十階―短歌日記2007 | |
クリエーター情報なし | |
ふらんす堂 |
☆☆☆☆
だいすきな書店、長崎書店にて購入。
この本は、2007年1月1日から、12月31日まで、
ふらんす堂のホームページで、「短歌日記」として毎日掲載されたもの。
その一年分を、素敵な装丁の本に。
二日間で、一気に読み終える。
いつものごとく、気になった短歌を・・・・。
ないよりも泣く方がいい何度でも麒麟のように焦がれていたい (1・1)
手の中の野の花束が枯れるまでわたしは声を待つつもりです (1・5)
そういえばこんなものが好きだったのはなぜだろう 座ってしまう (1・26)
なめておけば治るはずだとおもってたガラスの傷は案外深い (1・30)
豆まきにつかわれなかった豆たちがてのひらのなかそわそわしめる (2・6)
その方が気が楽だしねと立ちあがりボタンを止める一つずれてる (2・8)
「賞味期限は別途記載」されているはずの別途はついに分からず (2・9)
なにをしているかわからぬ者ですが不思議に今日も生きております (2・13)
この次でおりるからねと言ったあと同じかたちのくちびるむすぶ (2・21)
エレベーター開きあなたが現れてはじめて出会うひとに思えた (2・22)
ただそばにずっといてくれるだけのたったひとりの人ほしかった (3・11)
誰がなにを言ったとしても春風のざっくばらんな私を生きる (3・16)
片寄りて花びら池の面に腐る そんなふうでも愛しかった (4・9)
火の中に人ひとりいて炎とは二つの人が重なる現 (4・13)
その坂をのぼったさきに赤い花一つ残っていたらあなたに (4・16)
水の上に花をうかべて流れ去るまでのようです一夜のことは (5・2)
みんな誰かの前で泣きたいものですかひとりのひとが欲しいのですか (5・16)
わたしだけの場所があることうれしんで浮かぶ本日どこまでも青 (5・23)
どこにでも一緒に行ける気がしてる今は左に眠るこの人 (6・4)
偶然を愛するように少し甘い米を噛みつつ朝を噛みつつ (6・5)
封じ込めていたものが放たれて未来が過去をあたらしくする (6・6)
この次は会えるかどうか分からない人だとしても今がうれしい (6・7)
ひと匙のマーマレードの安らかさ少し焦げ目を与えたパンに (6・14)
濡れるとき色を濃くする人立ちてこちらに一歩一歩近づく (7・5)
生き物である苦しさに真夜中を抜け出し歩む道なまぬるし (8・3)
あと少しのぼれば空が見えますよ抱きしめているものを捨てなさい (9・30)
現実と真実のごとブランコは二つ並んで一つが揺れる (10・19)
この場所に一緒に座っていた人の笑顔はうすくなれども消えず (11・4)
サシスセソうまく言えない男らの恋はさみしい誤解なのにね (12・17)
夕焼けに足さしいれてきたように緑をふるわせて咲くシクラメン (12・19)
日記代わりに、一日一首、お洒落ですね。
しばらくは、数打つも下手の横好きと、私も日々一首。
詠んでみようと・・・・・・・。
穂村弘さんとの連歌ともいうべき恋歌、東直子さんの本「回転ドアは順番に」は、
既に文庫本で読んでるんですが、単行本が手に入ったので読み返してみようと・・・。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます