〜俳句大学 Haiku Column 「今月の秀句」2020・7〜
◆俳句総合誌『俳句界』7月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕の「今月の秀句」から選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。また、2020年3月25日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出版しました。
◆最近では華文二行俳句のコンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
juillet aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆Le juillet de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
The July issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the July issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)
永田満徳選評・向瀬美音選訳
(Facebook「Haiku Column」より)
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ジェラール マレシャル
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夜の霞風にも翅のあるごとし
〔永田満徳評〕
「霞」で覆われた闇の底に吹きぬける風。「風にも翅のある」という比喩がよく、「霞」であればこそ、「風」の音にも「翅」を羽ばたく音が聞こえると思う感覚の鋭さがいい。
Gerard Marechal
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brouillard nocturne ...
le vent a des ailes
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Le vent qui souffle au fond des ténèbres couverts de brume. La métaphore selon laquelle «le vent a aussi des ailes» est bonne, et la netteté de l’impression que vous pouvez entendre le bruit des «ailes» dans le bruit du «vent» est bonne.
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ミレラ ヂュマ
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いつか来る別れ真珠のネックレス
〔永田満徳評〕
「ネックレス」は恋人から贈られたものであろう。恋の絶頂の最中にちらと過る「別れ」の予感。誰しも経験する恋の微妙な心理がうまく表現している。
Mirela Duma
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șirag de perle -
numărând zilele care ne mai despart
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
The "necklace" may have been given by a lover. A feeling of "parting" that flickers during the height of love. The delicate psychology of love that everyone experiences is well expressed.
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シルビー テロラス
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封鎖解け深き孤独を感じをり
〔永田満徳評〕
孤独感はコロナウイルス感染症対策のための都市封鎖が解禁された後の気持ちだろう。あたかも長いトンネルから抜け出たような空虚感がしっかりと詠み込まれている。
Sylvie Theraulaz
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déconfinement -
la solitude plus profonde
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
La solitude peut être ressentie après la levée du confinement contre l’infection à coronavirus. Le sentiment de vide comme si elle s'était échappé d'un long tunnel est bien exprimé.
【今月の季語(Kigo of this month)】 永田満徳選評・向瀬美音選訳
(Facebook「Haiku Column」より)
【夏の朝 なつのあさ natsunoasa / summer morning / matin d’été】
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キンベルー オルムタック
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乗馬して砂浜をゆく夏の朝
Kimberly Olmtak
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summer morning
horseriding on the beach
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フォズル エル ニュルカ
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草の中歩けば濡れて夏の朝
Fauzul El Nurca
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walk in the wet grass
summer morning
【薫風 くんぷう kunpu / fresh wind / vent frais】
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フォズル エル ニュルカ
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コロナ禍より祖母の回復風薫る
Fauzul el Fauzul El Nurca
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fresh wind
recovery of a grandmother from covid19 threat
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タンポポ 亜仁寿
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嬰あやす若き母なり風薫る
タンポポ 亜仁寿
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balmy breeze
young mother breastfeeding her baby while humming
【父の日 ちちのひ chichinohi / father’s day / Fête des pères】
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ミレラ ブライアン
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父の日やパイプの匂ひまだ香り
Mirela Brailean
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father's day -
still present the smell of pipe tobacco
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ラチルダ ジェルビ
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父の日や肩の上から見る世界
Rachida Jerbi
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fête des pères -
du haut de ses épaules le tour du monde !
【薔薇 ばら bara / rose / rose, rosier】
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ザザミ イスマイル
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香りにはその記憶あり薔薇の園
Zamzami Ismail
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every perfume has its own memory
rose
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ナッキー クリスティジーノ
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赤き薔薇髪に挟みてフラメンコ
Nuky Kristijno
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tapping feet
red rose tucked in the flamenco dancer's hair