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少し短歌をかじっていますが、私の場合俵万智さんが好きで始めたようなもの。色んな人の歌集を読んでも、最終的に戻ってくるのはやはり万智さん。
その万智さんお選歌集。気になった歌、歌集に偏りがございます。
『サラダ日記』より
・生ビール買い求めいる君の手をふと見るそしてつくづく見る
・「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
・やさしさをうまく表現できぬこと許されており父の世代は
・今日まで私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海
・「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
・金曜の六時に君と会うために始まっている月曜日の朝
『もうひとつの恋』より
・「今いちばん行きたいところを言ってごらん」行きたいところはあなたのところ
・まだ何も書かれていない予定表なんでも書けるこれから書ける
『かぜのてのひら』より
・今何を考えている菜の花のからし和えにも気づかないほど
・定期券を持たぬ暮らしを始めれば持たぬ人また多しと気づく
『チョコレート革命』より
・妻という安易ねたまし春の日のたとえば墓参に連れ添うことの
・焼肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き
・蛇行する川には蛇行の理由あり急げばいいってもんじゃないよと
『プーさんの鼻』より
・不良債権のような男もおりまして時々過去からかかる呼び出し
・おまえにはじいちゃんがいる背を曲げて肩車してくれるその人
『オレがマリオ』より
・「電信柱抜けそうなほど揺れていた」震度7とはそういうことか
・子どもらはふいに現れくつろいで「おばちゃんカルピスちょうだい」と言う
・「おばあちゃん次は何色?」子は問えり米寿をベージュと聞き間違えて
『未来のサイズ』より
・君の死を知らせるメールそれを見る前の自分が思い出せない
・「天ぷらは和食ですよね」「繰り返し申し上げます。寿司が好きです」
『アボガドの種』より
・父に出す食後の白湯をかき混ぜて味見をしてから持ってゆく母
・シャルドネの味を教えてくれたひと今も私はシャルドネが好き
・コンビニへ食パンを買いにいくことが親孝行となる春の道