【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜 「火神」総会(受賞祝賀会) 〜月刊「俳句界」8月号レポート③

2023年08月08日 01時59分00秒 | 「火神」
月刊「俳句界」8月号レポート③

〜 「火神」総会(受賞祝賀会) 〜

令和5年5月21日(日)    KKRホテル熊本
 
 令和五年度「火神」の総会が開かれた。令和四年度事業・会計報告と令和五年度事業計画・予算案が了承された後、今村潤子主宰が主宰を退かれ、新主宰には永田満徳氏が指名された。
 「火神」は昭和六一(一九八六)年一一月に立ち上げられ、創刊主宰は首藤基澄先生であった。先生は月一回の吟行句会を二〇年間にわたり「火神」の発展に努め、俳人協会幹事、「草枕国際俳句大会」実行委員長等を歴任した。
平成二○年(二○○八年)からは今村潤子先生が主宰を引き継ぎ、コロナウイルス問題で揺れ続けた令和四年(二○二二年)までの一五年間を牽引してきた。
「火神」が長年にわたり、熊本の俳句界の一翼を担い、俳人協会熊本県支部を支える結社でありえたのは、二代にわたる主宰の献身と多くの熱心な同人・会員の努力の賜物であった。
 今回、主宰を引き継ぐことになった永田満徳氏は、平成二年(一九九○年)「火神」創刊時からの同人で、「火神」の編集長を長く務めるとともに、平成二四年(二○一二年)に第一句集『寒祭』上梓、平成二七年(二○一五年)からは、俳人協会熊本県支部事務局長、俳句大学学長を兼任し、令和元年(二○一九年)には俳人協会熊本県支部長に着任して今日に至っている。
 令和三年(二○二一年)に上梓された第二句集『肥後の城』は、第一五回「文學の森大賞」を受賞している。
続いて行われた祝賀会は「火神」新主宰となった永田満徳氏の第二句集『肥後の城』が第一五回「文學の森大賞」を受賞したことと、同じ時期に「火神」同人の坂本真二・節子一家の句集『俳壇坂本の会』が「熊日出版文化賞マイブック賞」を受賞したことを祝う会であり、総会終了後に行われ、それぞれ受賞の喜びを語った。
永田満徳氏は「新型コロナウイルス蔓延の時期にもネット句会などを通じて句作を続け、八年間で五千句以上の句を残せた。熊本城や阿蘇、天草などを詠んだ郷土色が強く、俳句のレトリックを使った技巧的な俳句が評価されたことは選評委員の皆様に感謝するとともに、句作の自信に繋がった。」と述べた。
坂本真二氏は、「家族の俳句が続いてきたのは火神など共に発表の場があり、選評や共鳴句が嬉しく次号への励みとなったこと、家族で共通の話題が持てたからだと感じている。家族みんなが今回の受賞に感謝し、これまでにご指導いただいた先生方や句友の方々にも御礼を申し上げたい。」と語った。
「火神」同人の二組の受賞に対し、今村前主宰から心のこもったお祝いが述べられた後、各参加者がそれぞれお祝いの挨拶を述べ、祝句を披露した。

出席者による祝賀の句は次のとおりである。

銃眼の切り取る五月肥後の城
             潤子
風薫る三代句集燦然と   〃    
                         
葉は空に根は肥後の地に楠若葉
             満徳
らんまんの全国区へと肥後の城
             真二
新緑に希望の標肥後の城  節子
楠新樹屹然とある熊本城  隆明
幸せの家族俳壇新樹光   〃
六喜満つ凜然と花肥後の城 渓葉
揚雲雀坂本パワー世界へと 〃
夏草や地震受け止むる肥後の城
             信雄
家族即俳壇となる涼しさよ 〃
道標は今何合目富士登山  一正
花橙をととしの実も去年の実も
             〃
ふるさとの大樹の茂りつぎつぎ
に            佳子
薫風や言葉それぞれにそよぐ
             〃
祝吟や四方に開くアマリリス
             孝輔
食卓を日々久句座にして石清水
             〃
風薫る街に素の声素の笑顔 三閒
積み上げし句の燦めきて若葉風
             〃
(レポート・田島三閒)



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〜 季語で一句 45 〜 2023年『くまがわ春秋』8月号(第89号)

2023年08月07日 15時48分00秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

〜 季語で一句 45 〜
 
◆2023年『くまがわ春秋』8月号(第89号)が発行されました。
◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。
 ・info@hitoyoshi.co.jp 
 ☎ 0966-23-3759

永田満徳:選評・野島正則:季語説明


季語で一句(R5.8月号)
 
泳ぎ(およぎ)                      「夏-生活」
 
中野千秋

 水を愛で水に親しむ平泳ぎ
【永田満徳評】
「平泳ぎ」の両手はハートを逆さまに描くように水をかき、蹴り出した両足を挟むようにしてキックする。「平泳ぎ」はまさに「水を愛で」の泳ぎ方で、「水に親しむ」という措辞は平泳ぎの特徴を捉えている。                                           
【季語の説明】
「泳ぎ」は代表的な夏の遊びで、海、川、プールなどで泳ぐこと。中世の日本では水の中を泳ぐ技術は武術の1つで、日本泳法と呼ばれる。「水術」「水練」「踏水術」「游泳術」「泅水術」などがある。現代では水泳はレクリエーションやスポーツとして行われている。遠泳、クロール、背泳ぎなども「泳ぎ」と同じ季語である。
 
 
団扇(うちわ《うちは》)        「夏-生活」
 
野島正則

秩父路の兜太直筆古団扇  
【永田満徳評】
兜太直筆の「古団扇」とは兜太の俳句が描かれた「俳句うちわ」。骨太で力強い筆致で描かれている。「兜太直筆古団扇」という措辞に、野生の人で、なまなましく生きた兜太その人をうまく切り取っている。       
【季語の説明】
「団扇」は紙を竹の骨に張って、柄を付けたもので、夏に涼を得るためにあおいで風を起こす道具。焚物の火を盛んにしたり、蚊や蝿を追うなど用途はさまざま。古来、「はらう」「かざす」ためのもので、儀式、縁起、軍配、行司、信仰、占いなどに使われた。絵が描かれた絵団扇や柿渋を塗った丈夫な渋団扇がある。
 
 
羽抜鳥(はぬけどり)       「夏-動物」 
 
野島正則

年金の繰り下げ受給羽抜鳥
【永田満徳評】 
「羽抜鳥」はみじめで滑稽なさまに例えられる。年金受給が繰り下げは年金を多く支給されることで、それだけ働かなければならない。庶民の老後へ備えに対する選択を「羽抜鳥」に例えているところがいい。              
【季語の説明】
「羽抜鳥」は鳥類の羽の抜けかわりのこと。鳥の全身の羽毛が冬羽から夏羽へと抜け替わる。羽のまだ整わない鳥をいう。飛翔能力が低下しない程度に羽が抜け、初列の風切が数枚伸びきったところで、次列の風切が外側から内側へ向かって換羽を始める。羽の抜けた鶏は威厳を失った姿を晒し、みすぼらしい。

 

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