俳句大学国際俳句学部よりお知らせ【国際俳句の取り組み】!
〜Facebook「Haiku Column〜
☆【俳句界】2022年9月号☆
◆俳句総合誌『俳句界』2022年9月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】、2022年6月には【冬・新年】を出版しました。「HAIKU」6号と「歳時記」春・冬・新年は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
The September issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the September issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
Septembre aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L Septembre de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】
(Facebook「Haiku Column」より)
Barbara Olmtak(Holland)
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walnuts
cracking a brainteaser
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
The 'walnut' is covered in such a hard shell that a special device called a nutcracker is used. The difficulty with 'Gotoku haiku' is that the ideas and expressions can become commonplace and easily fall into the clichéd category, but if the metaphor is good, the haiku can be memorable and impactful. The metaphor of solving a difficult problem as opposed to cracking walnuts is interesting and shows the quality of 'kotoku haiku'.
バーバラ オルムタック(オランダ)
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難問をかち割るごとき胡桃かな
〔永田満徳評〕
胡桃割りという特別な器具を使うほど、「胡桃」は堅い殻に覆われている。「ごとく俳句」は発想、表現がありふれたものになり、月並に陥りやすいという難しさがあるが、喩えが良ければ印象深く、インパクトのある句になる。胡桃を割ることに対して、難問を解くという喩えはおもしろく、「ごとく俳句」のよさを示している。
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Stefania Andreoni(Italy)
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sinfonia concertante -
un tramonto dipinge il temporale
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
"Sinfonia Concertante" è un brano finalizzato alla collaborazione tra due o più solisti e un'orchestra dinamica. Combinando la variegata musica di strumenti solisti e orchestrali con la scena dei temporali dove si vede il tramonto tra le nuvole, piuttosto che i temporali che coprono il cielo, è più vivido come se fosse una Sinfonia Concertante che raffigura il tramonto cielo.
ステファニア アンドレオ(イタリア)
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協奏交響曲雷雨を染める夕日なり
〔永田満徳評〕
「協奏交響曲」は2つ以上のソロ奏者とダイナミックなオーケストラとの協演を目的とした楽曲。独奏楽器とオーケストラとが織りなす、変化に富む音楽に、空を覆う雷雲というより、雲間に夕日が見える雷雨の情景を取り合わせることによって、あたかも協奏交響曲のようだと表現したところに、より鮮やかな夕焼け空を描き出している。
※
タンポポ 亜仁寿(Indonesia)
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wind chimes sold out -
where did the wind go
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
The 'wind chimes', which had been hung in great numbers and rattled in a frightening manner, have been sold out, and the wind that had been sent to the wind chimes has disappeared somewhere else. However, the wind is still blowing. The beauty of this haiku is that it expresses that as the wind chimes for sale disappear, the wind also disappears. There is a discovery here, an interest that transcends logic.
タンポポ 亜仁寿(インドネシア)
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風鈴は売り切れ風も消え失せる
〔永田満徳評〕
数多く吊り下げて、おびただしく鳴っていた「風鈴」が売り切れて、それまで風鈴に送っていた風もどこかへ消えて行ってしまったという。しかし、風は依然として吹いているのである。この句のよさは、売る風鈴がなくなるとともに、「風も消え失せる」と表現したところである。ここには発見があって、理屈を越えたおもしろさがある。
【今月の季語(Kigo of this month】
(Facebook「Haiku Column」より)
【 猛暑 もうしょ mousho / scorching, heat wave / canicule 】
Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
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canicule dominante ~
les klaxons de joie submergent les rues
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
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猛暑なり道はクラクションに溢れたる
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Abdallah Hajji(Morocco)
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canicule
mon ombre me précède à la rivière
アブダラ ハジイ(モロッコ)
【 緑蔭 りょくいん ryokuin / the shade of a tree / ombrage des feuillages 】
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Francesco Palladino(Italy)
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tree shadows
my last home in the coolness
フランシスコ パラディノ(イタリア)
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緑陰やわれの居場所はここにあり
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Gisèle Evrot(France)
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couchés dans un coin d'ombre bleue ~
nos voix s'endorment
ジゼル エヴロット(フランス)
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緑蔭やしばし二人は眠り込み
【 麦藁帽子 むぎわらぼうし mugiwarabousi / straw hat / chapeau de paille 】
Françoise Deniaud-Lelièvre(France)
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bourrasque soudaine
les chapeaux de paille se sentent pousser des ailes
フランソワーズ ドヴニオー ルリエーブル(フランス)
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突風や麦藁帽に羽の生え
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Anne-Marie Joubert-Gaillard(France)
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chapeaux de paille -
mère et fille comme des sœurs sous le soleil
アンヌーマリー ジュベール‐ガヤール(フランス)
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麦藁帽姉妹のやうな親子かな
【 アイスクリーム あいすくりーむ aisukuri-mu / ice cream / glace 】
Meije Li(France)
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un enfant court vers le marchand de glaces ‐
un nuage le suit
メイジュ リー(フランス)
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アイスクリーム売りに子は走る雲それを追ふ
※
Mara Faccioni(Italy)
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strawberry ice-cream -
my son's fresh kisses on my cheecks
マラ ファッチオーネ(イタリア)
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アイスクリームわたしの頬に子のキッス
【 香水 こうすい kousui / perfume / parfum 】
タンポポ 亜仁寿(Indonesia)
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many perfume scent blowing in the wind-
beautiful lies
タンポポ 亜仁寿(インドネシア)
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美しき嘘や香水をちこちに
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Kim Olmtak Gomes (Holland)
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hot date
flames of perfume
キム オルムタック ゴメス(オランダ)
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香水は炎のごとき逢瀬かな
【 蟬 せみ semi / cicada / cigale 】
Nuky Kristijno(Indonesia)
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cicada song
feeling of loneliness strikes me
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
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蟬の声込み上げてくる孤独感
※
feten fourti(Tunisia)
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lever du jour sans doute
les oiseaux prenant la relève des cigales
フテン フルチ(チュニジア)
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あかときや蟬の鳴き声に鳥が継ぎ
【 蝸牛 かたつむり katatsumuri / snail / escargot, limaçon 】
Rina Darsa(indonesia)
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snail
life goes so slow
リナ ダルサ(インドネシア)
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かたつむり人生かくもゆつくりと
※
Nani Mariani(Australia)
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snail
wherever I go I'm always alone
ナニ マリアニ(オーストラりア)
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かたつむり何処へ行くにも一人ぼつち
【 百合 ゆり yuri / lily / lys 】
Christina Chin(Malaysia)
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silence except for the wind
lily fields
クリスティーナ チン(マレーシア)
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風の音だけが過ぎ去る百合の園
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Angela Giordano(Italy)
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candidi gigli
l'innocenza dei bambini
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
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白百合や子らはなべて無邪気なる