世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

サクラソウ

2008-02-18 08:37:51 | 花や木

サクラソウ科サクラソウ属。Primura sieboldii

園芸品種の特定は難しいですね。学名があってるかは、わからないんですが、手元の図鑑で、一番似てるものにしました。これは、先日の学習発表会の折に、小学校に行ったとき、花壇の隅に見つけた小さなサクラソウです。

うすべにの可憐な花ですが、自己主張がそう強くないので、実は昨日の記事の、「人間をあまり怒らない花」に加えようと思っていたのです。そうしましたら、記事を書く数日前、花屋さんで見事なサクラソウの群れに会ったのです。

それはみごとに自己主張していました。まるで、わたしの偏見に、敢然と反論してきたかのようです。ほんとうに美しかった。それはサクラのようにあでやかというのでも、キクのように凛と厳しいのでもなく、ほどよく潤った細やかな優しさを、ちゃんとできる、賢さという感じでした。わたしは、そういうものですと、きちんと額をあげて、主張してきたのです。

わたしの未熟な偏見でしたと、素直に頭を下げました。

サクラソウの美しさは、普段は強くそれを主張しないところにあるのです。傷つき弱っている人の心に出会うと、きつくなく薄くなく、ちょうどよい明るさと優しさの紅で語り掛けるために、そっとやってくる。サクラソウは、何もいわず、そっとそこにいる。いいんだよ。わかっているからと。

ご近所にも、サクラソウの鉢をたくさん庭においてあるお家があります。そこの家の奥さんは、なんとなく、サクラソウに似ています。ほんとうはちょっと気が強い。何でも自分でやりたいなっていう気持ちもある。でも、そばにひどく傷ついた人がいるから、何もいわないで、つらいことがあっても、だまってそこにいてくれる。美しい人ですよ。

なにもかもわかっているけれど、いいんだよ。わたしは、ばかになってあげられるから。ばかだとおもわれたって、別にいいんだよ。あなたが苦しんでいるほうが、辛いから。

けれど、自分の一番痛いところを、はずかしめられたら、きっと、まなざしの光が強くなる。ほこりたかいまことを持っているからです。

サクラソウは、愛のためにそうしているからです。


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