【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

Haiku Column:「国際歳時記」発行に向けた[Haiku Column]の取り組み

2018年11月29日 01時03分17秒 | 国際俳句
月刊『俳句界』12月号!

〜12月25日発売〜

【特集】
特集「美しい日本と俳句」
テーマ:外国語からみた美しい日本
題:「国際歳時記」発行に向けた[Haiku Column]の取り組み
報告:俳句大学国際学部講師・向瀬美音


「国際歳時記」発行に向けた[Haiku Column]の取り組み

俳句大学国際俳句学部のFacebookグループ[Haiku Column]を立ち上げて三年目になる。私は責任者として[Haiku Column]の管理をしている。[Haiku Column]では三行書きにしただけで散文的なHAIKU(国際俳句)が流通していることに危惧を覚え、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提案してきた。
2018年7月現在、参加メンバーは1500人を超えて、一日の投句数は200句を下らない。世界中の人と毎日句会をしている感じである。言語もフランス語、英語、イタリア語と多様である。投稿されてくる国も、フランス、イタリア、イギリス、アメリカ、チュニジア、モロッコ、アルジェリア、インドネシア、インド、台湾と多様である。瞬時に交流できるFacebookという国際情報ネットワークの恩恵を受けている。また、私は毎年フランスに行き、海外の俳人と交流を図っている。今年はマブソン青眼氏のフランス講演に参加し、[Haiku Column]のメンバーとともにパネルディスカッション、食事会を共にした。日本の俳句の国際化と行き詰まったフランス俳句界の未来について語り合い、HAIKUによる国際交流の大切さで意気投合した。
私は毎日、[Haiku Column]に投句される作品をすべて読み、「切れ」があるものや「取り合わせ」が良くできているものを訳している。俳句大学学長の永田満徳氏はその訳を参考にして選び出し、「daily best 3 Haikus」と題して[Haiku Column]に発表している。さらに、永田氏はHAIKUの基準を明確にする目的で「7つの俳句の規則」を提示した。これらの試みによって、初めは説明的で観念的なHAIKUが多かったが、最近は形容詞・動詞などが減ってきて、省略の効いたものになってきた。具体的なものに託し、読み手に任せるという形になってきている。時々ハッとさせられるものに出会い、日本人には絶対思いつかない新鮮な感性のあるものに驚かされる。そういう時はHAIKUの醍醐味を感じる。
さて、私は世界に通用する季語を400厳選して英語、フランス語に編集した。[Haiku Column]ではこれら季語を紹介するために、「We will challenge KIGO」と題して、季語を使ったHAIKUを毎日募集している。季語だけでなく、季語の本意を添えて提示するようになってからメンバーの関心がとみに増して、一日で250句ほどの句が集まる。ほとんどのHAIKUに季語が入るようになった。季節のない国もあるので季語は無理かと考えていたが、インドネシアの俳人の投句が多く、俳句は季節の詩という認識が世界で広まっているのを感じる。今後は「We will challenge KIGO」の秀句を例句として「国際歳時記」を出版するつもりである、
[Haiku Column]では機関誌『HAIKU』(朔出版)を出している。2017年7月発行の創刊号にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加した。同年12月発行の2号では91人が参加した。また、2018年5月発行の3号では96人が参加し、320ページを数える。これまでの機関誌『HAIKU』は自選10句とメンバー自身による一句鑑賞とエッセイが主であったが、12月発行予定の4号では「国際歳時記」の第一段として〔夏〕を載せたいと考えている。
最後に、永田氏が[Haiku Column]から選び、月刊誌「くまがわ春秋」(人吉中央出版社)に掲載している秀句を並べてみよう。

Castronovo Maria

aurora boreale -
la coda di una balena tra cielo e mare
【美音訳】
カストロノバ マリア

北のオーロラ
空と海の間の鯨の尾

Joëlle Ginoux-Duvivier

retour de chasse -
le hameçon de lune épinglé au nuage
【美音訳】
ジョエル ギヌーデユビビエ

狩の帰り
雲の中の釣り針のような月

Sarra Masmoudi

solstice d'été
la queue du chaton dépasse du bac de menthe
【美音訳】
サラ マスモウディ

夏至
猫の尻尾はミントの花壇を越える


向瀬美音(むこうせ みね)
1960年2月5日生まれ
上智大学外国語学部卒業
『HAIKU』(朔出版)発行人兼編集長
上智句会会員、「舞」会員
日本伝統俳句協会、俳人協会、国際俳句交流協会、フランス語俳句協会(AFH)会員
国際季寄せ(朔出版)、句集「詩の欠片」(朔出版)

「俳句界」12月号特集掲載

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Haiku Column 「今月の秀句」21

2018年11月15日 23時30分13秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」
〜俳句大学 Haiku Column 「今月の秀句」21〜

◆『くまがわ春秋』11月号が発行されました。
◆俳句大学 Haiku Column 「今月の秀句」㉑が掲載されています。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「難民の/口元に差し出す/マイクロフォン」の俳句が大会賞を受賞しているように、三行書きにしただけで散文的な国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。
◆最近では華文二行俳句のコンテストを行い、華文圏に広がりを見せています。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。

August aout de [Kumagawa shunnjuuくまがわ春秋」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆Le November de aout de Kumagawa春秋 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.

The August issue of 「Kumagawa shunnjuuくまがわ春秋」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the November issue of Kumagawa春秋 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase

今月の秀句(くまがわ春秋11月号)


Francesco Palladino

Old coat
Few crumbs in pocket for the birds
[Commented by Mitsunori Nagata]
It is the scene of a modest man with his old coat. He picks bread crumb to give to the birds. We feel the nice atmosphere of autumn afternoon.
C’est la scène d’un homme modeste portant un vieux manteau. Il prend des miettes de pain pour les donner aux oiseaux. On ressent l’atmosphère agréable d’une après-midi d’automne.
フランススコ パラディノ

古いコート
ポケットに小鳥のための少しのパンくず
〔永田満徳評〕
着古したコート、決して裕福でない人がポケットのパンくずを小鳥に与えようとしている場面である。心温まる秋の昼下がりの雰囲気が伝わってくる。


Sarra Masmoudi

plage d'automne-
une petite virée avec mon ombre
〔Commentaire de Mitsunori NAGATA〕
On the long autumn shore, she is taking a walk without hasting. It is amazing that her shade also is taking a walk.
Sur la longue plage d’automne, elle marche sans se presser.
C’est amusant que son ombre se promène aussi.
サラ マスモディ

秋の浜
影と一緒に小さな散歩
〔永田満徳評〕
どこまでも続く秋の砂浜。急ぐともなく散歩している様子を描かれている。人の「影」もまた一緒に散歩していると捉えたところがいい。


Angela Giordano

stelle cadenti-
una manciata di castagne nello zaino
〔Commentaire de Mitsunori NAGATA〕
Looking at shooting star, she is stuffing chestnuts which she took from her rucksack. She cut well an image of mountaineering.
En regardant les étoiles filantes, elle se bourre de noisettes tirées de son sac à dos. Elle saisit bien une scène de montagne.
アンゲラ ギオルダーノ

流れ星
リュックサックに一握りの栗
〔永田満徳評〕
流星が飛ぶのを眺めながら、登山用のリックサックから取り出した「一握りの栗」を頬張っている情景であろう。登山者のひと時を切り取っている。

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