ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

短歌ください・双子でも片方は泣く夜もある篇~穂村弘

2019-07-11 05:05:05 | 本の少し
 ☆☆☆☆

“短歌をください”の最新版。
「ダ・ヴィンチ」(2015年11月号~2018年4月号)をまとめたもの。

短歌を齧りだしてから、この本に掲載されている歌の切り取り方に感心。
私との次元の違いに、逆に打ちのめされる状態・・・・。

凄いデス・・・。

まずは、穂村弘さんの評を一切読まずに、歌だけを見て気に入った歌を・・・

テーマ「転校生」
おはようの響きが不思議なひとが来て僕らの朝はやわらかくなる

テーマ「雪」
雪と名のついたわたしは夏生まれわけをききたい父はもう亡く
この先に渋滞がありますと言いこの先に雪が舞いますと言う

テーマ「初恋」
初恋はハーモニカのド(低い方)どこか教えてくれたみつこちゃん
きみはあの頃だけぼくの妻だった夕暮れ砂のご飯よそって

テーマ「キス」
ローソンと月の光と入れ替えるくらいしなけりゃ閉じないよ目は
これでもかというハードなキスをしたあとにふつうの顔で乗る新幹線

テーマ「女子」
「あたし」って打つ子に「私」で打ち返す今の私は嫌な顔してる

テーマ「ゴミ」
君の手で白鳥になった箸袋連れ帰りたい育ててみたい

テーマ「夏休み」
「夏休み  おばあちゃんちに行きました」そこにはおじいちゃんもいたのに
白帯のゆかたの君と帰りゆく夜に降ってきた天気雨

テーマ「曜日のある歌」
『サザエさん』の時間に少し愛し合うとっても不思議な日曜だった

テーマ「贈り物」
クリスマスプレゼントには私にだけ甘やかしてくれる怪人がほしい

テーマ「ラブホテル」
「東京」という名のホテルは東京に存在しない   福島は雪

テーマ「京都」
くず餅をさがして歩くこの道は新撰組が走った道だ

テーマ「昼寝」
「初恋の時効が成立しました」と婦警がゆめでささやく真昼

テーマ「ラーメン」
終電をなくした僕らはラーメンをはじめとおわりの狭間で食べる
これだけ見たくなかったスエットの君と彼女がラーメン屋にいる

テーマ「スポーツ」
逆上がりもう永遠にしないだろう手のひらにまだ鉄の匂いが

テーマ「初恋」
目薬をさす君のからだが無防備になる瞬間に恋に落ちたよ

テーマ「珈琲」
母親が見てない間にコーヒーの中に砂糖の山が消えてく

テーマ「母」
母を見て未来の私に出会うとき私を見つめて若返る母

テーマ「父」
ドトールの離れた席にパパは居てパパというより和男であった

「自由」
健康をそこなうおそれがあるたばこ税は暮しに活かされています
月明かり  惣菜ラベルの「助           六」の空白部分の長さに見入る
洋梨とぶどうの皮はたべますよそういう世界で生きてきたから
こんなところまでついて来てくれてありがとう52階で払う猫の毛
取れかけのつけまつ毛のまま浴槽に沈むと夜は一段と夜
みそ汁がさみしいひとはいませんかここにえのきが落ちていますよ
「かわいい」と言うなら責任取ってよね新婚旅行はコンビニでいいよ
君より君の躰が好きだって言われても私ここにいるしか
「ジブリでどの豚が好き?」と聞いてくる紅の豚が好きな君が好き
「本の帯なんか、捨てるよ」と言った  貴方を少し捨てたくなった


帯にある、一首
双子でも片方は泣く夜もあるラッキーアイテムハンカチだった









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