俳句大学国際俳句学部よりお知らせ【国際俳句の取り組み】!
〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2022年7月号〜
◆俳句総合誌『俳句界』2022年7月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】、2022年6月には【冬・新年】を出版しました。
◆「HAIKU」6号と「歳時記」春・冬・新年は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
The July issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the July issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
Juillet aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L Juillet de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】
(Facebook「Haiku Column」より)
永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
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Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
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arrivée des hirondelles ~
elles pensent déjà au retour à Kiev
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Forcés de fuir le pays depuis l'invasion militaire russe, le nombre de réfugiés en Ukraine a dépassé les 5 millions. Cependant, certains sont même retournés dans leur pays d'origine, car "la seule chose à laquelle ils pensaient était toujours de revenir". J'aime le fait que le mot saisonnier pour les hirondelles, "swallow coming", qui a un fort instinct de retour, soit utilisé pour exprimer les sentiments des Ukrainiens qui pensent à retourner à Kiev.
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
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燕来るもうキーフへと戻ろうと
〔永田満徳評〕
ロシアの軍事侵攻以来、国外に避難することを余儀なくされ、ウクライナの難民は500万を越えている。しかし、「常に戻ることしか頭になかった」として、母国へと戻る人さえいる。帰巣本能が強い燕の季語「燕来る」を取り合わせることによって、「もうキーフへと戻ろう」と考えているウクライナ人の気持を代弁しているところがいい。
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Iwan Setiawan(Indonesia)
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butterfly stop
unexploded bomb in the middle of a garden
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Russian troops have attacked schools, hospitals and other places. It is no surprise to find 'unexploded ordnance' in private gardens. It is not just the usual scene of a flying 'butterfly' perched on a warhead. By depicting an unexploded bomb that could explode at any moment, and a butterfly that seems to be protesting against it, the film shows the cruelty of war.
イワン セティアワン(インドネシア)
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蝶止まる庭の真中の不発弾
〔永田満徳評〕
ロシア軍は学校といい、病院といい、所かまわす攻撃を加えている。「不発弾」が民家の庭にあっても不思議ではない。普段のように飛んできた「蝶」が弾頭に止まっているだけの情景ではない。いつ爆発するか分からない不発弾と、そのことを抗議するかのような一匹の蝶とを描くことによって、戦争の残酷さを訴えているのである。
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Patrick Somprou(France)
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Massacres de Boutcha -
les coquilles des escargots
sous leurs pas craquent
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Les troupes russes ont occupé Bucha pendant un mois après y être entrées. Les rues bordées d'arbres de Bucha sont jonchées de corps à perte de vue. Le simple fait de penser à ce qui s'est passé à Bucha est horrible. Les corps ont été laissés dans un état de délabrement, comme des "coquilles d'escargot" piétinées par les bottes des soldats russes. Cette scène illustre la gravité du "massacre de Bucha".
パトリック ソンプル(フランス)
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ブチャの虐殺靴の下にかたつむりの殻
〔永田満徳評〕
ロシア軍はブチャに入った後一ヶ月間に渡って占拠していた。ブチャの並木道には目に見える限り散在する遺体。ブチャで何が起こったかを考えるだけでもおぞましい。ロシア軍兵の軍靴に踏みしだかれた「かたつむりの殻」のように、遺体が無残に放置されている。この情景こそ、「ブチャの虐殺」の深刻さを物語っているのである。
【今月の季語(Kigo of this month】
(Facebook「Haiku Column」より)
【 四月しがつ sigastu / April / avril 】
Angela Giordano(Italy)
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first of April
paper fish hanging on the kindergarten wall
primo di aprile
pesci di carta appesi al muro dell'asilo
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
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幼稚園に紙の魚よ四月来る
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Cudillero Plume(France)
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pluie d'avril
le cliquetis du clavier claquetant
april rain
the clatter of the keyboard clacking
クディレロ プリュム(フランス)
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四月の雨ガチャガチャとキィボード
【 春暁 しゅんぎょう shungyou / spring dawn / lever du jour de printemps 】
タンポポ 亜仁寿(Indonesia)
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spring dawn
the sound and smell of boiling vegetable
タンポポ 亜仁寿(インドネシア)
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春暁や野菜を茹でてゐる匂ひ
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Nuky Kristijno(Indonesia)
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spring dawn
check and recheck for the weather forecast
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
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春暁や天気予報を再チェック
【 春日 はるび harubi / shiny spring day / beau temps de printemps 】
Gisèle Evrot(France)
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chemin de pierres ~
la beauté des coteaux au soleil
ジゼル エヴロット(フランス)
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石の道春日に丘の美しき
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Refika Dedić(Bosnia-Herzegovina)
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spring sun
a smile on their faces
レフィカ デディック(ボスニア ヘルツェゴビナ)
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春日差す皆んな笑顔を浮かべたる
【 春の海 はるのうみ harunoumi / spring sea / mer de printemps 】
Rina Darsa(Indonesia)
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spring sea
my childhood memory inside the seashell
リナ ダルサ(インドネシア)
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貝殻の中に思ひ出春の海
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Maria Wang Soucramanien(Reunion)
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timide ondulation des vagues-
mer de printemps
マリア ワング スークラマニエン(レユニオン)
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春の海恥づかしさうな波のうねり
【 ラマダン らまだん ramadan / ramadan / ramadan 】
Feten Fourti(Tunisia)
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le chat se régale avec la famille
dîner de ramadan
フテン フルティ(チュニジア)
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ラマダンの夕食猫も家族と楽しみぬ
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Zamzami Ismail(Indonesia)
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ramadan fruit
patience wrapped with love and affection
ザンザミ イスマイル(インドネシア)
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忍耐は愛に包まれラマダーン
【 春ショール はるしょーる harushoru / spring shawl / châle de printemps 】
Iwan Setiawan(Indonesia)
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spring shawl stuck on a tree
freedom on the run
イワン セティアワン(インドネシア)
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春ショール木に掛けてより自由かな
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Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
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chale de printemps ~
il reconnaît son amie de loin
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
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春ショール遠き恋人思ひ出す
【 蛙 かわず kawazu / frog / grenouille 】
Cristina Pulvirenti(Italy)
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slow hours
that boring croak of the frogs
クリスティーナ プルヴィレンティ(イタリア)
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暮遅し退屈さうに鳴く蛙
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Carole Dieuzeide(France)
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soir de pluie -
dans la colline l'écho de la grenouille
キャロル デイウド(フランス)
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丘の上に蛙の谺夜雨かな
【 桃の花 もものはな momonohana / peach flower / fleur de pêcher 】
Morgan Mario(Italy)
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Fiori di pesco
sul dolce vellutino
モルガン マリオ(イタリア)
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桃の花君の顔のやさしきこと
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Ana Irina(Romania)
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peach flower -
the memory of her skin
アナ イリナ(ルーマニア)
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桃の花ふと思ひ出す君の肌