図としては簡単な絵ですが、表情は一番気に入っています。横顔のきりりとした顔を描きたかったのですが、できてみたら、こうなりました。まるで、「なんてことだ」て、叫びを噛み潰しているかのようです。
あまりの現実を前にして、これからこれをやらねばならないのか、と、正直、ショックを隠せない顔。これはまた。できないことではないけれど、苦しすぎる。
あのころのわたしも、きっとこんな顔をしてたんでしょう。ほんと、今だからいえますが、絶対に無理でしたよ、あんなこと。できないって言っても、ほとんど、責める人はいなかったでしょう。
でも、どこを見回しても、自分しかそれをやれる者はいなかった。やらなければ、苦しいことになりすぎる、現実が、あった。
できないことではない。できるのだ。しかし、痛すぎる。逡巡の虫がかすかに内部にうごめくのを感じながら、同時に、やるんだなと、ひざを立てて立ち上がろうとしている自分の心を、強く感じている。
わかりました。やります。と、自分が言う、その三秒前の顔、というところです。