たばこの気持ち

夏日が続いているので、干し椎茸がうまくできました。

※ 本日は義父の命日です。今月、ご無沙汰していたお墓まいりに行けそうです。【合掌】

いよいよ本書の抜き書きも最終回です。1972年の沖縄返還時の様相は、現在の普天間基地の辺野古移転問題と同じですね。少しは知っていたつもりでしたが、本書によって知らされたことが多くて、生半可な知識では済まないぞと痛感しています。

316ページ 一九七二年の本土返還までの年月は、グスクにとってもヤマコにとっても、まばたきする間にすぎていった。
アメリカと日本との調印式に前後するかたちで、弾薬庫地区からの毒ガス移送計画が実行されて、数回にわたって千三百台のトレーラーが街頭を走りぬけた。移送路の周辺ではもちろん反対運動が起こって、移送の日になるたびに住民たちは自主避難、学校が休みになって、トレーラーが走る沿道には厄払いの塩が置かれた。
「基地の使用を認めたかたちでの返還はまやかしではないか。母なる沖縄の大地はこの島を戦場にするな、平和の島にして返せと叫んでいる。島民たちの切なる願いに、あなたは一国の首相として責任を果たせるのか」
政治家たちも闘いつづけた。亀さんもっと言ってやれ! 戦後初の国政選挙で晴れて国会議員となった瀬長亀次郎は佐藤首相をまっこうから追及し、屋良朝苗主席も"即時無条件かつ全面返還"の建議書をたぶさえて首都に乗り込み、島民たちの願いにそっぽを向いた返還の強行採決をかたくなに阻もうとした。

320ページ 砂浜を飛びたった鳥が、水平線に近づくほどに澄んだ青みを増す大海原を飛んでいく。なにもない空を自由に、雄々しく滑空する。すべての先祖たちに、故郷にいまも生きる末裔たちにこの声が届くのならば、たえず生まれては移ろい変わる物語は未来に継がれて、そこにまた、あらたな命がもたらされるだろう。
ウタたちは美しく大切な、永遠で消えない秘密となって。
雄渾の海に抱かれた、島の叙事詩を語りつづける。
青い水平線の向こうに、いつかはだれもが行くだろう。
あとから来るすべての親兄弟とともに、後世の戦果アギヤーとともに。
だけどそれまでの土地の鼓動は打ち続けなきゃならないさ。だからまた始めよう、そろそろほんとうに生きるときがきた----（完）