【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

「Haiku Column」【俳句界】2021.9月号

2021年08月25日 21時13分00秒 | 機関紙「HAIKU」
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!
 
〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2021.9月号〜
 
◆俳句総合誌『俳句界』9月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出しました。「HAIKU」6号と「歳時記」は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
 
The September issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the September issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published. 
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata. 
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
 
septembre aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L septembre de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata. 
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.

Haiku Column(俳句大学)(「俳句界」R3.9月号)

 

【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】    

永田満徳選評・向瀬美音選訳

 

(Facebook「Haiku Column」より)

アンジェラ ジオルダノ(イタリア)

  •  

土星の輪の煙草の煙雲の峰

〔永田満徳評〕

「煙草」を燻らすと渦巻きながら連なって立ち昇る「煙」の輪がさながら「土星の輪」のように見えたことを詠んでいる。「煙草の煙」から「土星の輪」へと連想するということだけでも宇宙にまで広がる壮大な表現であるが、スケールの大きい「雲の峰」を配することによって、さらに気宇壮大な句になっている。

 

Angela Giordano(Italy)

  •  

cumulonimbus

cigarette smoke small rings of Saturn

 

cumulonembo

il fumo di sigaretta piccoli anelli di Saturno

〔Commented by Mitsunori Nagata〕

She writes that when she smokes a "cigarette", the ring of "smoke" that swirls and rises in a row looks like a "ring of Saturn". It is a magnificent expression that extends to the universe just by associating it from "cigarette smoke" to "Saturn's ring", but by arranging a large scale "cloud peak", it becomes a more magnificent phrase.

 

 

カメル メスレム(アルジェリア)

  •  

夏の夜や思ひ揺さぶる古時計

〔永田満徳評〕

寝苦しく、なかなか寝付かれない「夏の夜」に、生まれた時からあった「古時計」がぼんと鳴る。過ぎし日のさまざまな「思ひ」が古い柱時計によって呼び覚まされる。まさしく記憶の底を「揺さぶる」のである。夏の夜と古時計とをうまく取り合わせて、熱帯夜の不眠状態をたくみに表現している。

 

Kamel Meslem(Algeria)

  •  

calme nuit

le bruit de la pendule agite mes pensées

〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕

Par une "nuit d'été" où il est difficile de dormir et de s'endormir, la "vieille horloge" qui existe depuis ma naissance sonne. Diverses "pensées" des jours qui passent sont réveillées par la vieille horloge murale. Cela "secoue" juste le fond de la mémoire. Une bonne combinaison de nuits d'été et de vieilles horloges exprime l'insomnie des nuits tropicales.

 

 

ヴェロニカ ゾラ(カナダ)

  •  

その影も叫んでをりぬ蟬の声

〔永田満徳評〕

梅雨明けを待ってたとばかりに鳴きだす「蟬」の声はじつにうるさく、耳をふさぎたくなるものである。数多くの蟬がおびただしく鳴いているときの声を「蟬時雨」と表現するくらいである。一斉に多くの蟬が鳴きたてる声は「影」さえも「叫んでをりぬ」と言っても少しも大げさではなく、十分に納得できる。

 

Veronika Zora(Canada)

  •  

its shadow also cries

cicada

〔Commented by Mitsunori Nagata〕

The voice of the "cicada" that begins to cry as soon as the rainy season finishes is really noisy and makes you want to close your ears. The voice when many cicadas are crying is described as "cicada rain". The voice of many cicadas crying all at once is not exaggerated even if you say "shadow" or " scream", and you can fully understand it.

 

【今月の季語(Kigo of this month)】        

永田満徳選評・向瀬美音選訳

 

(Facebook「Haiku Column」より)

 

【 大暑 たいしょ taisho / scorching, heat wave / canicule 】

ステファニア アンドレオニ(イタリア)

  •  

もつれたる思考なりけり大暑の日

Stefania Andreoni(Italy)

  •  

caldo -

pensieri aggrovigliati  

フランシスコ パラディノ(イタリア)

  •  

サイレンの響く通りや大暑なる

Francesco Palladino(Italy)

  •  

di strada in strada l’eco di una sirena

caldo continuo

 

from street to street the echo of a siren continuous heat

 

【 朝凪 あさなぎ asanagi / quiet morning sea / mer calme du matin 】

ジーナ ボナセーラ(イタリア)

  •  

朝凪や船は水平線滑り

Gina Bonasera(Italy)

  •  

mare calmo al mattino-

una barca scivola lenta all'orizzonte

 

mer calme le matin-

un bateau glisse lentement à l'horizon

ミレラ ブライレーン(ルーマニア)

  •  

エスプレッソマシンの響く朝の凪

Mirela Brailean(Romania)

  •  

quiet morning sea -

the sound of the coffee espresso maker

 

【 夏休み なつやすみ natsuyasumi / summer vacation / vacances d’été 】

イザベル カルヴァロ テレス(フランス)

  •  

夏休み肌に砂と塩の結晶

Isabelle Carvalho Teles(France)

  •  

vacances d'été

sur ma peau des cristaux de sel et de sable ※

タンポポ 亜仁寿(インドネシア)

  •  

summer vacation

the puzzle of sea waves landscape

タンポポ 亜仁寿(Indonesia)

  •  

夏休み海の景色のパズルかな 

 

【 天道虫 てんとうむし tentoumushi / ladybug, ladybird / coccinelle 】

イスマン カーン(チュニジア)

  •  

手の中で大人しくして天道虫

Ismahen Khan(Tunisia)

  •  

se fait sage dans ma main

et je fais un vœux ~coccinelle

エヴァ スー(インドネシア)

  •  

てんと虫古きベンチにわれ一人

Eva Su(Indonesia)

  •  

sitting alone on the old bench

ladybug

ladybug
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〜Facebook「華文俳句社」 【俳句界】2021.9月号〜

2021年08月25日 21時03分20秒 | 華文俳句

俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!

〜Facebook「華文俳句社」 【俳句界】2021.9月号〜

◆2021年『俳句界』9月号が発行されました。

◆華文圏に俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。

◆東北公益文科大学教授の呉衛峰氏、台湾詩人の洪郁芬氏を中心として、マレーシア詩人の趙紹球氏、台湾詩人の郭至卿氏の四人が2018年にFacebookグループ「華文俳句社」を立ち上げた。

◆2018年11月1日には、華文俳句社の四人による二行書きの華文俳句の合同句集『華文俳句選』(醸出版)が刊行されました。

◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行しています。ついに、全季節を網羅した、世界的にも画期的な「歳事記」が2020年10月に発行されました。これで季重なりの問題が解消されるでしょう。

◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載しています。

◆2020年『俳句界』3月号の特別レポートにおいて、「熊本大学」で呉衛峰氏が行ったラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。

◆どうぞご理解とご支援をお願いします。

 

俳句大學國際俳句學部的通知!

~Facebook 「華文俳句社」Kabun Haiku 2021・9〜

◆2021年『俳句界』9月號已出版。

◆於華文圏提倡包含俳句的基礎「一個切」和「兩項對照組合」的二行俳句。

◆2018年12月1日已出版華文俳句的合著,『華文俳句選』。

◆2020年『俳句界』3月號以八頁的篇幅特別報導了於「熊本大學」舉辦的「華文俳句の可能性」座談會。

◆請各位多多支持指教。

華文俳句【俳句界】2021,9月号

永田満徳選評・洪郁芬訳

慢鵝

  •  

河濱單車上的口哨曲

夏至

〔永田満徳評論〕

「夏至」正值梅雨季節,此時的好天氣可以說是梅雨晴間的片刻,映在河面上的藍天格外耀眼。作者騎著「單車」在綿延的「河岸」漫遊,不禁心曠神怡的吹起口哨,吹出喜歡的歌曲。不慌不忙的,看著自己欣賞迎面而來的風,並記錄此情景。

 

慢鵝

  •  

河岸に自転車の口笛曲

夏至

〔永田満徳評〕

「夏至」は梅雨のさなかにあり、その頃の晴天は梅雨の晴れ間といってよく、川面に映る空の青さは際立ってまぶしい。長く伸びた「河岸」を「自転車」に乗り、散策しているのである。あまりの心地よさにお得意の「口笛」で、好きな「曲」を吹きながら、急ぎこともなく、向かい風を楽しでんいる様子をうまく切り取っている。

 

 

雨靈

  •  

新秀男星的寸頭造型

炎天下

〔永田満徳評論〕

作者或許是在街頭碰見正在拍攝動作片的場景。聽著導演大聲的訓斥,「新秀男星」依舊有些笨手笨腳,卻十分賣力地演出。「寸頭造型」在「炎天下」更顯露青年人活潑瀟灑的特質,構成清爽的一個畫面。

 

雨靈

  •  

新米の男タレントのスポーツ刈り

炎天下

〔永田満徳評〕

アクションドラマの路上撮影であろうか。監督の怒声を浴びながら、「新米の男タレント」がまだぎこちない動作であるが、一生懸命に演技をしているのである。「スポーツ刈り」という頭髪に注目しているところがよく、「炎天下」あればあるほど、溌剌として、颯爽とした元気のよい青年の動きが見て取れる。

 

 

鄭如絜

  •  

被禁足的少女

風鈴

〔永田満徳評論〕

少女可能被迫居家隔離,以防止新冠狀病毒傳播,或是被家長懲罰而不准外出。在掛著風鈴清涼聲響的房間裡,一個哪兒都去不了的女孩一個人在玩耍。與「風鈴」的兩項對照組合很好,有讓讀者想像「女孩」所處的環境和情境的效果。

 

鄭如絜

  •  

外へ出るのを禁止された少女

風鈴

〔永田満徳評〕

新型コロナウイルス拡大防止のために自宅待機を余儀なくされているのであろう。あるいは、罰として外出を禁止されているのか。吊るされた風鈴が涼しげに鳴る部屋で、どこへも行けない少女が一人遊びをしているのである。「風鈴」との取合せがよく、読み手に「少女」の置かれた環境や状況を想像させる効果がある。

 

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