これは、マーガレットでしょうか。幼稚園のお庭の、プランターに植えられていました。特定は難しいけれど、一応マーガレットにしますね。
キク科アルギランセマム属。Argyranthemum frutescens カナリア諸島原産の多年草。白い花が一般的ですが、ピンクや黄色の園芸品種もあるそうです。
ピンクや黄色だと、少し戸惑いがちな優しさが見えますが、白いマーガレットは、どこか少年めいたきつさがありますね。きれいだけど、どこか痛い感じがするでしょう。近寄っていっても、やさしくはしてもらえないような。
それはね、キク科の花が、ほんとは人間が少し嫌いだからです。なんとなくわかるでしょう。きれいだけど、つんとしてて、近寄りがたい。どこか、馬鹿にされているような。わたしは、キクがお葬式の花にされているのは、このせいじゃないかなって感じがしてます。お葬式は、やっぱり辛いものだから。どこか心が拒否してしまう。その怖さを、キクの痛さでかばっているような。
キクは、強くて、堅い。きれいだけれど、頑固。ゆずらない。人間が馬鹿なことをしていると、ほんとうに馬鹿だなって言って、そっぽを向く。軽蔑もする。いやだといって拒否をする。
サクラのようにやさしく包み込んではくれない。ちょっと大人になった少年が、子供みたいなことをしている年下のやつに、やめろって、怒ってくれてるような。
ほかに、人間が好きではないという植物には、ツゲや、マツがあります。不思議ですね。どれも、日本人が好む植物です。どうやら日本人は、よほど、自分に厳しいらしい。自分の弱さを怒ってくれる植物を、身近に置きたがるような。そんなところがあるんでしょうか。
でも最近は、キクも、マツも、ちょっと色あせ気味です。松くい虫のおかげで、マツはだんだん少なくなってきているし。キクも、お葬式のイメージばかりが強い。花屋さんにいくと、昔は見事なキクの鉢を見かけたものですが、最近では、あまり見かけなくなりました。その代わり、人間をあまり怒らない、ベゴニアやカランコエが多くなった。
最近、あまーい大人が多いのも、そのせいでしょうか。それとも、不用意に怒れないほどに、人々が疲れているんでしょうか。