スミレ科スミレ(ヴィオラ)属。Viola × wittrockiana
さて、ちょっとクイズです。この、どこにでも見かけるパンジーは、人間にやさしいさくらそうタイプ、あるいは人間が嫌いなきくタイプ、どっちでしょうか。
よく顔を見て、花の心を感じてみてくださいね。微妙なところも、ちゃんと読んであげてね。なんとなく、わかるでしょう。
そう、スミレの仲間も、どちらかといえば、人間が苦手です。ちょっと、いやだと思って、いつもしぶい顔をしています。
ただ、きつい少年という感じのキクや、厳格なおじいさんという感じのマツ、生真面目なおじさんという感じのツゲと違うところは、すみれが、かわいい女の子、という感じのとこでしょうか。
「なんでそんなことするの?」という感じで、目をつりあげてはいるけれど、そこは女の子、あまり強くは責められない。だからいつも、すみれは悲しそうな顔で、うつむき加減に咲いている。
そんなスミレの花が、この日本中どこにでも、四季を問わず、咲いている。栽培がしやすいし、気軽にどこにでも植えられるし、繁殖力がすごいから、どこででも増える。一日、パンジーの花を見ない日は、日本ではないほどです。どうしてこんなに、パンジーが栄えているのか。
それはきっと、人間が、悪いことばかりしているから。だから、ちょっとは怒ってほしいんだけど、できたら、厳しい男の人に、ごんとお目玉を食らうよりは、やさしい女の人に、ちょっと怒ってもらうほうがいい、ていう感じでしょうか。
要するに、人間は、疲れすぎているんでしょうね。いろいろと、いやなことをしなければならないことがあって、それが積み重なってくると、悪いということはわかっていても、優しさを求めていきたくなる。
心に重荷を抱いている人は、だれかにいつも、ごめんね、て言いたい。悪いことしてるから。つっぱってるけど、本当はいつも、苦しいから。その崩れやすい心を、受け止めてもらうには、パンジーが、やさしい。
こんなにパンジーが、どこにでもたくさん咲いているのは、そんな人が多いからじゃないでしょうか。