俳句大学国際俳句学部よりお知らせ【国際俳句の取り組み】!
〜Facebook「Haiku Column〜
☆【俳句界】2022年10月号☆
◆俳句総合誌『俳句界』2022年10月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】、2022年6月には【冬・新年】を出版しました。「HAIKU」6号と「歳時記」春・冬・新年は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
The October issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the October issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
Octobre aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆ Octobre aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】
(Facebook「Haiku Column」より)
Larbi Limi(Morocco)
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sieste d'été
le silence perturbe le silence
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
La sieste présente de nombreux avantages, notamment la réduction du stress et une meilleure concentration. Pour passer une bonne nuit de sommeil, vous devez être conscient de votre position de sommeil et de vos vêtements, ainsi que de votre environnement. On dit souvent que "le calme dérange le calme", ce qui décrit bien le fait que si votre environnement est trop calme, le calme deviendra gênant et vous ne pourrez pas vous endormir assez rapidement.
ラルビ リミ(モロッコ)
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静けさは静けさ乱す昼寝かな
〔永田満徳評〕
「昼寝」にはストレス解消や集中力の向上など、さまざまな効果がある。良質な睡眠をとるためには眠るときの体勢や服装などはもちろん、周囲の環境にも気をつける必要がある。「静けさは静けさ乱す」とはよく言ったもので、周囲があまりにも静かだと、その静けさがやけに気になり、すぐには寝付けないことをうまく表現している。
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タンポポ 亜仁寿(Indonesia)
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snake moving on wet grass -
cursive calligraphy
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Although 'snakes' have lost their limbs for movement, they show a high degree of adaptability, with their elongated bodies enabling them to move on the ground, in trees and underwater. They are slippery vertically and non-slippery horizontally, and, as the word 'meander' implies, they move forward in a sinuous manner. The gotokuhaiku is a fascinating form of haiku.
タンポポ 亜仁寿(インドネシア)
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濡れし草筆記体のごと蛇がゆく
〔永田満徳評〕
「蛇」は移動するための四肢を失ったとはいえ、細長い体によって地上や樹上、水中での移動を可能にし、高い適応性を示す。縦には滑りやすく、横には滑りにくい特性を生かし、「蛇行」という言葉通り、くねくね曲がりながら進む。「筆記体のごと」と言われてみればその通りで、〈ごとく俳句〉のおもしろさを感じさせる句である。
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Anna Rimondi (Italy)
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nata nell'acqua per volare nel vento -
la libellula
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
La libellula è un insetto acquatico che si trova nelle risaie, nei ruscelli, negli stagni e nelle paludi. Emergono dall'acqua, si schiudono e volano via. Possono volare in vari modi e possono anche catturare le prede mentre volano. L'espressione "nato nell'acqua e soffiato dal vento" coglie con precisione la stretta relazione tra acqua e vento nell'ecologia della libellula.
アンナ リモンディ(イタリア)
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水に生まれ風に吹かるる蜻蛉かな
〔永田満徳評〕
「蜻蛉」は水生昆虫で、田んぼや小川、池や沼などにも生息している。やがて水中から出てきて、羽化して飛び立つ。〈とんぼ返り〉という言葉もあるぐらい、様々な飛び方ができるし、飛びながら獲物を捕まえることもできる。「水に生まれ風に吹かれ」と表現したところは、蜻蛉の生態における〈水〉と〈風〉との密接な関係を的確に捉えている。
【今月の季語(Kigo of this month】
(Facebook「Haiku Column」より)
【 夏至 げし geshi / summer solstice / solstice d’été 】
Zamzami Ismail(Indonesia)
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better alone than both but feel alone
summer solstice
ザンザミ イスマイル(インドネシア)
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夏至の日や一人が好きで寂しくて
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Zdenka Mlinar(Croatia)
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"Midsummer Night's Dream" by W. Shakespeare
summer solstice
ズデンカ ムリナ―(クロアチア)
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夏至の日に開いて「真夏の夜の夢」
【 夏の風 なつのかぜ natsunokaze / summer breeze / vent d’été 】
Kim Olmtak Gomes(Holland)
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whiffs from behind the sun
summer breeze
キム オルムタック ゴメス(オランダ)
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太陽の匂ひを運ぶ夏の風
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Ngo Binh Anh Khoa(Vietnam)
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summer breeze
the scent of her perfume lingers in the air
ナゴ ビン アン コア(ベトナム)
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夏の風君の香りのまだ消えず
【 夕焼 ゆうやけ yuuyake / sunset / embrasement du soleil couchant 】
Mirela Brailean(Romania)
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sunset -
the shadows delay
ミレラ ブライレーン(ルーマニア)
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夕焼けの影が遅れて付いてくる
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Anna Rimondi(Italy)
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cielo al tramonto-
una parte di me sfuma col rosso
アンナ リモンディ(イタリア)
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夕焼や身の一部分赤くなる
【 夏休み なつやすみ natsuyasumi / summer vacation / vacances d’été 】
Rachida Jerbi(Tunisia)
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grandes vacances ~
la fillette joue à la maîtresse avec les poupées
ラチダ ジェルビ(チュニジア)
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夏休み娘は人形と先生ごつこ
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Gabriella De Masi(Italy)
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ferie estive-
il profumo di pane che manca all'alba
ガブリエラ デマシ(イタリア)
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夏休み夜明けのパンの懐かしく
【 泳ぎ およぎ oyogi / swim / baignade 】
Barrie Levine(USA)
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midnight swim
our bodies drenched in silver light
バリー レビン(アメリカ合衆国)
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真夜中を泳ぎて銀の灯に濡れて
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Feten Fourti(Tunisia)
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première baignade sans toi
mes larmes plus salées que l eau de mer
フテン フルティ(チュニジア)
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初泳ぎ涙は海水より塩辛し
【砂日傘 すなひがさ sunahigasa / beach parasol / parasol de plage 】
Christina Chin(Malaysia)
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rhythm of a boat…
under the beach umbrella soothing lull
クリスティーナ チン(マレーシア)
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舟のリズムゆつたり過ごす浜日傘
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Choupie Moysan(France)
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rondeurs charnues sous le parasol
en bouche l'olive
シュピー モイサン(フランス)
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オリーブや砂日傘の下のまろき体
【冷酒 れいしゅ reishu / cold sake / saké froid 】
Rina Darsa(Indonesia)
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cold sake
I share my smile with the world
リナ ダルサ(インドネシア)
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微笑みを世界と分かち冷酒酌む
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Ana Irina(Romania)
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cold sake -
I open a Japanese novel
アナ イリナ(ルーマニア)
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につぽんの小説開き冷酒酌む
【 花火 はなび hanabi / firework / feu d’artifice 】
Lucie-Soleil Ouellet(France)
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sérénité du soir devant la rivière
soudain des feux d'artifices
リュシー ソレイユ ウイエ(フランス)
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川の夜のしじま突如の花火かな
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Carmen Baschieri(Italy)
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fuochi d'artificio
così lontano il rombo della guerra
fireworks
so far the roar of war
カルメン バシエリ(イタリア)
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揚花火はるか遠くに戦火かな