【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

国際俳句の試み? Copilot (チャット GTP)に聞いてみた

2025年01月22日 10時50分48秒 | 国際俳句

Copilot (チャット GTP)に聞いてみた!

 

〜 国際俳句の試み? 〜

 

永田満徳の質問:国際俳句の試み

 

Copilot の回答:

国際俳句の試みについて興味深いですね。

国際俳句は、日本の伝統的な俳句を世界に広める試みであり、近年ますます注目されています。

 

以下にいくつかのポイントを共有します。

①俳句の国際化と定義の再検討:

日本俳句協会は、俳句を国際文芸として位置づけ、現代俳句の真の在り方を探求するために、俳句の定義を再検討しています 。

この取り組みは、俳句の国際的な普及を促進する一環として重要です。

 

②二行俳句の提唱:

国際俳句の試みの一環として、永田満徳氏は「切れ」と「取合せ」を取り入れた 二行俳句を提唱しています。

これは三行詩 (散文詩)的な HAIKU に対して、より簡潔で韻文的な表現を追求するものです 。

 

③季語の国際化:

季語は日本独特の要素ですが、国際俳句においても「KIGO(季語)」を取り入れる試みがあります。

向瀬美音氏は英語やフランス語の季語を編集し、国際的な季語のある俳句を広めています 。

 

④和訳の改善:

和訳において、原句に忠実なあまり、原句の良さを損なってしまうことがあるため、向瀬氏は日本語訳の改善に取り組んでいます。

短く簡潔な表現を重視しています 。

 

国際俳句は、異なる文化や言語を超えて人々をつなげる素晴らしい詩の形式です。

 

参考:国際俳句についての試み(永田満徳blog)

国際俳句についての試み! - 【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

 

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パンデミック時代における国際俳句の苦闘と想像力 2020·1―2021·1

2024年02月07日 10時04分05秒 | 国際俳句

外国人には日本の俳句は理解できないという常識は覆る!

 

〜 常識は常識であって、真理ではない 〜

 〜 常識を覆してこそ、進歩がある 〜

 

【季語】について

ナディン レオン(フランス)

季語の機能は俳句を普遍的な時間、すなわち万人に共有する時間に位置づける。

 

※この本によって、外国では日本のような明確な四季の区別がないから季語のある俳句は作れない、あるいは季語のあるhaikusを作ることを提案するのは日本の文化の押し付けであるという先入観は覆る。

・投句者:インドネシア・カメルーン=熱帯 シリア・アルジェリア=乾燥帯など。

 

【取り合わせ】について

ジャン・ルイ シャルトラン(フランス)

「取り合わせ」は、2つの表現が間接的で微妙にリンクしていることで成立している。

 

ナディン レオン(フランス)

この2つの異なる、一見無関係に見える表現の組み合わせ(取り合わせ=注・永田)は、物語的な統一性はないものの、語られないものに大きな共鳴を与え、それぞれの行を他の行に照らして解釈するように誘います。

 

※ なお、現在、国際俳句は、散文的な三行書きのhaikusがほとんどで、「取り合わせ」で作るという意識が薄い。

※しかし、Facebook「Haiku Column」の「週刊一句鑑賞」集であるこの本では、「取り合わせ」が俳句の本質であるという考えで 実践している。

※それゆえに、日本の俳人でさえ難しい「取り合わせ」のことをナディン レオンを始め、多くのメンバーがよく理解しているのである。

 

【一物仕立て】について

ナディン レオン(フランス)

一物仕立て俳句があまり一般的でないのは、ルールが難しいからではなく、その成功がむしろ稀であるからです。一物仕立て俳句の成功は、まるで恩寵に触れたようなものです!

 

『パンデミック時代における国際俳句の苦闘と想像力 2020·1―2021·1』

向瀬 美音 (企画・編集・翻訳)  2024年2月・コールサック社 2,750 税込

・多くの方にお読み頂ければ幸いです。(文責・永田満徳)

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平和願いしHAIKU 黛さん企画、世界から詠み人

2022年05月29日 22時55分49秒 | 国際俳句

中日新聞(2022年5月29日 05時05分 )

〜 平和願いしHAIKU 黛さん企画、世界から詠み人 〜

◆ 「Facebook「Haiku Column」」では、月刊「俳句界」5月号・6月号において、いち早く〈ウクライナ特集〉をしているが、「中日新聞」も黛まどか氏企画による「戦争を題材にした俳句」を掲載した。
◆平和への願いとともに、「伝達性」と「記録性」、「慰撫の力」がある俳句の国際化の絶好の機会であるので、マスコミから発信されることはいいことである。

◆ なお、HAIKUという点では、二行Haikuの「Haiku Column」と比べて、三行書きの欠点である、冗漫なところはあるが、切れ、あるいは取り合せがあり、何よりもKigoのあるhaikuが常識になっていることが分かり、有益な内容になっている。

記事(抜粋)
 戦争を題材にした俳句は、ロシアの軍事侵攻後の3月19日にインターネットで「Haiku for Peace」と銘打つ企画を始め、国内外から募集。今月27日までに集まった475句は「戦争は絶対にいけない」(黛さん)との思いに呼応し、35カ国の10言語にわたる。
 黛さんは短詩型文学の俳句について「全てを言い切らず余白にあるものへの想像力をかきたてる。世界の人々が、遠い戦争の悲惨を自分のこととして受け止めるよすがになり得る」と強調。平和を願い、世界の人々が参加するオンライン句会を開きたい考えだ。
(林啓太)

https://www.chunichi.co.jp/amp/article/473899

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Haiku Column(俳句大学国際俳句学部投句欄)よりのご報告!

2021年01月05日 11時08分56秒 | 国際俳句

Haiku Column(俳句大学国際俳句学部投句欄)よりのご報告!

 

〜Today' KIGO〜

 

●芭蕉庵国際英語俳句大会選者・藤田直子(俳人・「秋麗」主宰・俳人協会評議員)氏に貴重なコメントを頂きました。

 

①私が◎を付けたいと思った句は、

初雪や柔き呼吸の新生児

これは取り合わせの句としていいと思いました。

 

君の居ぬ去年と同じ聖樹かな

この二句には心が(詩情が)あると思います。

 

②△を付けてもよいと思った句は、

 

元旦やコーヒーに浮く白き泡

糸杉の景色の先の初御空

絵手紙に新年の色集めたる

 

※今後を楽しみにさせていただきます。

 

◆Haiku Column(俳句大学国際俳句学部投句欄)投句された「Today' KIGO」のうちで、最もいい句を紹介します。

◆「Today' KIGO」は向瀬美音氏がそのHaiku Columnから取り出して、向瀬美音氏はフランス語、イタリア語、中野千秋氏は英語を直訳し、それを元にして、それぞれが五七五の十七音に和訳した句を私こと永田満徳が評価する投稿欄です。

◆KIGO(季語)は日本独特なもので、季節のない国の人々が、KIGO(季語)のあるHAIKUを創ることが困難だという常識は覆りつつあり、季節のない国からもKIGOのあるHAIKUが多く投句されてきており、俳句は「KIGOの詩」という認識が世界で広まっています。

◆国際俳句の「7つの規則」と「KIGO(季語)」の提供により、フランス語を例に言えば、最大で15シラブル以内のHAIKUが増えてきて、五七五の十七音の和訳にすることができます。

◆ 五七五の十七音の和訳は、HAIKUをただ単に日本の俳句の五七五の十七音に当てはめただけではなく、HAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきます。

◆ 二つのパターンの二行俳句を提唱しています。

・この二つのパターンの二行俳句によって、KIGO(季語)の重なりがなくなります。

・そればかりではなく、一行目がKIGO(季語)で固定されるために、二行目がシンプルになってきます。

・このように、メンバーのHAIKUが日本の俳句の本質である「切れ」と「取合せ」のある句になってきています。

〔魔法の取合わせ〕

・一行目はKIGO(季語)と二行目はKIGO(季語)とは関係のない言葉。

・または一行目はKIGO(季語)とは関係のない言葉と二行目はKIGO(季語)。

 

 

1月4日

 

【初鏡】

the first makeup -

a lipstick a little redder

  •  

Mirela Brailean

口紅をすこし紅目に初鏡  千秋

her thin lips and big eyes

first make up

  •  

Mafizuddin Chowdhury

大きな目薄い唇初鏡  千秋

first mirror -

I see myself in your eyes

  •  

Mirela Brailean

君の目にわれの映りて初鏡  千秋

first mirror

looking at the face of my mother

ます

Kimberly Olmtak

初鏡そこには母の顔がある  千秋

half of his soul is still in isolation room

first mirror

  •  

Zamzami Ismail

魂の半分はここ初鏡  千秋

first mirror

traces of tears on my smile

  •  

In Ismael

微笑みに涙の筋や初鏡  千秋

 

 

【冬の泉】

your love poured out drop by drop-

winter fountain

 

il tuo amore elargito goccia a goccia-

fontana invernale

  •  

Angela Giordano

冬の泉一滴ごとに注ぐ愛  千秋

fântână de iarnă -

apele tăcute ale cerului

 

winter fountain -

the silent waters of the sky

  •  

Sebastian Ciortea

天の水たたえて冬の泉かな  千秋

winter fountain

making a wish to become a bird

  •  

Réka Reka Nyitrai

ふと鳥になりたき冬の泉かな  千秋

 

 

1月3日

 

【元旦】

元旦や子どもの笑ひ聞こえたる 美音

premier de l'an--

le rire des enfants

  •  

Choupie Moysan

元旦やコーヒーに浮く白き泡 美音

Premier jour de l'année ~

Une mousse flottante sur mon café.

  •  

Sonia Ben Ammar

陽は照らす松の天辺大旦  美音

premier jour de l’an

allumée par l’aube la cime des pins

  •  

Francoise Maurice

元旦や子供のための色鉛筆  美音

premier jour de l'année -

crayons de couleur pour mon enfant 

  •  

Marin Rada

元旦や陰と陽のハーモニー 美音

Premier jour de l'année

l'eau l'air harmonie du yin et du yang

  •  

Isabelle Carvalho Teles

capodanno-

si potesse ricominciare!

 

New Year-

we could start again!

  •  

Stefania Andreoni

年明くる再出発のできたなら  千秋

New Year's Day

a desert rose blossoms

  •  

~ Christina Chin

元日や砂漠に薔薇の咲くごとく  千秋

let's start with the right foot

New Year's Day

  •  

Zamzami Ismail

右足から初めてみやうお元日  千秋

 

 

【読初】

読初世界合同句集かな 美音

Anne-Marie Joubert-Gaillard

  •  

anthologie de haijins du monde-

première lecture de l’an

first reading -

the fresh smell of ink on the pages

  •  

Mirela Brailean

読初紙のインクの匂ひけり  千秋

読初息子の願ひなりにけり 美音

Minuit première lecture

les vœux de mon fils

  •  

Isabelle Carvalho Teles

 

 

【大晦日】

蝶々の影天井に大晦日 美音

Marin Rada

  •  

sfârșit de an -

umbra unui fluture pe tavan

 

la fin de l'année -

l'ombre d'un papillon au plafond

大晦日苦悩の刻の最後かな 美音

Olfa Kchouk Bouhadida

  •  

le premier jour de l'année ~

la fin d'une angoisse aux moments difficiles

 

 

【年の暮】

end of the year

and my last sip of sake

  •  

Zaya youkhanna

年の暮酒の最後のひと啜り  千秋

 

1月2日

 

【新年】

New Year

I really miss my family

  •  

Nani Mariani

年明くる家族の皆の懐かしく  千秋

New Years Day

one more step forward

  •  

Nani Mariani

元日や前進のためもう一歩 千秋

a blank sheet of white paper

new year's day

  •  

Probir Gupta

まつさらな白紙のやうにお元日  千秋

Florence Mühlebach

  •  

Si loin de mes parents ~

Si fraîche leur lettre pour le Nouvel An

 

Far away from my parents~

So fresh their letter for New Year

両親より新年祝ふ手紙受く  千秋

ページ捲る前に空見る年新た  美音

Fabiola Marlah

  •  

jour de l'an ~

j'observe le ciel avant de tourner la page

一言はしじまを壊す年新た 美音

Fabiola Marlah

  •  

nouvelle année ~

un mot pour briser ce silence

年迎ふ新たな太陽現れて 美音

Gisèle Evrot

  •  

jour de l'an ~

un nouveau soleil vient d'éclore

誰もゐぬシャンゼリゼ2021大旦 美音

Bernadette Couenne

  •  

Champs Elysées déserts

premier de l'an 2021

 

 

【初空】

first sky of the year -

looking with hope to the future

  •  

Mirela Brailean

初空に希望の未来広がりぬ  千秋

first sky of the year -

I entrust all my hopes

  •  

Mirela Brailean

初空やすべての希望託しつつ  千秋

the first sky of the year

beautiful scenery adorns the cypress tree

  •  

Nani Mariani

糸杉の景色の先の初御空  千秋

初空やぬくき君の手肌に触れ 美音

Choupie Moysan

  •  

soleil froid du nouvel an--

ta paume aussi chaude contre ma peau

初空や雲には雲のミュージック 美音

Corinne P-Phoenix

  •  

premier ciel de l'année

une note sur chaque nuage

 

 

【年賀状】

年賀状薔薇と「愛してる」と書きて 美音

Anne-Marie Joubert-Gaillard

  •  

carte du nouvel an -

des roses et un je t’aime

年賀状手書きの言葉の温かさ 美音

Cudillero Plume

  •  

carte du nouvel an

la chaleur des mots écrits à la main

 

new year's card

the warmth of handwritten words

In Ismael

  •  

isolation room

open new year's cards one by one

賀状のカードを開く隔離室  千秋

new year's greeting card...

writing a haiku to welcome it

  •  

Rosa Maria Di Salvatore

賀状来てしみじみ一句書いている  千秋

carte du nouvel an

la chaleur des mots écrits à la main

 

new year's card

the warmth of handwritten words

  •  

Cudillero Plume

手書きには温もりのあり賀状来る  千秋

 

 

【初電話】

first telephone -

my finger hesitate next to your name

  •  

Mirela Brailean

指先にためらひのあり初電話  千秋

first phone -

the warm voice of my mother

  •  

Mirela Brailean

その声の温かき母初電話  千秋

premier téléphone

le combiné porte-parole à l'oreille

 

first phone

the speakerphone to the ear

  •  

Cudillero Plume

初電話耳につけたるスピーカー  千秋

君の声大西洋越え初電話 美音

primul telefon -

vocea prietenei mele peste ocean...

  •  

Larbi Limi

 

 

【大晦日】

last day of the year

returning of postponed wishes

  •  

Adoni Cizar

大晦日また向き合つて願ひごと  千秋

子は鳥を追ひに近づく大晦日 美音

Dernier jour de l'année

l'enfant s'approche faisant fuir les oiseaux

  •  

Kamel Meslem

稚児の歯の生え始めたる大晦日 美音

dernier jour de l'année ~

apparition de la première dent de mon bébé

  •  

Olfa Kchouk Bouhadida

 

 

2021年

1月1日

 

【新年】

clinking glasses via virtual drinks

New Year's party

  •  

Barbara Olmtak

バーチャルのグラスかちんと新年会  千秋

Etegami

I collect the colors for the new year

  •  

Salvatore Cutrupi

絵手紙に新年の色集めたる  千秋

 

【初雪】

the first snow-

the colors disappear little by little

 

la prima neve-

spariscono i colori a poco a poco

  •  

Angela Giordano

初雪に消えゆく彩の少しずつ  千秋

first snow -

the soft breathing of a new-born child

  •  

paul callus

初雪や柔き呼吸の新生児  千秋

Carmen Baschieri

  •  

first snow

the footprints of a wolf in the garden

初雪が降る狼の足の跡  千秋

first snow

ink spots of the fountain pen

 

la prima neve

macchie d'inchiostro della stilografica

  •  

Stefano Riondato

初雪や万年筆の染みの跡  千秋

 

【冬の海】

seagulls squawking to the incoming waves

winter shore

  •  

Kimberly Olmtak

冬の海寄せくる波に鳴く鴎  千秋

pacific winter

furious to the bitter end

  •  

Zaya youkhanna

冬の海苦き終りの怒りかな  千秋

 

 

【クリスマス】

social distancing

soundless christmas carol

  •  

Zaya youkhanna

社会的距離の無音の聖歌かな  千秋

 

Christmas Day

the same tree as last year without you

  •  

Nani Mariani

君の居ぬ去年と同じ聖樹かな  千秋

 

【水涸る】

the mud spewing its last bubbles

drying water

  •  

Kimberly Olmtak

水涸るる泥は最後の泡を吐く  千秋

Nani Mariani

bottom of the river

the loneliness deepened

  •  

Nani Mariani

水涸れて孤独がさらに深くなる  千秋

 

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国際俳句の改革に対するご質問とお答え

2020年12月31日 09時19分00秒 | 国際俳句
Haiku Column(俳句大学国際俳句学部投句欄)よりのご報告!
 
〜国際俳句の改革に対するご質問とお答え〜
 
多くの人にご理解とご支援頂く機会を頂きありがとうございます。
ご質問にお答えします。
 
●まず、現在の国際俳句から見ていただきたい。

宮地信弘氏の訳をお借りして、いくつか英語俳句を示し、現在のHAIKU(国際俳句)の状況をみておきたい(注・「英語俳句試論(Ⅰ):日本語俳句の受容と展開」(『三重大学教育学部研究紀要第59巻』二〇〇八・三・一)。
 
①    trapped             回転ドアに
in the revolving door       閉じ込められて
autumn leaves          秋の木の葉たち
(Peter Brady:United States)
②    3 a.m.              午前3時
the alrport conveyor turnlng   空港の回るコンベアー
one battered green valise     緑の手提げかばん潰れて一つ
(Marianne Bluger:Canada)
③    child's voice―          子どもの声―
the old dog           老いた犬は
settles lowerin its box       箱の中でさらに体を低くする
 (Cyril Childs:New Zealand)
④    scent of hyacinth         ヒヤシンスの匂いが
fills the empty room       何もない部屋に満ちる
mother's birthday        母の誕生日
(Doderovicy Zoran:Yogoslavia)
⑤    a leaf              一枚の
patching a hole         木の葉が繕う
in my shoe           靴の穴
(Funda Zveljko:Croatia)
 
ここでは内容の良し悪しは問わないこととして、論述上、俳句の型に注目してみると、①は二行目で切れて、一物仕立て、②は三段切れで、一物仕立て、③は一行目の「―」で切れを表し、二物仕立て(取合せ)、④は二行目で切れて、二物仕立て(取合せ)、⑤は切れがなく、一物仕立てである。これらの例句で問題にしたいのは、②の三段切れはむろんのこと、⑤のような切れのない句である。
三行書きにしただけの俳句は形式のみで、三行詩(散文詩)的なHAIKUが標準になっていることがあげられる。HAIKUは三行書きなりという定型意識が強い。それは俳句の型と俳句の特性に対する共通認識が形成されていないからである。
このように、世界で流通している三行書きのHAIKUは散文詩的で、俳句の型が有効に機能せず、そのために俳句の特性が活かされていない。
 
①国際俳句で、なぜ二行俳句なのか?
 
俳句の型の基本は「切れ」である。松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水のおと」を句切れなしの「古池に蛙飛び込む水のおと」にすると、平板で、幼稚で散文的な表現になる。ところが、「古池や蛙飛び込む水のおと」だと、「切れ」によって、暗示・連想の効果が働き、複雑で、韻文的な表現になる。「切れ」は散文化を防ぎ、韻文化を促すのである。
俳句の基本型は「切れ」とともに「取合せ」で、本来の俳句の特性を示すことになる。「取合せ」の例として、芭蕉の「荒海や佐渡によこたふ天河」を挙げると、「荒海」と「天河」という二物の「取合せ」で読みの幅が広がり、複雑で、韻文的な表現になる。芭蕉自身が「発句は畢竟取合物とおもひ侍るべし」(森川許六『俳諧問答』)と述べているように、「取合せ」は俳句の本質に関わる問題である。
そこで、俳句の本質であり、かつ型である「切れ」と「取合せ」を取り入れた「二行俳句」を提唱したい。
「切れ」のある「取合せ」の二行俳句の一例を「Haiku Column」から挙げてみる。〔永田満徳評〕〔向瀬美音訳〕
 
Castronovo Maria カストロノバ マリア(イタリア)
Aurora boreale ―            北のオーロラ
La coda di una balena tra cielo e mare  空と海の間の鯨の尾
 
掲句は天上のオーロラと海面の鯨との「取合せ」によって、天体ショーを繰り広げるオーロラのもと、鯨が尾を揚げて沈む北極圏の広大な情景が描き出されている。(月刊誌『くまがわ春秋』八月号、二〇一八)
 
Sarra Masmoudi サラ マスモウディ(チェニジア)
palabres électorales~         政治の論争~
le chat remue l'oreille en dormant    猫は寝ながら耳を動かす
 
狸寝入りしながら、ご主人たちの政談を盗み聞きしている猫を描いているのである。夏目漱石の「吾輩は猫である」さながらの情景であるところがおもしろい。(『俳句界』十二月号、二〇一九)
日本の俳句の翻訳の場合であるが、はやくも俳句の構造上による「二行書き」の問題を取り上げていたのは角川源義である。角川源義は『俳句年鑑昭和四十九年版』(昭和四十八年十二月)において、「俳句の翻訳はほとんど三行詩として行われている。これは俳句の約束や構造に大変反している」として、「私は二行詩として訳することを提案する」と述べ、「俳句の構造上、必ずと云ってよいほど句切れがある。切字がある。これを尊重して二行詩に訳してもらいたい」とまで言って、俳句の本質の面から二行書きを推奨している。「切字の表現は二行詩にすることで解決する」と結論付けることによって、「切れ」(切字)による二行書き(二行詩)を提言していることは無視できない。
とどのつまり、「切れ」と「取合せ」は、二行書きにして初めて明確に表現できるのである。
 
②国際俳句において、なぜ、KIGO(季語)を提唱するのか?
 
季語は日本独特なもので、季節のない国の人々が、季語のあるHAIKUを創ることは困難だという常識である。現代の世界俳句では、無季(自由季)が優勢で、季節が六つある国、二つの国、ない国など様々だから、日本語の季語の本意で外国語俳句を分類するのは無理がある。例えば、フランス南東部の「春風」は寒冷で乾燥した北風であり、同国の「月」は秋ではないし、語源は狂気・不安と通じるという考えである。
これに対しては、そういうことが分かった上で、国際俳句においても「KIGO(季語)」を取り入れることを提案したい。
 
Mohammad Azim Khan(モハメッド アジム カン)      
  〔Pakistan〕      〔パキスタン〕
sunny spot (of winter)            (冬の)陽だまり
 the push of a wheelchair      車椅子の一押し
                         向瀬美音訳
 
sunny spotに(of winter)を補ってみたらどうだろう。身障者の「車椅子」を「陽だまり」の中に押し出し、少しでも温まってほしいという気持ちは「冬」の季節でなければ伝わらない。それほどKIGOの喚起力は強いのである。
季語を使った「魔法の取合せ」として、次のような二通りの作り方を提示している。この型は「切れ」と「取合せ」がはっきりし、二行俳句が作りやすいという利点があることを強調しておきたい。
① 一行目は季語
   二行目は季語とは関係のない言葉
② 一行目は季語とは関係のない言葉
   二行目は季語
 
 
毛布 もうふ moufu / blancket / couverture
 
Zamzami Ismail  ザザミ イスマイル
[Indnesia]       [インドネシア]
blancket
the warmth of a baby sleeping soundly in its cocoon
ぐつすりと眠る赤子や毛布掛く
 
Veronika Zora   ヴェロニック ゾラ
〔Canada〕    〔カナダ〕
blankets and chairs
a castle of children's laughter
子の笑ひ毛布と椅子を占領す
 
 向瀬美音訳
 
 現在、国籍もフランス、イタリア、イギリス、ルーマニア、ハンガリー、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、アメリア、インドネシア、中国、台湾と多様である。季節のない国からもKIGOのあるHAIKUが多く投句されてきており、俳句は「KIGOの詩」という認識が世界で広まっている。
 
③曖昧だった国際俳句に基準を設けたことも大きく前進した要因である。
これは、日本を含めた世界共通の基準でもある。
 
二〇一七年四月に「俳句ユネスコ無形文化遺産協議会」が設立された。このこと自体に異議を差しはさむことはない。この運動によって、俳句が広く認知されていくことは俳句の国際化にとってよいことである。しかし、この運動を推進するに当たって、「何をもって、『俳句』とするか、そのコンセプトの共有に危惧を抱く」(西村和子『角川俳句年鑑』巻頭提言・二〇一八年版)という意見は重要である。
 
そこで、世界に通用する「HAIKUとは何か」を明確にするために、「Haiku Column」において、「切れ」と「取合せ」を基本とした「7つの俳句の規則」〔7rules of Haiku〕を例句とともに提示した。〔向瀬美音訳〕
 
1.【取り合わせ】       【TORIAWASE】
〔例句〕永田満徳      〔Example〕Mitsunori Nagata
春近し            near spring
HAIKU講座は二ヵ国語    lecture of HAIKU in two linguages
2.【切れ】         【only one cut】
〔例句〕永田満徳       〔Example〕Mitsunori Nagata
オートバイ          motorbyke on an autumnal path
落葉の道を広げたる      whirlwind of dead leaves
3.【季語】          【season word(KIGO)】
〔例句〕永田満徳       〔Example〕Mitsunori Nagata
百夜より一夜尊し       one night more precious than hundred nighat 
クリスマス          christmas
4.【今を読む・瞬間を切り取る】【catch the monent, tell now】
〔例句〕永田満徳       〔Example〕Mitsunori Nagata
春の雷             spring thunder
小言のやうに鳴り始む      beginning like scording
5.【具体的な物に託す】    【use the concrete object】
〔例句〕永田満徳       〔Example〕Mitsunori Nagata
肌よりも髪に付く雨      the rain dropping on hair not on skin
アマリリス          amaryllis
6.【省略】          【omissions】
〔例句〕永田満徳       〔Example〕Mitsunori Nagata
良夜なり           relaxed night
音を立てざる砂時計      sandglass without sound
7.【用言は少なく】      【avoid verbs,adjevtives, adjective verbs as much as possible】
〔例句〕永田満徳       〔Example〕Mitsunori Nagata
春昼や            spring afternoon
エンドレスなるオルゴール   endless music box
 
Haiku Columnでは、最初、説明的で観念的な句が多かったが、「7つの規則」を提示して以来、形容詞、動詞などが減り、具体的なものに託した表現を基調とし、省略された俳句が多くなっている。
例えば、二〇一九年一月十日の「Haiku Column」において、わずか一日だけの投句であるが、どれも捨てがたい句が揃うようになった。「Haiku Column」を立ち上げて三年目の成果であると思っている。
 
Agnes Kinasih
first light              
mother whispers a prayer of salvation 
初明り
母は救済の祈りを囁く
中野千秋訳
 
Claire Gardien
premier amour               
les lettres de fiançailles de son père à sa mère 
初恋
パパからママへの婚約の手紙
向向瀬美音訳
 
Salvatore Cutrupi
palle di neve-             
l'inizio di un racconto nato per gioco   
雪団子
物語の始まりはおもちゃのように生まれた
向向瀬美音訳


 
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