![]() | 井上ひさしの日本語相談 (新潮文庫) |
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新潮社 |
言葉の遊び人、井上ひさしさんが日本語にまつわる珍問・奇問・難問に答える。
たくさんの質問の中で、落語、演劇に関するのをご紹介すると、
どうして、客席から舞台に向かって右を「上手」、同じく左を「下手」と呼ぶんですか?
ひとつの場所には、どうやら良いところ(上座)とそうでもないところ(下座)があるらしい。
舞台の上でも同じこと、いいところ(上手)とそうでもないところ(下手)がある。
この「上手と下手」をはっきり使いこなすようになったのは
未分制度の広くいきわたった江戸時代の歌舞伎や人形浄瑠璃からで、
それ以降は作者も演出家も役者も、この言葉を使って仕事をしている。
親分が下手で、子分が上手となるとなんだかしっくりこない、
こういうのを普通、「居どころ」がよくないといって、この「居どころ」は立派なツシ舞台用語で、
登場人物によってすわる位置が決まっています。
そういえば、吉本新喜劇でも、松竹新喜劇でも、すべての配置は決まっていますな。
歌舞伎のでは、やつしといって、侍が番頭に身をやつしていたのが判明したとたん、
番頭実は若侍が上手へ、主人は下手へと入れ替ります。
そこへ、若侍の上司、家老が登場すれば、若侍、主人は下手へずれる。
見物人はスッキリ、大筋がわかってよろしおます。
でも、繁昌亭、末広亭は上手から、動楽亭は下手から、あれは単に楽屋の構造によるんですかな・・・。
では、なぜ舞台の上手が身分の高い人の定位置になったのか、
諸説ありますが、役者からみると上手は左手。日本人は古代から、右よりも左を重んじてきたから、
左手を身分のより高い人の定位置にして、そのあたりの上座を上手と名づけたと・・・・。
上手(かみて)を上手(じょうず)、下手(しもて)を下手(へた)というのも、
これら舞台用語として、はじまったんですかな・・・・。
普段なにげなく使っている日本語の不可思議さを、楽しくユーモアたっぷりに解説。
棚の奥へしまってしまうには惜しい本でおますな。
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