〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2021.12月号〜
◆俳句総合誌『俳句界』12月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
◆R 2・12月号から、国際的な俳句だと分かるうに、作者の国名を入れています。
◆人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出しました。「HAIKU」6号と「歳時記」は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
The December issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the December issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
L décembre aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L décembre de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】 永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
Haiku Column(俳句大学)今月の秀句(「俳句界」R3.12月号)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】 永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
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わがルーツまとめてをれば小鳥来る
〔永田満徳評〕
ある年齢から、私はどこからきたのかという興味より「ルーツ」を調べ始める人は多いだろう。数世代前まで遡って探すとなると、手掛かりは乏しい。数少ない資料を「まとめて」余念がない情景を詠んでいる。「小鳥来る」という季語によって、自分のルーツ探しの経過と深まりをうまく表現している。
Kim Olmtak Gomes (Holland)
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in the archives my roots
little bird coming back
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
From a certain age, many people start looking for their "roots" because of their interest in where they came from. There are few keys when it comes to searching back several generations. He wrote about the scene where he was eager to "collect" a few materials. The seasonal word "small bird comes" expresses the process and depth of searching for one's roots.
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アグネーゼ ジアロンゴ(イタリア)
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孫は月に触れたいと言ふ誕生日
〔永田満徳評〕
「月に触れたい」と言った「孫」に親しさを覚える。幼子ならではの思い付きの言葉であるが、「月」は古来、日本人が賞美してきたものである。「誕生日」という特別な日に、月を愛でる感性の持ち主であったすれば、自然に対する感受性の鋭い人間に成長するのではないかと期待を持たせるところがいい。
Agnese Giallongo(Italy)
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quinto compleanno -
la nipotina desidera toccare la luna
cinquième anniversaire -
la petite-fille veut toucher la lune
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
I feel familiar with my "grandchildren" who said "I want to touch the moon." Although it is a word that only a child can think of, "moon" has been praised by Japanese people since ancient times. If you have the sensibility to love the moon on a special day called "birthday", you should expect that you will grow up to be a person who is sensitive to nature.
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アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
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有刺鉄線にアフガンの子等秋に入る
〔永田満徳評〕
アフガニスタンは今や人道危機のさなかにある。最も弱い立場の子供達が国外に逃れようとして、「有刺鉄線」に数多く群がっている情景が目に浮かぶ。「秋に入る」と取り合わがせることで、「アフガンの子等」の悲惨な状況は好転の兆しがないことを訴えている。現今の世界情勢の時事句として心打たれる。
Angela Giordano(Italy)
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a new autumn-
Afghan children behind barbed wire
un nuovo autunno-
bambini afgani dietro un filo spinato
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Afghanistan is now in the midst of a humanitarian crisis. I can see a lot of vulnerable children flocking to the "barbed wire" trying to escape abroad. By combining it with "beginning in autumn," he is still complaining that the dire situation of "Afghan children, etc." will not change. I am impressed as a current affair of the current world situation.
【今月の季語(Kigo of this month】
(Facebook「Haiku Column」より)
【 涼し すずし suzushi/ cool / frais 】
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グラチエーラ ディミリト(イタリア)
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朝涼しコーヒー挽きの香りかな
Graziella Dimilito(Italy)
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fresco mattino
l'aroma del caffè nel macinino
matin frais
l'arôme du café dans le moulin
cool morning
the aroma of coffee in the grinder
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フランソワーズ モリス(フランス)
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朝涼し肩まで上るシーツかな
Francoise Maurice(France)
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fraîcheur matinale
les draps remontés sur tes épaules
【無月 むげつ mugetsu / night without the moon / nuit sans lune 】
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マフィズディン チョードハリ(インド)
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無月かな帰らぬ人に思ひ馳せ
Mafizuddin Chowdhury(India)
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night without the moon
she worries for her unreturned guy
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ローザ マリア ディ サルバトーレ(イタリア)
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静けさは闇に混じりて無月かな
Rosa Maria Di Salvatore(Italy)
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luna nascosta-
intrecci di silenzi spersi nel buio
lune cachée-
silences entremêlés perdus dans le noir
【流れ星 ながれぼし nagareboshi / shooting star / étoile filante 】
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タンポポ 亜仁寿(インドネシア)
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我が旅や一期一会の流れ星
タンポポ 亜仁寿(Indonesia)
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my journey-
no day is exactly the same, just as shooting stars
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ザヤ ヨークハンナ(オースラリア)
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ひらめきが脳裏をかすめ流れ星
Zaya Youkhanna(Australia)
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shooting star
an amazing idea crosses the brain
【霧 きり kiri / fog, mist, haze / brouillard, brume 】
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ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
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足音に君の気配や霧襖
Nuky Kristijno(Indonesia)
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autumn fog
I cannot see you but recognize your footsteps
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アドニス ブリュネ(フランス)
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霧襖君の体のあたたかし
Adonis Brunet(France)
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Premières brumes d'automne
Ton corps plus chaud
【新酒 しんしゅ shinshu / new sake / saké nouveau】
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ダニエラ ミッソ(イタリア)
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話し声柔らかくなる新酒かな
Daniela Misso(Italy)
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new sake-
the soft sound of voices
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シウ ホング-イレーヌ タン(インドネシア)
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新酒酌む思ひ出語る同窓会
Siu Hong-Irene Tan(Indonesia)
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new sake
old school stories at the reunion party
【紅葉 もみじ momiji / red maple tree / érable rougi de l’automne】
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ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
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紅葉やファーストキスのよみがへる
Nuky Kristijno (Indonesia)
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red maple tree
the flash back of your first kiss
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ガブリエル デ マシ(イタリア)
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紅葉葉や墓から墓にツグミ飛び
Gabriella De Masi(Italy)
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oglie d'autunno
da una tomba all'altra il volo d'un merlo
【菊 きく kiku / chrysanthemum / chrysanthème 】
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オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
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園庭の菊や子の熱下りたる
Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
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poussée de chrysanthème au jardin -
la fièvre de l'enfant en baisse
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クリスティーナ sng(シンガポール)
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菊供へ菊の影ある父の墓
Christina Sng(Singapore)
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chrysanthèmes
des ombres sur la tombe de mon père
chrysanthemums
shadows on my father’s grave
【 茸 きのこ kinoko / mushroom / champignon 】
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ナニ マリアニ(オーストラリア)
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母の手を優しくさすり干茸
Nani Mariani(Australia)
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gently caress mother's hand with the deepest love
dried mushrooms
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ダニエラ ミッソ(イタリア)
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茸見て森のしじまに入り込む
Daniela Misso(Italy)
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mushrooms-
into the silence of woods