【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜Haiku Column 「俳句界」2021・6〜

2021年05月25日 15時37分23秒 | 月刊誌「俳句界」

俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!

〜Haiku Column 「俳句界」2021・6〜

◆俳句総合誌『俳句界』6月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
◆ 6月号から、「俳句は『切れ』を基本として、『季語』が重要な役割を持つ短詩型文芸である。」という文言に変更し、より強く「季語」を取り入れたHAIKUを提唱します。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出しました。「HAIKU」6号と「歳時記」は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。

juin aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L juin de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.

The June issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the June issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.

Haiku Column(俳句大学国際俳句学部)
(「俳句界」R3.6月号)

【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】永田満徳選評・向瀬美音選訳
(Facebook「Haiku Column」より)

アンジェラ ジオルダノ(イタリア)

忘れないでね菫の束を渡しけり  
〔永田満徳評〕
別れの場面で、紫のスミレの花束を贈ったのであろう。花言葉は「貞節」「愛」。やむを得ない事情で別れなければならない相手に対して、愛の証の「菫」の花束を添えて、「忘れない」でほしいと思う気持はよく共感できるし、切ない恋心をうまく詠み込んでいる。

Angela Giordano

a bunch of violets not to forget
old correspondence

un mazzo di viole per non dimenticare
vecchia corrispondenza
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
At the time of farewell, he probably gave a bouquet of purple violets. The flower language is "chastity" and "love". For those who have to break up due to unavoidable circumstances, I can sympathize with the feeling that I want them to "remember" with a bouquet of "菫"(sumire) as a proof of love, and she is able to descrive a sad love well.



バーバラ オルムタック(オランダ)

花びらに人生乗せて散る桜  
〔永田満徳評〕
桜が咲き、散る様をみると、また一年が巡ってきた感慨を催すものである。春という季節が四季の起点を表すためであろう。つぎつぎと枝から離れて「散る桜」の「花びら」のひとつ一つに一年ごとに繰り返される「人生」の重みを感じる感覚は深く心惹かれる。

Barbara Olmtak

petal by petal life's journey
flutter of cherry blossoms
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Seeing the cherry blossoms bloom and fall makes me feel the excitement of the year. This is probably because the season of spring represents the starting point of the four seasons. Feeling the weight of "life" that is repeated every year for each "petal" of "scattering cherry blossoms" away from the branches is deeply fascinating.



フテン フルティ(チュニジア)

鼻と目と耳より愛の賛美の春 
〔永田満徳評〕
自然豊かな戸外の「春」を心ゆくまで味わっている情景であろう。野山が芽吹き、新緑で満たされる「春」であればこそ、「春」を「鼻と目と耳」という全身で「賛美」する気持は決して大げさではなく、素直に共感できる。横溢する「春」をうまく捉えている。

Feten.Fourti

printemps
mes yeux mon nez mes oreilles exaltant un hymne d’amour
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Ce sera une scène où vous pourrez profiter de la «source» extérieure riche en nature à votre guise. Seulement au «printemps», quand les prairies se remplissent de vert frais, la sensation de «faire l'éloge» du «printemps» avec tout le corps du «nez, des yeux et des oreilles» n'est pas exagérée, et vous pouvez sympathiser honnêtement. Il capte bien le «printemps» débordant.



【今月の季語(Kigo of this month)】永田満徳選評・向瀬美音選訳
(Facebook「Haiku Column」より)

【 地球の日 ちきゅうのひ chikyuunohi / earth day / jour de la terre 】

マフィズディン チュードハリ(インド)

使ひ捨て眼鏡捨てられ地球の日  
Mafizuddin Chowdhury

disposable glasses in the dustbin
earth day

ローザ マリア ディ サルバトーレ(イタリア)

地球の日空気汚さぬ自転車で
Rosa Maria Di Salvatore

earth day...
I will go by bike not to pollute
giornata della terra...
andrò in bicicletta per non inquinare


【春分 しゅんぶん shunbun / the spring equinox /équinoxe de printemps 】

ソニア ベン アマール(チュニジア)

春分や花弁ごとに句を作り  
Sonia Ben Ammar

équinoxe de printemps
formant un haïku par les pétales.

キンベリー オルムタック(オランダ)

春分や次々命溢れ出す  
Kimberly Olmtak

hatch sprout give birth
bursts of lives under spring equinox


【 四月馬鹿 しがつばか shigatsubaka / april fool / poisson d'avril 】

カディジャ エル ブルカディ(チュニジア)

全て皆平等なりて万愚節 
Khadija El Bourkadi

tous égaux
poisson d'avril

アブダラ ハジイ(モロッコ)

四月馬鹿猫は魚を水族館に 
Abdallah Hajji

premier avril
le chat ramène le poisson à l'aquarium


【桜 さくらsakura / cherry blossom in flower / cerisier en fleurs】

フランシスコ パラディノ(イタリア)

諍ひの後の抱擁花万朶  
Francesco Palladino

with open arms after a silly quarrel
flowering trees

アグネーゼ ジアロンゴ(イタリア)

空に舞ふすべての願ひ桜満開
Agnese Giallongo

ciliegi fioriti -
tutti i desideri volano nel vento

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〜Facebook「華文俳句社」Kabun Haiku 2021・6〜

2021年05月25日 15時15分24秒 | 華文俳句
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!
〜Facebook「華文俳句社」Kabun Haiku 2021・6〜
◆2021年『俳句界』6月号が発行されました。
◆華文圏に俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2018年11月1日には、二行書きの華文俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆2020年12月、本格二行俳句の評論集である余境喜氏著『華文俳句評論集』が発刊されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行しています。ついに、全季節を網羅した、世界的にも画期的な「歳事記」が2020年10月に発行されました。これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載しています。
◆2020年『俳句界』3月号の特別レポートにおいて、「熊本大学」で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解とご支援をお願いします。
俳句大學國際俳句學部的通知!
~Facebook 「華文俳句社」Kabun Haiku 2021・6〜
◆2021年『俳句界』6月號已出版。
◆於華文圏提倡包含俳句的基礎「一個切」和「兩項對照組合」的二行俳句。
◆2018年12月1日已出版華文俳句的合著,『華文俳句選』。
◆2020年『俳句界』3月號以八頁的篇幅特別報導了於「熊本大學」舉辦的「華文俳句の可能性」座談會。
◆請各位多多支持指教。
華文俳句【俳句界】2021,6月号
永田満徳選評・洪郁芬訳
江彧
阿公騎腳踏車載金孫
風車
〔永田満徳評論〕
描述爺孫情感的一首溫馨俳句。情景是爺爺騎腳踏車載著手裡拿風車的孫子。也許是附近正在舉行祭典,被要求之下只好買了風車。風車一路隨著腳踏車順勢旋轉,春天的氣氛也隨著暖空氣一同旋轉。
江彧
おじいちゃんが自転車で孫を乗せる
風車
〔永田満徳評〕
いわゆる孫俳句で、「おじいちゃん」が運転する「自転車」の荷台に「風車」を手にした「孫」が乗っている情景。近くでお祭りがあって、せがまれて、買ってあげた風車であろう。自転車の勢いで、くるくると回っている風車がいかにも春ののどかな雰囲気を醸しだしていて、心惹かれる。
鄭如絜
老翁腰上的竹簍
青蛙
〔永田満徳評論〕
這是在蛙鳴的河畔釣魚的情景。一個老人在腰間繫上竹簍,並不刻意等待魚兒上鉤。竹簍裡已經有幾條魚了!與其說是為了釣更多魚,不如說是為了要停留在春天恬靜的一個時刻。
鄭如絜
老人の腰に竹籠
〔永田満徳評〕
「蛙」が鳴く川べりで魚を釣っている情景であろう。ひとりの「老人」が「腰」に「竹籠」を結いつけて、魚が釣れるのを待つともなく待っているといった感じである。「竹籠」にはすでに数匹の魚が入っているが、釣果を期待しているというより、春のひと時を楽しんでいるところがいい。
黃士洲
老胡同裡的三輪車
貓之戀
〔永田満徳評論〕
三輪車應該是可以說是三輪的計程車吧?走入老胡同,看見一輛被遺棄似的三輪車閒放著。那裏有熱鬧的人間煙火,和「貓之戀」發出惱人的叫聲。這些都是老胡同的日常春天情景。
黃士洲
古い路地裏の三輪車
猫の恋
〔永田満徳評〕
「三輪車」は「三輪タクシー」のたぐいであろう。「古い路地裏」に一歩入ると、捨て置かれたような「三輪車」がある。そこには、にぎやかな人々の日常生活があり、うるさいくらいの猫の鳴き声が響き渡る「猫の恋」の世界がある。「路地裏」の春の日常をうまく切り取っている。
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〜季語で一句 ⑱〜

2021年05月15日 10時13分01秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

 

〜季語で一句 ⑱〜

 

◆『くまがわ春秋』5月号が発行されました。

◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。

 (info@hitoyoshi.co.jp ☎0966-23-3759)

 

「くまがわ春秋」

【季語で一句】(R3・5月号)

永田満徳:選評・野島正則:季語説明

 

霾(つちふる)「春-天文」

 

藤野富士雄

  •  

自らの撒きし罪ほど黄沙降る

【永田満徳評】

「黄砂」が発生すると、日射量が減り、空が混濁し、あちらこちらがじゃりじゃりとして、まことに鬱陶しい。掲句は、その「黄砂」を「罪」と感じて、自らのことと考えているところに発想のおもしろさがある。                 

【季語の説明】

「黄砂」はアジア内陸部のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠などの乾燥地帯の砂塵が強風で巻き上げられ飛来する。空が黄色く霞んで見えることから、黄砂現象ともいう。春に雪解けが進み、低気圧が発生すると、砂が舞い上がった黄砂が偏西風に乗って日本付近にやってくる。日本で黄砂の観測が多いのは4月である。

 

 

汐干狩(しおひがり《しほひがり》)「春-生活」

             

飯沼 鼎一

  •  

妻の尻ひと目で分かり汐干狩

【永田満徳評】

「潮干狩」は目の高さに貝を掘る人の尻がある。「尻ばかり谷津の干潟や潮干狩 栄太郎」もいいが、掲句の方が「尻」に焦点が当たり、「妻の」という措辞に、妻への親しみとともに俳味が感じられて、いい。

【季語の説明】

「汐干狩」は干潮時の潟で蛤・浅蜊などの貝をとって遊ぶこと。旧暦の三月三日のころの大潮は潮の干満の差が大きく、干潟が大きくなるので潮干狩りに適している。旧暦3月初めの巳の日に、海辺でみそぎをする習慣に始まったという。近年は、日は固定せず、単なる個人の遊びで、春の風物詩となっている。

 

(ふじ《ふぢ》)「春-植物」

 

藤野富士雄

  •  

揺れる影さへ匂ひたる藤の花 

【永田満徳評】

「藤」は華やかさから、古来親しまれてきた。藤房が垂れている、懸かり藤はその多数の花と花の間の「影」までも巻き込み、「匂ふ」と言っても大袈裟ではなく、掲句は豪奢な藤の様をうまく表現している。

 【季語の説明】

「藤」はマメ科の蔓性の落葉低木。山野に自生し、つるは右巻き。晩春の頃、紫色の蝶形の花が総状に垂れ下がって咲くことから藤房ともいう。懸かり藤は、蔓を木から木へ掛けて咲き、滝のようである。風に揺られて、芳香がある姿は優雅である。藤独特の優しい色味があり、藤の花言葉は「優しさ」である。

 

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