2月18日(土)
白い雪を見たくなって深入山へ出掛けた。中国道の戸河内ICで高速道を降りる。広島県北部は昨日まで雪が降っていた筈であるが、今回も戸河内の街には雪がない。国道191号線を深入山方面へ走る。九州から来たスキー客の自動車が多い。三段峡入口を過ぎると雪が多くなる。松原の交差点まで上ってくると、家々の周りには人の背丈を越える屋根から下ろされた雪が溜まっている。それまで綺麗に除雪されていた国道であったが、いこいの村ひろしまの手前になって、雪が融けずにシャーベット状になって残るようになった。上るに従ってその雪が多くなっていった。
国道から見えてきた深入山は予想通り真白き峰であった。いこいの村ひろしまの駐車場に車を停めさせてもらいいよいよ登山開始である。カンジキを履いた登山教室の団体が身支度を整え先に登って行っていた。山スキー愛好者や登山者の数も結構多い。我々 はカンジキもスノーシューズもなしで壷足で登る。約30分間は団体のカンジキの跡をトレースして楽に登った。団体を追い抜いてからは、雪が益々深くなっていった。何度か片足を腰近くまで雪の中に突っ込んだ。やがて、南に面した尾根上の雪の融けた岩や笹原が現われたので、そこを南登山口からの登山道の合流点近くまで登った。最後は純白の急な斜面を頂上広場まで雪を踏み踏み登った。先人が辿った跡をちょっと外せば無垢な雪原の上を歩けた。登山口から1時間10分余の登攀で、深入山の頂上に到達した。
登攀中から素晴らしい天気であった。空気の透明度も高かった。登攀中は、内黒山から十方山、恐羅漢山、砥石郷山などの大眺望が常に左彼方あった。頂上に着くと、文字通り360度の大眺望である。今日のこれは筆舌に尽くし難いほどに素晴らしかった。北方の臥龍山と掛頭山の山容が一際大きい。白い雪が見たいという望みは、雪を頂く山並の饗宴を目にして期待の幾倍もの大感動をもって叶えられた。
【写真上】は、登山教室の団体さんの後を追って深入山を登り始める。
【写真中】は、内黒山、十方山、恐羅漢山、砥石郷山の大眺望。
【写真下】は、青空と深入山頂上部。
二つのレポートを並べて見比べております。
どの山行も帰ってきてから反芻する度にその都度色々な味がするものです。その積み重ねの末に残る感慨が、自分なりのその山の評価であるように思います。前回の山行は、案外何年か経っても感慨深いものとして残っているかも知れませんね。
純白のこの世界は神の仕業でしょうか。まぶしいげど身も心も洗われます。
あくなき修行に邁進される貴僧には頭がさがります。
それにしても10円ハゲさん!
名は体を表すといいます。
夢と希望、それに大志。
せめて「瀬戸の貧乏神」なら世界が広がります。
10ハゲには将来展望が感じられません。貧乏は大ガねもちの第一歩です。ゴメン。
無理をされてはいけませんが、この白い世界を訪れるにはちょっとした勇気のひとかけらがあれば十分なのですよ。「ワシャあ、500m以上の山にゃ登らん!」と強く言っておられた御仁が、何かをきっかけに3,000mの高嶺に簡単に登られたように・・・。
”やわ肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君”
晶子はこう詠んだそうだ。
君は誰か。やは肌とは。
思いめぐらせば尽きるところはありません。
人間の想像力というものは大したものです。想像力がある故に、芸術も生まれ、文明の発展もあったのでした。
山頂部の写真から与謝野晶子が出てきましたか!山を歩いた人間には、一歩一歩、確実に刻まざるを得ない急斜面でしたが・・・・。でも何か感じるものがあって、この写真を撮ったのも事実です。