俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!
〜Haiku Column 「俳句界」2021・6〜
◆俳句総合誌『俳句界』6月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
◆ 6月号から、「俳句は『切れ』を基本として、『季語』が重要な役割を持つ短詩型文芸である。」という文言に変更し、より強く「季語」を取り入れたHAIKUを提唱します。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出しました。「HAIKU」6号と「歳時記」は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
juin aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L juin de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
The June issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the June issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
Haiku Column(俳句大学国際俳句学部)
(「俳句界」R3.6月号)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】永田満徳選評・向瀬美音選訳
(Facebook「Haiku Column」より)
※
アンジェラ ジオルダノ(イタリア)
●
忘れないでね菫の束を渡しけり
〔永田満徳評〕
別れの場面で、紫のスミレの花束を贈ったのであろう。花言葉は「貞節」「愛」。やむを得ない事情で別れなければならない相手に対して、愛の証の「菫」の花束を添えて、「忘れない」でほしいと思う気持はよく共感できるし、切ない恋心をうまく詠み込んでいる。
Angela Giordano
●
a bunch of violets not to forget
old correspondence
un mazzo di viole per non dimenticare
vecchia corrispondenza
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
At the time of farewell, he probably gave a bouquet of purple violets. The flower language is "chastity" and "love". For those who have to break up due to unavoidable circumstances, I can sympathize with the feeling that I want them to "remember" with a bouquet of "菫"(sumire) as a proof of love, and she is able to descrive a sad love well.
※
バーバラ オルムタック(オランダ)
●
花びらに人生乗せて散る桜
〔永田満徳評〕
桜が咲き、散る様をみると、また一年が巡ってきた感慨を催すものである。春という季節が四季の起点を表すためであろう。つぎつぎと枝から離れて「散る桜」の「花びら」のひとつ一つに一年ごとに繰り返される「人生」の重みを感じる感覚は深く心惹かれる。
Barbara Olmtak
●
petal by petal life's journey
flutter of cherry blossoms
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Seeing the cherry blossoms bloom and fall makes me feel the excitement of the year. This is probably because the season of spring represents the starting point of the four seasons. Feeling the weight of "life" that is repeated every year for each "petal" of "scattering cherry blossoms" away from the branches is deeply fascinating.
※
フテン フルティ(チュニジア)
●
鼻と目と耳より愛の賛美の春
〔永田満徳評〕
自然豊かな戸外の「春」を心ゆくまで味わっている情景であろう。野山が芽吹き、新緑で満たされる「春」であればこそ、「春」を「鼻と目と耳」という全身で「賛美」する気持は決して大げさではなく、素直に共感できる。横溢する「春」をうまく捉えている。
Feten.Fourti
●
printemps
mes yeux mon nez mes oreilles exaltant un hymne d’amour
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Ce sera une scène où vous pourrez profiter de la «source» extérieure riche en nature à votre guise. Seulement au «printemps», quand les prairies se remplissent de vert frais, la sensation de «faire l'éloge» du «printemps» avec tout le corps du «nez, des yeux et des oreilles» n'est pas exagérée, et vous pouvez sympathiser honnêtement. Il capte bien le «printemps» débordant.
【今月の季語(Kigo of this month)】永田満徳選評・向瀬美音選訳
(Facebook「Haiku Column」より)
【 地球の日 ちきゅうのひ chikyuunohi / earth day / jour de la terre 】
※
マフィズディン チュードハリ(インド)
●
使ひ捨て眼鏡捨てられ地球の日
Mafizuddin Chowdhury
●
disposable glasses in the dustbin
earth day
※
ローザ マリア ディ サルバトーレ(イタリア)
●
地球の日空気汚さぬ自転車で
Rosa Maria Di Salvatore
●
earth day...
I will go by bike not to pollute
giornata della terra...
andrò in bicicletta per non inquinare
【春分 しゅんぶん shunbun / the spring equinox /équinoxe de printemps 】
※
ソニア ベン アマール(チュニジア)
●
春分や花弁ごとに句を作り
Sonia Ben Ammar
●
équinoxe de printemps
formant un haïku par les pétales.
※
キンベリー オルムタック(オランダ)
●
春分や次々命溢れ出す
Kimberly Olmtak
●
hatch sprout give birth
bursts of lives under spring equinox
【 四月馬鹿 しがつばか shigatsubaka / april fool / poisson d'avril 】
※
カディジャ エル ブルカディ(チュニジア)
●
全て皆平等なりて万愚節
Khadija El Bourkadi
●
tous égaux
poisson d'avril
※
アブダラ ハジイ(モロッコ)
●
四月馬鹿猫は魚を水族館に
Abdallah Hajji
●
premier avril
le chat ramène le poisson à l'aquarium
【桜 さくらsakura / cherry blossom in flower / cerisier en fleurs】
※
フランシスコ パラディノ(イタリア)
●
諍ひの後の抱擁花万朶
Francesco Palladino
●
with open arms after a silly quarrel
flowering trees
※
アグネーゼ ジアロンゴ(イタリア)
●
空に舞ふすべての願ひ桜満開
Agnese Giallongo
●
ciliegi fioriti -
tutti i desideri volano nel vento
俳句大学投句欄よりお知らせ!
〜季語で一句 ⑱〜
◆『くまがわ春秋』5月号が発行されました。
◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。
◆お求めは下記までご連絡下さい。
(info@hitoyoshi.co.jp ☎0966-23-3759)
「くまがわ春秋」
【季語で一句】(R3・5月号)
永田満徳:選評・野島正則:季語説明
霾(つちふる)「春-天文」
藤野富士雄
自らの撒きし罪ほど黄沙降る
【永田満徳評】
「黄砂」が発生すると、日射量が減り、空が混濁し、あちらこちらがじゃりじゃりとして、まことに鬱陶しい。掲句は、その「黄砂」を「罪」と感じて、自らのことと考えているところに発想のおもしろさがある。
【季語の説明】
「黄砂」はアジア内陸部のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠などの乾燥地帯の砂塵が強風で巻き上げられ飛来する。空が黄色く霞んで見えることから、黄砂現象ともいう。春に雪解けが進み、低気圧が発生すると、砂が舞い上がった黄砂が偏西風に乗って日本付近にやってくる。日本で黄砂の観測が多いのは4月である。
汐干狩(しおひがり《しほひがり》)「春-生活」
飯沼 鼎一
妻の尻ひと目で分かり汐干狩
【永田満徳評】
「潮干狩」は目の高さに貝を掘る人の尻がある。「尻ばかり谷津の干潟や潮干狩 栄太郎」もいいが、掲句の方が「尻」に焦点が当たり、「妻の」という措辞に、妻への親しみとともに俳味が感じられて、いい。
【季語の説明】
「汐干狩」は干潮時の潟で蛤・浅蜊などの貝をとって遊ぶこと。旧暦の三月三日のころの大潮は潮の干満の差が大きく、干潟が大きくなるので潮干狩りに適している。旧暦3月初めの巳の日に、海辺でみそぎをする習慣に始まったという。近年は、日は固定せず、単なる個人の遊びで、春の風物詩となっている。
(ふじ《ふぢ》)「春-植物」
藤野富士雄
揺れる影さへ匂ひたる藤の花
【永田満徳評】
「藤」は華やかさから、古来親しまれてきた。藤房が垂れている、懸かり藤はその多数の花と花の間の「影」までも巻き込み、「匂ふ」と言っても大袈裟ではなく、掲句は豪奢な藤の様をうまく表現している。
【季語の説明】
「藤」はマメ科の蔓性の落葉低木。山野に自生し、つるは右巻き。晩春の頃、紫色の蝶形の花が総状に垂れ下がって咲くことから藤房ともいう。懸かり藤は、蔓を木から木へ掛けて咲き、滝のようである。風に揺られて、芳香がある姿は優雅である。藤独特の優しい色味があり、藤の花言葉は「優しさ」である。