【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2021.12月号〜

2021年12月23日 21時00分15秒 | 月刊誌「俳句界」
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!
 
〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2021.12月号〜
 
◆俳句総合誌『俳句界』12月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
◆R 2・12月号から、国際的な俳句だと分かるうに、作者の国名を入れています。
◆人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出しました。「HAIKU」6号と「歳時記」は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
The December issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the December issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
L décembre aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L décembre de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】 永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
Haiku Column(俳句大学)今月の秀句(「俳句界」R3.12月号)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】  永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
キム オルムタック ゴメス(オランダ) 
わがルーツまとめてをれば小鳥来る  
〔永田満徳評〕
ある年齢から、私はどこからきたのかという興味より「ルーツ」を調べ始める人は多いだろう。数世代前まで遡って探すとなると、手掛かりは乏しい。数少ない資料を「まとめて」余念がない情景を詠んでいる。「小鳥来る」という季語によって、自分のルーツ探しの経過と深まりをうまく表現している。
Kim Olmtak Gomes (Holland)
in the archives my roots
little bird coming back
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
From a certain age, many people start looking for their "roots" because of their interest in where they came from. There are few keys when it comes to searching back several generations. He wrote about the scene where he was eager to "collect" a few materials. The seasonal word "small bird comes" expresses the process and depth of searching for one's roots.
アグネーゼ ジアロンゴ(イタリア)
孫は月に触れたいと言ふ誕生日 
〔永田満徳評〕
「月に触れたい」と言った「孫」に親しさを覚える。幼子ならではの思い付きの言葉であるが、「月」は古来、日本人が賞美してきたものである。「誕生日」という特別な日に、月を愛でる感性の持ち主であったすれば、自然に対する感受性の鋭い人間に成長するのではないかと期待を持たせるところがいい。
Agnese Giallongo(Italy)
quinto compleanno -
la nipotina desidera toccare la luna
cinquième anniversaire -
la petite-fille veut toucher la lune
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
I feel familiar with my "grandchildren" who said "I want to touch the moon." Although it is a word that only a child can think of, "moon" has been praised by Japanese people since ancient times. If you have the sensibility to love the moon on a special day called "birthday", you should expect that you will grow up to be a person who is sensitive to nature.
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
有刺鉄線にアフガンの子等秋に入る 
〔永田満徳評〕
アフガニスタンは今や人道危機のさなかにある。最も弱い立場の子供達が国外に逃れようとして、「有刺鉄線」に数多く群がっている情景が目に浮かぶ。「秋に入る」と取り合わがせることで、「アフガンの子等」の悲惨な状況は好転の兆しがないことを訴えている。現今の世界情勢の時事句として心打たれる。
Angela Giordano(Italy)
a new autumn-
Afghan children behind barbed wire
un nuovo autunno-
bambini afgani dietro un filo spinato
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Afghanistan is now in the midst of a humanitarian crisis. I can see a lot of vulnerable children flocking to the "barbed wire" trying to escape abroad. By combining it with "beginning in autumn," he is still complaining that the dire situation of "Afghan children, etc." will not change. I am impressed as a current affair of the current world situation.
【今月の季語(Kigo of this month】        
(Facebook「Haiku Column」より)
【 涼し すずし suzushi/ cool / frais 】
グラチエーラ ディミリト(イタリア)
朝涼しコーヒー挽きの香りかな
Graziella Dimilito(Italy)
fresco mattino
l'aroma del caffè nel macinino
matin frais
l'arôme du café dans le moulin
cool morning
the aroma of coffee in the grinder
フランソワーズ モリス(フランス)
朝涼し肩まで上るシーツかな 
Francoise Maurice(France)
fraîcheur matinale
les draps remontés sur tes épaules
【無月 むげつ mugetsu / night without the moon / nuit sans lune 】
マフィズディン チョードハリ(インド)
無月かな帰らぬ人に思ひ馳せ 
Mafizuddin Chowdhury(India)
night without the moon
she worries for her unreturned guy
ローザ マリア ディ サルバトーレ(イタリア)
静けさは闇に混じりて無月かな 
Rosa Maria Di Salvatore(Italy)
luna nascosta-
intrecci di silenzi spersi nel buio
lune cachée-
silences entremêlés perdus dans le noir
【流れ星 ながれぼし nagareboshi / shooting star / étoile filante 】
タンポポ 亜仁寿(インドネシア)
我が旅や一期一会の流れ星  
タンポポ 亜仁寿(Indonesia)
my journey-
no day is exactly the same, just as shooting stars
ザヤ ヨークハンナ(オースラリア)
ひらめきが脳裏をかすめ流れ星  
Zaya Youkhanna(Australia)
shooting star
an amazing idea crosses the brain
【霧 きり kiri / fog, mist, haze / brouillard, brume 】
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
足音に君の気配や霧襖  
Nuky Kristijno(Indonesia)
autumn fog
I cannot see you but recognize your footsteps
アドニス ブリュネ(フランス)
霧襖君の体のあたたかし
Adonis Brunet(France)
Premières brumes d'automne
Ton corps plus chaud
【新酒 しんしゅ shinshu / new sake / saké nouveau】
ダニエラ ミッソ(イタリア)
話し声柔らかくなる新酒かな  
Daniela Misso(Italy)
new sake-
the soft sound of voices
シウ ホング-イレーヌ タン(インドネシア)
新酒酌む思ひ出語る同窓会
Siu Hong-Irene Tan(Indonesia)
new sake
old school stories at the reunion party
【紅葉 もみじ momiji / red maple tree / érable rougi de l’automne】
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
紅葉やファーストキスのよみがへる 
Nuky Kristijno (Indonesia)
red maple tree
the flash back of your first kiss
ガブリエル デ マシ(イタリア)
紅葉葉や墓から墓にツグミ飛び 
Gabriella De Masi(Italy)
oglie d'autunno
da una tomba all'altra il volo d'un merlo
【菊 きく kiku / chrysanthemum / chrysanthème 】
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
園庭の菊や子の熱下りたる 
Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
poussée de chrysanthème au jardin -
la fièvre de l'enfant en baisse
クリスティーナ sng(シンガポール)
菊供へ菊の影ある父の墓  
Christina Sng(Singapore)
chrysanthèmes
des ombres sur la tombe de mon père
chrysanthemums
shadows on my father’s grave
【 茸 きのこ kinoko / mushroom / champignon 】
ナニ マリアニ(オーストラリア)
母の手を優しくさすり干茸  
Nani Mariani(Australia)
gently caress mother's hand with the deepest love
dried mushrooms
ダニエラ ミッソ(イタリア)
茸見て森のしじまに入り込む  
Daniela Misso(Italy)
mushrooms-
into the silence of woods
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〜Facebook「華文俳句社」〜 【俳句界】2021.12月号

2021年12月23日 20時56分07秒 | 月刊誌「俳句界」
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!
 
〜Facebook「華文俳句社」〜
〜【俳句界】2021.12月号〜
 
◉ 今号から五七五の17音の和訳をしています。
◆2021年『俳句界』12月号が発行されました。
◆華文圏に俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆ R 2、11月号から五七五の17音の和訳をしています。
◆17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆東北公益文科大学教授の呉衛峰氏、台湾詩人の洪郁芬氏を中心として、マレーシア詩人の趙紹球氏、台湾詩人の郭至卿氏の四人が2018年にFacebookグループ「華文俳句社」を立ち上げました。
◆2018年11月1日には、華文俳句社の四人による二行書きの華文俳句の合同句集『華文俳句選』(醸出版)が刊行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行しています。
※全季節を網羅した、世界的にも画期的な「歳事記」が2020年10月に発行されました。これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載しています。
◆2020年『俳句界』3月号の特別レポートにおいて、「熊本大学」で呉衛峰氏が行ったラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解とご支援をお願いします。
俳句大學國際俳句學部的通知!
~Facebook 「華文俳句社」Kabun Haiku 2021・12〜
◆2021年『俳句界』12月號已出版。
◆於華文圏提倡包含俳句的基礎「一個切」和「兩項對照組合」的二行俳句。
◆2018年12月1日已出版華文俳句的合著,『華文俳句選』。
◆2020年『俳句界』3月號以八頁的篇幅特別報導了於「熊本大學」舉辦的「華文俳句の可能性」座談會。
◆請各位多多支持指教。
華文俳句【俳句界】2021,12月号
永田満徳選評・洪郁芬選訳
皐月
聆聽銅鑼浴的夫妻
秋宵
〔永田満徳評論〕
一對夫妻正和如琴瑟的共享著「銅鑼浴」。銅鑼浴是新興的抒壓療場,聽銅鑼的振動聲波冥想放鬆。長夜漫漫,而這也是一種渡過秋晚的方式。日落霞未盡,轉眼間薄暮冥冥。而這一對夫妻以靜默的沉澱來迎接一個來臨的夜晚。
皐月
秋の宵銅鑼浴をする夫婦
〔永田満徳評〕
「夫婦」が仲良く「銅鑼浴」を楽しんでいる情景。銅鑼浴とは有料のリラックスサービスで、銅鑼の音を聞くことでプレッシャーを無くすという。これも、秋の夜長の過ごし方の一つであろう。日が落ちて間もない「秋の宵」の頃、静かで落ち着いた一時を心ゆくまでじっくりと味わっている夫婦の気持がよく表現されている。
露兒
輕哼摇篮曲的父親
深秋
〔永田満徳評論〕
這個父親應該是懷抱著嬰孩的年輕爸爸。雖然照顧稚子辛勞,但總是自已的骨肉。輕哼著不熟練的搖籃曲,哄著不停哭泣的孩子。這個畫面擷取了父親對孩子濃厚的愛情表現。深秋的季語,更使我們聯想到親子間藉由悉心照料而加深的情誼。
露兒
子守唄口ずさむ父秋深し   
〔永田満徳評〕
「父」は乳飲み子を抱き抱えている若い父親であろうか。子育てに苦労することはあっても、そこはかわいい我が子である。不得手な「子守唄」でも口ずさんで、なかなか泣き止まない幼子をあやしているのである。親の子に対する愛情がにじみ出ているところがよく、また、「秋深し」によって愛情の深まりが感じられるのも心惹かれる。
鄧紹佳
樓間橘紅秋日墜
歸家路
〔永田満徳評論〕
人們常將高樓大廈比為叢林。在林立的高樓和高樓中間,秋天的夕陽一口氣墜落如水井中打水的桶沿。晴天時沒有比此光景更饒富寂寥之美的了!作者結束了一天的工作,歸家路上瞥見秋日墜,心中充滿平安喜樂與充實的感受。此俳句將作者此刻的心境描寫得淋漓盡致。
鄧紹佳
ビルの間の鶴瓶落しや帰途の路
〔永田満徳評〕
「ビル」をジャングルに見立てることがある。林立するビルとビルとのあいだに秋の夕陽が一気に沈む光景は晴天にあればあるほど、美しくもあり、さびしくもある。慌ただしかった一日の仕事を終え、帰宅の途中に目にする「鶴瓶落し」に対して、安堵感と充実感が入り混じり、しみじみとした気持を抱いた作者の様子がよく読み取れる。
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〜季語で一句 ㉕〜

2021年12月05日 01時00分59秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

 

〜季語で一句 ㉕〜

 

◆『くまがわ春秋』12月号が発行されました。

◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。 (info@hitoyoshi.co.jp ☎0966-23-3759)

【季語で一句】(R3・12月号)

永田満徳:選評・野島正則:季語説明

季語で一句(R3.12月号)

 

暮の秋(くれのあき)   「秋-時候」

西村揚子

  •  

ふいに吐く里言葉より秋暮るる

【永田満徳評】

何かの拍子で「里言葉」が出てきて、自分でも驚くことがある。掲句は、「里言葉」を言い直そうとしても言い直せないもどかしさを、もの淋しい季語の「秋暮るる」によって描き出しているところがいい。

【季語の説明】

「暮の秋」は秋の夕暮れではなく、秋がまさに果てようとする、秋の終わりに近い頃のこと。この頃の風にもの淋しさが感じられ、木々に落葉を促しているように感じられる。晩秋よりも、より感傷にひたる意味合いがあり、心理的に訴えてくるものがある。「暮の秋」「行く秋」「秋深し」の順に秋を惜しむ気持ちが濃くなる。

 

 

酉の市(とりのいち)   「秋-行事」

 

大津留 直

  •  

見掛けのみ値切りてゆかし熊手市

【永田満徳評】

「熊手の商談」と呼ばれる駆け引きも酉の日の名物。掲句は値切りも名物の一つだとして、ゆきずりに「見掛け」で値切ってみるのである。風物詩となった「酉の市」という祭の楽しみ方をうまく詠んでいる。

【季語の説明】

「酉の市」は、鷲神社、酉の寺、大鳥神社など鷲や鳥にちなむ寺社の年中行事として知られる。境内に露店が出て、手締めして「縁起熊手」を売る祭の賑わいは年末の風物詩である。酉の市は11月の「酉の日」に行われ、3度行われる場合は、1度目を「一の酉」、2度目を「二の酉」、3度目を「三の酉」という。

 

 

水鳥(みずとり《みづとり》) 「冬―植物」

 

中野千秋

  •  

まづ風が暮色を帯びて浮寝鳥 

【永田満徳評】

たそがれ時に湖面に浮かぶ「浮寝鳥」は一服の絵である。掲句は夕暮れとともに、風が吹いてくる、または、風が吹いてくると、夕暮れになるという関係を「まづ風が暮色を帯び」と表現したところがいい。

【季語の説明】

鴨・鳰・百合鷗・鴛鴦など、冬に水上、または水辺で生活する鳥を総称して、「水鳥」という。指の間に水かきを持ち、水上、水中での行動に適した体形に進化しており、陸上や樹上では敏捷性に欠けるものが多い。羽毛は断熱と撥水のため、多くの空気を含むことから、防寒着や寝袋などの中綿に利用されている。

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☆ 第4回 俳句大学三賞発表 ☆

2021年12月01日 01時06分27秒 | 俳句大学

☆ 第4回 俳句大学三賞発表 ☆

 

【第4回 俳句大学大賞】

篠崎央子『火の貌』

(ふらんす堂)令和2年8月

 

※全般的に俳句的な目が確かで、血族や血に関する民俗学的、神話的な世界をベースに、スケールが大きく、大胆で、自在な発想が魅力である。眩しすぎるほどの発想は天性のものであると言ってよく、しかも、俳味があって、読み応えのある句が揃う。(永田満徳)

 

「第4回 俳句大学大賞准賞」

川越歌澄『キリンは森へ』

   (俳句アトラス)令和2年6月

 

※ 文學の森主催の第1回「北斗賞」の選考委員として、川越歌澄を「俳句の骨法をきちんと踏まえた上で決して気負わず、しかも独自の世界が展開されている。」として強く推薦した。今回の『キリンは森へ』では、川越歌澄という個人的、さらには集合的無意識を介して、高い詩境の展開を見せている。(五島高資)

 

選考委員 : 岡田耕治 (大阪教育大学特任教授・「香天」代表) 、木暮陶句郎 (「ひろそ火」主宰) 、五島高資 (俳句大学副学長) 、斎藤信義 (「俳句寺子屋」主宰) 、仲寒蟬(「牧」代表)、永田満徳 (俳句大学学長)

 

【第4回 俳句大学新人賞】

該当者なし

 

選考委員 : 大高翔 (「藍花」副主宰) 、五島高資、仙田洋子(「天為」同人)、辻村麻乃 (「篠」主宰) 、永田満徳、松野苑子(「街」同人会長)

 

【第4回 俳句大学評論賞】

該当者なし

 

「第4回 俳句大学評論特別賞」

〔国際部門〕

Anikó Papp

【季語の研究】「風」の名前に季節感

 

※「俳句大学評論賞」に毎回応募し、その熱心さには脱帽に価する。受賞作品は、ハンガリー在住ながら、日本の春夏秋冬の季語を例に挙げながら、季節によって表現の仕方が変わっていくこと、また、例えば「風」でも、それぞれの季節によって、「風」の印象が違い、季節の特色があることを究明しているところが評価できる。(永田満徳)

 

選考委員 : 井上泰至 (防衛大学校教授) 、加藤直克(自治医科大学名誉教授)、五島高資、永田満徳

 

 

【選考資料】

 

「第5回俳句大学大賞候補」

 

【岡田耕治】

渡辺誠一郎『赫赫』(深夜叢書社)令和2年10月

「ふくしまの大根一本ふりまわす」

など、静謐な秀句が収められている。

田 彰子『田さん』(ふらんす堂)令和2年7月

「旅に出てザボンのように眠りたし」

など、独自の境地を切り開いた。

豊里友行『宇宙の音符』(沖縄書房)令和2年9月

「オリオンの火種をもらうウイルスよ」

など、現実を捉える大きな眼差しが光る句集。

 

【木暮陶句郎】

藤本美和子『冬泉』(角川書店)令和2年9月

名取里美『森の螢』(角川書店)令和2年11月

篠崎央子『火の貌』(ふらんす堂)令和2年8月

 

 

【五島高資】

鴇田智哉『エレメンツ』(素粒社)令和2年11月

朝吹英和『光陰の矢』(ふらんす堂)令和2年11月

川越歌澄『キリンは森へ』 (俳句アトラス)令和2年6月

 

 

【斎藤信義】

小池康生『奎星』(飯塚書店刊)令和2年10月

川越歌澄『キリンは森へ』 (俳句アトラス)令和2年6月

菅敦『仮寓』(書肆アルス)令和2年8月

 

 

【仲寒蟬】

太田うさぎ『また明日』(左右社)令和2年5月

篠崎央子『火の貌』(ふらんす堂)令和2年8月

 

 

【永田満徳】

篠崎央子『火の貌』(ふらんす堂)令和2年8月

三島広志『天職』(角川書店)令和2年2月

青島玄武『優しき樹』(文學の森)令和2年3月

 

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