俳人協会協会機関紙「俳句文学館」(2021年10月5日)
〜【読書の秋】【読者の声】〜
- 「俳句文学館」の【読書の秋】に熊本を舞台にした夏目漱石の『草枕』を取り上げ、「俳句的小説」としての面白さについて書いています。
- また【読者の声】にも私の提言が取り上げられました。
【読書の秋】
『草枕』 夏目漱石
永田満徳
グレン・グールドの愛読書『草枕』は、夏目漱石が意図した「俳句的小説」として面白い。
『漱石俳句研究』(1925年7月、岩波書店)に見られる〈俳句のレトリック〉がふんだんに応用されている。
例えば、『草枕』のキーワードである「非人情」は「写生」から来ていること、画工が那美に小説はどこから読んでもよいと教えているように、各章が俳句の一句の独立世界であり、章末は「省略」が用いられていること、画工と那美の関係は〈俳句のレトリック〉としての「同化」で読み取れること。春の「季語」の多用、「取合せ」、「連想」など、興味が尽きない。
ところで、『草枕』を「同化」の視点で見て、「『憐れ』が一面に浮いている」という、有名な最後の画題成就の場面をどう考えるか。ここはテーマに関わり、探求心がそそられるところである。
〈俳句のレトリック〉を応用した小説に挑戦し、「美を生命とする俳句的小説」(余が『草枕』)に仕立て上げた漱石の手腕はお見事という他ない。
大阿蘇を踏石として月昇る 満徳
※永田満徳著
「夏目漱石『草枕』 そのⅠ・その2―『俳句の方法』を駆使した俳句的小説―
「草枕」 Ⅰ 夏目漱石】 - 【永田満徳(みつのり)】俳句大学学長 日本俳句協会副会長 俳人協会熊本県支部長 熊本カルチャーセンター講師(俳句) (goo.ne.jp)
参照
【読者の声】
私は「インターネット
代の到来は、新たな俳
活動の場、つまり「句
ゴ」(句座) の創出とし
て歓迎すべきではない
か」として、コロナ禍に
あっても、俳句の将来が
明るいことを言っていま
す。俳人協会でも、俳句
おけるネットの積極的
活用について検討してみ
はどうでしょうか?俳
句だけでなく、支部長会
議をリモートでやる方法
もあり、ネットの活用は
無限大です。
(熊本県・男性)