【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

俳誌「雉」新年号 〜 現代俳句月評 〜

2025年01月06日 09時11分55秒 | 俳句
俳誌「雉」新年号!
〜 現代俳句月評 〜
【松永亜矢氏 句評】
 
全身の力抜きたき残暑かな 永田 満德
 
(「俳句」十一月号 蛇笏の忌より)
気象庁によると、一日の最高気温が二十五度以上の日は夏日、三十度以上だと真夏日、三十五度以上で猛暑日と言うそうである。残暑は立秋以降の暑さのことなので、たとえ暦の上では秋でも、每日が夏日、每日が残暑といつた地域が多いのではないか。そんな中でも動植物は一年のサイクルを乱さないよう懸命に生きている。「残暑」という季語。日々多くの人が実感するためか、比較的好まれる印象を受ける。しかし内容がパターン化され、平凡に陥る恐れがある。私は掲句の上五中七を繰り返し読み、「残暑」の世界を考えた。読むごとに奥の深い句だと思つた。夏の暑さにはない、やるせなさから心も体も解放したい。それが全身の力を抜きたいということなのではないか。八月以降、暑さに関係なく、色々な行事が増える頃でもある。忙しい合い間にふと立ち止まる作者だが、いつまでもそうしていられない。力を抜きたいのに抜くことのできない作者の姿を思う。
※「雉」、ご恵贈頂きありがとうございます。
※評者の松永亜矢氏より「読むごとに奥の深い句だと思つた」という、身に余るお言葉を頂きました。
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〜 鯉の目の閉づることなき寒さかな 〜

2022年12月25日 06時42分00秒 | 俳句

第12回関西「文學の森」ZOOM句会(12/22)出句について!

〜 鯉の目の閉づることなき寒さかな 〜

◉これからの私にとって、「俳句開眼の一句」でしたので、
大変貴重な、励みになる句評頂きありがとうございます。

しのぶ日月氏【句評】

鯉の目の閉づることなき寒さかな 

の御玉句はとても心に感じるものがありました。
魚の目が閉じないことは知識として知っている人
がいるかも知れませんが、この句はその様な理屈
から発したものでは無くて、写生の目が捉えた鯉
の実相だと私には感じました。
『寒鯉』の句は今まで多くの方が詠んでいますが、
この句は少し角度を斜から眺めて新しい視線で
「目の閉づることなき寒さ」をリアルに捉えた事
で、とても現代的な俳句表現になったと思います。

私もお手本に致したいと思っています。

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ネット時代における俳句の発信

2022年02月04日 12時10分50秒 | 俳句

『熊本俳句(第52号』(熊本県俳句協会)  

 

ネット時代における俳句の発信

                   永田満徳

井上微笑の「白扇会報」が日本の近代俳句史上で特筆されるのは、会員の中に近代俳句を推進した人々が名前を連ねていることである。選者、寄稿者を列挙してみると、夏目漱石・高浜虚子・河東碧梧桐・内藤鳴雪・阪本四方太・石井露月・松瀬青々・野田別天楼・寒川鼠骨等。これらの人物はいわゆる子規派、新派俳句と称される人々である。微笑は漱石に依頼して、上記の人々に選句、俳句の寄稿を頼んでいる。漱石自身が依頼に応じられない場合は高浜虚子、河東碧梧桐らを紹介している。一地方誌に過ぎなかった「白扇会報」を中央俳壇に押し上げてくれたのは夏目漱石だと言わざるを得ない。

しかし、それ以上に、「白扇会報」の発行で浮かび上がってくるのは、微笑の熱意に夏目漱石が振り回された格好であるが、微笑の「白扇会報」の発行に対する熱意であり、相手の再三の断りも意に介さないほどの情熱である。

私が熊本在住ながら、全国にはネットやSNSの句会を運営する「俳句大学」を設立し、また、世界には国際的な句座を提供するFacebook「Haiku Column」を立ち上げて、インターネットによる俳句の発信を心掛けているのは、明治時代に熊本の湯前という僻遠の地で、漱石を引き入れて、俳誌「白扇会報」を発行した井上微笑の熱意、情熱に共鳴するからである。

ところで、2022年一月、月刊「俳句界」文學の森では俳句大学の「ネット時代の俳句の可能性を探る」取組みに共鳴し、『文學の森』ZOOM句会と名付けられた句会を本格的に始めた。句座の地位に着きつつあるzoom句会を催すことによって、俳句興隆の一助にしたいとの思いで、企画されたものである。ハンガリーや台湾の参加者もいるこの企画に、俳句大学は立ち上げの段階から今日まで協力している。

俳句大学は、ネット時代を迎えた現今、全国へ、世界へ、リアルタイムなネット句会を通した俳句の可能性を熱意と情熱をもって展開し、ウイズ コロナ、ポスト コロナ社会を見据えた国内外の俳句文化の更なる発展に寄与していきたいと考えている。

(俳人協会本県支部長・俳句大学学長・「火神」編集長・「秋麗」同人 永田満徳)

 

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地域の(文化)ボスの形成!

2022年02月04日 00時59分00秒 | 俳句
地域の(文化)ボスの形成!

〜こうしてボスが作られる〜

①ボスには力がある。
※力とは勢力・能力(これがないのはもっと困る)。
②このボスなしでは事は進まない。
③公的な仕事をどんどん任される。
※このボスしか他にいないと周囲が思い、そう思うことがボスをつけあがらせる。
④このボスは自分に歯向かうものを徹底的に排除する。
※歯向かったら、干される
※歯向かわないものにはいい顔する腹黒さがある
※歯向かうがキーワード
⑤このボスに誰も言えなくなるので、公的な文化行事、特に審査員を公私混同し、公平さがなくなって、独裁的になる。
⑥ここにボス支配が完成する

※この流れは一応書いてみただけで、今後補足していきます。

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第二句集『肥後の城』上梓

2021年09月10日 10時53分59秒 | 俳句

第二句集『肥後の城』上梓!

 

〜9月27日発行予定〜

 

・第二句集『肥後の城』

・永田満徳(ながた みつのり)

・文學の森

※Amazonにて購入可能

【自薦十五句】

阿蘇越ゆる春満月を迎へけり

この町を支へし瓦礫冴返る

さへづりのつぶだちてくる力石

曲りても曲りても花肥後の城

こんなにもおにぎり丸し春の地震

本震のあとの空白夏つばめ

骨といふ骨の響くや朱夏の地震

水俣やただあをあをと初夏の海

一夜にて全市水没梅雨激し

大鯰口よりおうと浮かびけり

半球はつかめぬかたち天道虫

不知火や太古の船の見えてきし

天草のとろりと暮れぬ濁り酒

大鷲の風を呼び込み飛びたてり

巌一つ寒満月を繋ぎ止む

※地震=なゐ

【帯文】       

奥坂まや

阿蘇越ゆる春満月を迎へけり

 永田満徳さんは熱情の人だ。 その熱情は、生涯の道として邁進する文学に対しても、自然も人情もおおらかな家郷に対しても、力強く燃え上がっている。

 満徳さんの愛してやまない肥後の雄大な天地は、近年、地震と水害という災厄に見舞われた。この句集は、傷ついた故山に捧げる、ひたむきな思いの披瀝に他ならない。

【あとがき(『肥後の城』冒頭抜粋)】

 平成二十八年四月十四日夜と十六日の未明に、最大震度七を観測する地震が発生した。多数の家屋倒壊や地盤沈下など、熊本県内に甚大な被害をもたらし、「平成二十八年(2016年)熊本地震」と命名された。熊本城は至る所で石垣が崩れ、天守閣の鯱も落下した。熊本のシンボルである熊本城の崩壊は目を覆うばかりで、図らずも涙がこぼれた。

 令和二年七月四日、未明から朝にかけて、熊本県南部を集中豪雨が襲い、球磨川が氾濫し、土砂崩れや浸水被害が多数発生した。人吉市は、市街地を中心に広範囲にわたって浸水や冠水が発生した。一夜明けた五日、高校卒業まで過ごし、見慣れていた市内の景観は一変していた。故郷を離れて、四十数年経っても、人吉の惨状は他人事ではなかった。 震災は句集『肥後の城』の成立に大きな影響を与えた。熊本城を悼む気持を句集の題にして、熊本地震の句を起承転結の〈転〉の部分に当てるつもりで編集を進めていたところ、人吉で大水害が起こり、奇しくも二つの大災害を悼む句集になった。

 本書は第二句集である。平成二十四年より令和二年までの八年間の句の中から、三百三十句を収めた。平成二十四年発行の第一句集『寒祭』が二十五年間の句業を纏め、終生の句集という思いで刊行したのに比して、短期間の句業を収めることとなった。八年間で五千句以上の俳句を残せたのは、「俳句大学」を拠点とした俳句活動の進展によるところが大きい。

【画像】 上段・「肥後の城』カバー  下段右・扉  下段左・表紙(案)

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