「愛」という言葉を口にできなかった二人のために (幻冬舎文庫)沢木 耕太郎幻冬舎このアイテムの詳細を見る |
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「愛」という言葉を、口にできなかった二人のために、と、題を見ると、
ラブロマンスのようであるが、「世界は使われない人生であふれている」の続編、
「暮らしの手帖」の映画の欄に掲載された、32の映画評であり、エッセイである。
本を読み進めると、映画そのものが気になるが、今回一番見たいと思ったのは、
許鞍華監督の、香港、台湾の製作の「客途秋恨」である。
この映画、香港で日本人妻となった母と、その娘の、葛藤・・・。
いろんな事情と流れの中で、母と子は、離れて暮らしたり、同居したりとの、
くり返しで、母と娘の心はひとつにはなれない。
母の生れ故郷の日本に二人で訪れるが、和解というか、
単に離れている距離が縮まっただけで、母と娘の哀しみは、永遠に続く。
この本を読んでいる時、会社の女子社員が母親の介護で、週に三日程帰りたいので
一旦退職をと・・・話していると、肝心の父が、母に優しくないと・・葛藤を・・・。
丁度、この「客途秋恨」のところを、コピーして渡したのだが。
肉親とは、「優しく」もあるが、反面、致しがたい「哀しい」存在になりえるという
思いがよぎるだけに・・・・・・・是非、この映画観てみたいものだ・・・。
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『客途愁恨』個人的に好きな映画なので、沢木氏が高く評価しているのは嬉しかったですね。
監督さんの自伝的な内容らしいのですが・・・。
中国との間の辛い歴史を実感させながら、日本人としては救いを感じさせてくれる内容で、日本側の役者さんも好演していました。
主役の香港の大スター、マギー・チャンはこの映画に限って言えば、
吉永小百合にそっくりでしたよ。