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積読の中からひっぱり出して読む。というより、眺めてみる。ひとつひとつの詩にガブリエル・ルフェーブルの絵がついているので、正直言って詩集だけだと読み通すのは辛いけど、見開きの色に満ちた水彩画が目にはいってくると心穏やかに、詩のことはがしみいる。
「あどけない話」
智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。
智恵子は東京には空が無いという、これは単に「智恵子抄」と覚えていたのですが、詩集の中の一篇で「あどけない話」という題がついていっとは、恥ずかしい次第ですな。
しばらく、絵本っぽい本、彷徨ってみようと・・・・。
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