べています。

◆折りしも、「俳句四季」9月号の編集室では「俳句の世界は元気だ。」(洋)と書かれています。

◆お読み頂ければ幸いです。

 

【忙中閑談】

インターネット時代の「句会」(句座)

永田満徳

 

俳諧連歌が成立した室町時代末期より、俳諧の発句を芸術の域に高めた芭蕉による蕉風俳諧、正岡子規による近代俳句改革を経て、今日、俳句の歴史はおよそ五百年を閲(けみ)している。そして、今や、俳句は、世界に開かれたインターネット時代を迎えて大きな転換期を迎えている。

折しも、去年、今年と、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、三密を回避せよとの警告を受け、人との関わりを遮断することになったことは、俳句研鑽の場である句会の消滅に関わる、極めて重大な事態である。しかし、句会の喪失を嘆き悲しんでばかりでは俳句の将来はない。そこで、その多くは、リモートやインターネット、夏雲システム(オンライン)を使った俳句活動に移っている。

インターネット時代の到来は、新たな俳句活動の場、つまり「句会」(句座)の創出として歓迎すべきではないか。

もともと、俳句大学は発足当時から、今の時代は「一個人がインターネットによって全世界に自らの俳句を発表できる時代」(「学長挨拶」俳句大HP)との認識に立って、インターネット時代の俳句の可能性を探ることを目的に設立した。Facebookやネットが俳句大学の活動の拠点であったことから、コロナ禍の影響がないとは言わないまでも、より活発に活動している。

具体的には、俳句大学ではインターネットの「俳句大学ネット句会」、あるいはFacebookグループ「俳句大学投句欄」における、①講師による「一日一句鑑賞」、②会員による「一日一句互選」、③特別企画の「写真で一句」、またはオンラインによる、①第一・二・三週末の「席題で一句」、②第四週の「テーマで一句」、さらにFacebookグループ「俳句大学初心者教室」など、インターネットを積極的に使った俳句を展開している。

令和二年八月発行の機関誌「俳句大学」第四号は、その俳句大学が運営するネット句会、Facebookの活動は無論のこと、国際俳句のFacebookグループ「「Haiku Column」のHAIKU、中国圏のFacebookグループ「華文俳句社」の華文俳句などを掲載し、ネット上の俳句活動の模索から定着に移行しつつある俳句大学の取り組みを明らかにすることを目的に編集し、二〇〇ページに近い俳句誌になった。

さて、俳句大学国際俳句学部では、国際俳句交流の場を提供するFacebook「Haiku Column」を立ち上げ、私は代表として、また、向瀬美音氏は主宰として「Haiku Column」を管理している。現在、メンバーは二三〇〇人を越え、一日の投句数も二〇〇句に及ぶ。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その人道主義的スタンスが支持されており、HAIKUによる国際文化交流が国際平和に繋がることを痛感している。

これらの国際俳句の試みは、向瀬美音氏を発行人とする機関誌『HAIKU』のVol.1からVol.6で紹介し、二〇二〇年八月一日に朔出版から出版したVol.5では、一五〇人が参加して、総ページ数は五五〇ページを越える。また、「「Haiku Column」の秀句は、「俳句界」には二〇一九年の一月号から〈monthly excellent Haikus〉〈Kigo of this month〉と題して毎月連載している。「俳句四季」には同じ年の3月号から一年間、〈Today's KIGO〉の題で、春夏秋冬の順に連載した。

今後ますます、瞬時にして広範な俳句活動のできるインターネットの利点をどう生かすかが試されるであろう。俳句大学は、インターネットにおける「句会」(句座)という場の積極的活用によって、国内の俳句活動を始めとして、海外の俳人との交流を深め、真の「俳句(Haiku)」の在り方を探り、ウィズ コロナ、ポスト コロナ社会を見据えた国際俳句文化の更なる発展に寄与していきたいと考えている。

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月刊誌「俳句四季」3月号!

2020年02月23日 21時50分39秒 | 月刊「俳句四季」

月刊誌「俳句四季」3月号!

〜俳句大学 Haiku Column 「Today's KIGO」〜

◆2020年俳句総合誌『俳句四季』3月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕の「Today's KIGO(今日の季語)」から季語の紹介と選句を掲載しています。また、2019年「俳句四季」4月号から毎月連載して行きます。
◆ 今回から、向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。「7つの規則」と「KIGO」の提供により、フランス語を例に言えば最大で15シラブル以内のHAIKU が増えてきていて、15シラブル前後のHAIKUだとほとんど日本の俳句に近く、五七五の17音に簡単に和訳できる。
◆ 五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、五七五の17音への和訳は原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「難民の/口元に差し出す/マイクロフォン」の俳句が大会賞を受賞しているように、三行書きにしただけで散文的な国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
また、KIGO(季語)を使ったHaikuの可能性を追求して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。
◆最近では華文二行俳句のコンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日に二行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆なお、総合俳句雑誌「俳句界」12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」3頁に渡って書いています。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。

Le Mars d'avril de「HAIKU SHIKI」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum 
◆Le Mars d'avril de HAIKUKAI 俳句四季 vient d'être publié.
◆il contient les meilleurs haikus du mois avec KIGO selectionnés par M. Nagata. 
◆Selon ce plan nous allons continuer à publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.

The March issue of 「HAIKU SHIKI]!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the March issue of HAIKU SHIKI has just been published. 
◆It contains the best haikus with KIGO selected by M. Nagata. 
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.

月刊「俳句四季」3月号
永田満徳選/向瀬美音選訳 


元日 がんじつ ganjitsu / New Year’s Day / Jour de l’An
 

Maria Teresa Piras

primo dell'anno -
un libro del mistero appena iniziato
 
first day of the year -
a mystery book just started
マリア テレサ ピラス

元日やミステリー本捲り初む

Elhoucine Bouhlou

Premier janvier 2020 ~
Tous les regards braqués sur l'horizon
エルフシン ブールー

眼差しは地平線へと大旦

Michelle Tilman

premier jour de l'année
beaucoup d'oiseaux à la mangeoire
ミシェル ティルマン

元日や給餌器に鳥集まりて
 
 
初旅 はつたび hatsutabi / first travel / premier voyage
 

Nuky Kristijno

first trip
startled by long whistle of the train
ナッキー クリスティジーノ

初旅や長き汽笛に始まりぬ

Mohammed Benfares

premier voyage 
de l'encre et une feuille blanche
モハメッド ベンファレス

初旅やまづはインクと白き紙

Francoise Maurice

premier voyage 
encore chancelants les pas de ma petite-fille
フランソワーズ  モリス

足元のぐらつくわらべ旅始
 
 
大晦日 おおみそか oomisoka / New Year’ Eve / le dernier jour de l’année
 

Sebastian Ciortea

sfârșitul anului -
melodia noastră cântă iar și iar
セバスティアン チオルティア

メロディーのいくども流る大晦日

Marin Rada

sfârșitul anului - 
linii noi de viață în norul de cafea
fin de l'année -
マリン  ラダ

大晦日カフェラテに見る運命線

Soucramanien Marie

Nuisette usée sous tes étreintes -
Dernier jour de l'année
スークラマニエン マリー

大晦日抱かれ皴寄るナイトウェア
 
 
冬の星 ふゆのほし fuyunohoshi / winter stars / étoiles d’hiver

Starry Starry

winter stars
I'm counting the days till I see you again
スターリ スターリ

冬の星また逢ふまでの日を数ふ

Kamel Meslem

étoiles d'hiver ~
au seuil de la porte ma fille m'a rendu visite
カメル メスレム

冬の星ドアの敷居に子の訪れ

Michael Sukadi Sonokaryo

winter stars
ancestral eyes blink from afar
ミカエル スタディ ソノカリョ

遠くより父祖のまばたき冬の星
 
 
毛布 もうふ moufu / blancket / couverture
 

Zamzami Ismail

blancket
the warmth of a baby sleeping soundly in its cocoon
ザザミ イスマイル

ぐつすりと眠る赤子や毛布掛く

Veronika Zora

blankets and chairs
a castle of children's laughter
ヴェロニック ゾラ

子の笑ひ毛布と椅子を占領す

Daniela Misso

stretti stretti - 
una coperta per tre insieme al gatto
ダニエラ ミッソ

ぴつたりと猫も一緒の毛布かな
 
 
クリスマス くりすます kurisumasu / Christmas / Noel
 

Rina Darsa Bonanza

Christmas Eve
a new puppy on little boy's bed
リナ ダルサ ボナザ

ベットには新たな子犬クリスマスイヴ

Rosaria Lo Bono

bianco Natale -
intermittenza di luci gli occhi dei bambini 
 
white Christmas – 
intermittency of lights the eyes of children 
ロザリア ロ ボーノ

きらきらと子の目に光るクリスマス

Chantal Toune

Marché de Noël 
à la queue leu leu 3 fauteuils roulants
シャンタル トウーン

聖夜の市列に三つの車椅子

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『WEP 俳句年鑑 2020年』

2020年02月02日 02時15分00秒 | 月刊「俳句四季」

『WEP 俳句年鑑 2020年』
(2020年1月30日)
 
〜自選7句[276P]〜

永田満徳(ながたみつのり)

〈俳句大学・未来図〉

夜の朧なるも持ちゆく荷のひとつ

春昼やおのれの刻を釣りゐたる

藤揺るる時には力を抜くことも

シャワー浴び罵詈雑言を流 しけり

余震なほ闇深むまで虫鳴け

飛石の一つひとつに年惜しむ

寒風にぼこぼこの顔してゐたり

画像:永田 満徳作品7句とWEP「俳句年鑑」表紙
 


 
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「華文俳句社」Kabun Haiku 2020・2

2020年01月26日 01時29分02秒 | 月刊「俳句四季」

俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!

 

〜Facebook「華文俳句社」Kabun Haiku 2020・2〜

 

◆『俳句界』2月号が発行されました。

◆Facebook「華文俳句社」のKabun Haiku ②が掲載されています。

◆華文圏に俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。

◆2018年11月1日には、二行書きの華文俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。

◆2019年10月には洪郁芬の句集《渺光之律》と郭至卿の句集《凝光初現》が秀威出版社で一斉に刊行されました。この句集は今までの三行俳句と違い、華文の二行俳句であり、華文詩壇において大壮挙です。

◆12月14日、熊本大学にて、科研費を受けた「華文俳句の可能性について」のシンポジュームを行いました。

◆どうぞご理解ご支援をお願いします。

 

俳句大學國際俳句學部的通知!

 

~Facebook 「華文俳句社」Kabun Haiku 2020.2〜

 

◆『俳句界』2月號已出版。

◆刊登Facebook「華文俳句社」のKabun Haiku 2020.2

◆於華文圏提倡包含俳句的基礎「一個切」和「兩項對照組合」的二行俳句。

◆2018年12月1日已出版華文俳句的合著,『華文俳句選』。

◆ 洪郁芬的句集《渺光之律》和郭至卿的句集《凝光初現》於2019年十月由秀威一齊出版。他們的華文二行俳句與以往的三行俳句不同,是華語文壇的一大創舉。

◆請各位多多支持指教。

 

 

華文俳句(「俳句界」2月号)

 永田満徳選評•洪郁芬訳

 

「俳句界」2月号

 

築空中閣樓

蛛絲

洪郁芬

〔永田満徳評論〕

蜘蛛絲極為細巧,沾滿露珠的巢網光耀燦爛,宛如聳立空中的樓閣。以「築」斷句,餘韻繚繞,是首寫生佳句。

 

空中の楼閣立てる蜘蛛の糸  郁芬

〔永田満徳評〕

「蜘蛛の糸」はきわめて巧緻で、殊に露のついた巣は光に輝き、空中に聳える「楼閣」 そのもので美しい。「立てる」と言い切ったところがよく、写生が効いた一句である。

 

太極的柔手身段

落葉

莊源鎮

〔永田満徳評論〕

踩踏落葉,殷勤的揮打太極拳。緩慢移動的太極身影中,落葉靜謐的飄零後疊起。此兩項對照組合描寫漸入深秋的情景。

 

太極の柔らか手身振り

落葉

莊源鎮

〔永田満徳評〕

降り敷く落葉を踏んで太極拳に勤しんでいる情景である。ゆるやかな「太極拳」の動きと静かに重なりゆく「落葉」との取合せによって、秋の深まりをうまく表現にしている。

 

想伸手觸摸藍天

鞦韆

薛心鹿

〔永田満徳評論〕

描寫鞦韆踢到頂端時,手幾乎可輕易碰觸藍天。一句想伸手觸摸藍天,使我們身處晴空萬里,一望無際的蔚藍天空。

 

手伸ばして青空に触れたい

ブランコ

薛心鹿

〔永田満徳評〕

勢いよく蹴り上げたときに、手が届きそうになる「青空」を詠んでいる。「青空に触れたい」という措辞に、天気が良く、晴れ渡った、気持ちよい青い空が描き出されている。

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月刊誌「俳句界」2月号(2020)!

2020年01月26日 01時25分17秒 | 月刊「俳句四季」

月刊誌「俳句界」2月号!

 〜俳句大学 Haiku Column 「今月の秀句」2020・2〜

◆俳句総合誌『俳句界』2月号が発行されました。

◆俳句大学 〔Haiku Column〕の「今月の秀句」から選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載して行きます。

◆ 今回から、向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。「7つの規則」と「KIGO」の提供により、フランス語を例に言えば最大で15シラブル以内のHAIKU が増えてきていて、15シラブル前後のHAIKUだとほとんど日本の俳句に近く、五七五の17音に簡単に和訳できる。

◆ 五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、五七五の17音への和訳は原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。

◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「難民の/口元に差し出す/マイクロフォン」の俳句が大会賞を受賞しているように、三行書きにしただけで散文的な国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。

◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出す予定です。

◆最近では華文二行俳句のコンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。

◆なお、総合俳句雑誌「俳句界」12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」3頁に渡って書いています。

◆どうぞご理解ご支援をお願いします。

 

Fevrier aout de 「HAIKUKAI俳句界」!

〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜

◆Le Fevrier de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.

◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata. 

◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.

 

The February issue of 「HAIKUKAI俳句界」!

〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜

◆the February issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published. 

◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata. 

◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.

『俳句界』2020年2月号選抜句※


Michel Duflo

ah ce froid –

et ma barbe qui tarde à pousser

〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕

C'est l'étrange étrangeté de Toriawase. Les deux resonnent bien et permettent au lecteur d'imaginer beaucoup de choses.

 

ミシェル ヂュフロ

なかなかに伸びぬ髭あり大寒波

〔永田満徳評〕

「伸びぬ髭」と「大寒波」は取合せで、両者との間には直接の関係がない。しかし、これこそ、取合せの妙で、両者が微妙に響きあって、読み手に様々なことを思わせる句である。

 

 

※Iskandar Dinata

  •  

beer ...

cheers with my shadow

〔Commented by Mitsunori Nagata〕

He cheers with his shadow with his beer in his hand.It seems lonely but it is nice to see that he is immersed in his world.

 

イスカンダー ディナタ」

我が影に乾杯したるビールかな

〔永田満徳評〕

ビールを片手にした影が映っている壁に向かって、一人、ビールを掲げて「乾杯」している情景である。孤独であるが、自分の世界に浸り味わっているところがいい。

 

 

Jono Fadli

  •  

summer hat

a kid showing off his cowboy gun game

〔Commented by Mitsunori Nagata〕

This kid imitates cow boy with the hat put diagonally.Whatever the hats kids want to put on airs,and it is well described.

 

ジョノ ファドリ

カウボーイの銃を真似ねし子夏帽子

〔永田満徳評〕

「帽子」を斜に構えて、「銃」を持って、「カーボーイ」の真似をしているのである。どんな帽子にせよ、帽子を被ると、気取りたくなる幼な子の気持ちをよく捉えている。

 

 

タンポポ 亜仁寿

  •  

regret of autumn -

unreadable Japanese dishes menu

亜仁寿

日本語の読めないメニュー秋惜しむ

 

Kamel Meslem

  •  

Vers le grand large s'éloignent les mouettes~ fin de l'été

カメル メスレム

沖に向ひカモメ遠のく夏の果

Rosa Maria Di Salvatore

  •  

fog -

softer and softer each sound

ローザマリア ディ サルバローレ

物音の優しくなりぬ霧の奥

Marie Rey

  •  

premier amour

sur le pupitre en bois cœurs graves

マリー レイ

初恋や机に刻まれしハート

Emeraude Dumont-Couturier

  •  

soir sans vent -

elle ouvre son recueil de haiku

エムロルド ヂュモン〜クルチエ 

凪の夜俳句選集を開きたる

Choupie Moysan

  •  

conversation animée--

saké froid

チョピーモイサン

活気のある会話ありけり冷し酒

Mafizuddin Chowdhury

  •  

ice cream

hustle and bustle at kindergarten

マフィズディン ショードハリー

にぎやかな幼稚園なりアイスクリーム

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