これは架空の詩人、鳥音渡の第2詩集である。鳥音渡が死の間際に残した詩集だという設定で、そのせいか、どこか詩集にかすかな死の匂いがする。
かのじょ自身も運命の流れの中で、何かに感づき始めていた。本当は、かのじょはもう疲れ果てていた。われわれがバックから支援しないと、何も書けないほどになっていた。
これらの詩群はみな、われわれが、かのじょの精神の底辺を支えながら、書いてもらったものだ。わたしたちがかのじょの疲れ果てた精神にエネルギーを注ぎ込むと、かのじょは水を得た魚のように、美しい言葉を書き始める。
かのじょは、あらゆることに耐えて、みんなのためにがんばってくれた。だが人間は誰もかのじょを助けなかった。
詩集の中にはかのじょのそんな淋しさが、笛の音のように流れている。
明日から計12編、一日に1編ずつ紹介していく。