第二句集『肥後の城』(文學の森大賞受賞作品)!
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【句集情報】
・第二句集『肥後の城』
・永田満徳(ながた みつのり)
・文學の森
・定価:2970円
【帯文】
奥坂まや
阿蘇越ゆる春満月を迎へけり
永田満徳さんは熱情の人だ。
その熱情は、生涯の道として邁進する文学に
対しても、自然も人情もおおらかな家郷に
対しても、力強く燃え上がっている。
満徳さんの愛してやまない肥後の雄大な
天地は、近年、地震と水害という災厄に
見舞われた。この句集は、傷ついた故山に
捧げる、ひたむきな思いの披瀝に他ならない。
【特集 ピックアップ 注文の句集『肥後の城』】
岸本尚毅
いっぱんに、短い言葉のかたまりである俳
句はアフォリズムのような普遍性を持ち得る。
そのような句もこの句集にはいくつかあった。
しかし、この句集の面目は、熊本の永田さん
が、その人らしい句を、しっかりと腰を据え
て詠んだところにある。 読者もまた、そのよ
うな句として鑑賞することでこの句集をよく
享受し得るのである。
『肥後の城』を読む(「俳句界」2022年11月号より抜粋)
【自薦十五句】
阿蘇越ゆる春満月を迎へけり
この町を支へし瓦礫冴返る
さへづりのつぶだちてくる力石
曲りても曲りても花肥後の城
こんなにもおにぎり丸し春の地震
本震のあとの空白夏つばめ
骨といふ骨の響くや朱夏の地震
水俣やただあをあをと初夏の海
一夜にて全市水没梅雨激し
大鯰口よりおうと浮かびけり
半球はつかめぬかたち天道虫
不知火や太古の船の見えてきし
天草のとろりと暮れぬ濁り酒
大鷲の風を呼び込み飛びたてり
巌一つ寒満月を繋ぎ止む
※地震=なゐ
※画像:『肥後の城』第二刷