![]() | 家族の歌 河野裕子の死を見つめて (文春文庫) |
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文藝 春秋 |
☆☆☆☆
歌人で夫婦の河野裕子さんと永田和宏さん、子供の永田淳さん、永田紅さん、
そして淳さんの奥さん、植田裕子さんのエッセイ集。
元々は産経新聞の夕刊に「お茶にしようか」で連載。
それが、始まったとき河野裕子さんは既に乳癌再発で科学療法の最中。
エッセイの最後には、さすが歌人、短歌が一首詠まれているんですが、
死を見つめながら、気遣いと思いやりと優しさが、入混じった歌が沢山。
元々短歌って、日頃言えない心の思いを31文字にちらりとみえたりするのです。
皆さん、歌人でありがゆえに解りながら、妻、そして母への思いを・・・・
歌なら本音が言えるから、と・・・・・・河野裕子さんの歌で気になったのを
いつまでも私はあなたのお母さんごはんを炊いてふとんを干して
ひと切れのさはらの切身を食べきれずだーれも居ない夜の食卓
消灯後の薄暗がりに歌作り薬袋の裏に書きゆく
叱られて子供は育つ父は父の母には母の叱り方があり
最後の一首
手をのべてあなたとあなたに触れたときに息が足りないこの世の息が