世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

夢うつつ

2015-04-14 06:46:08 | 瑠璃の小部屋

ゆめと うつつの あいだの
すきとおった とびらは
あかつきの いろに 映えて
しずかに 燃えている

取っ手もない そのとびらを
あけることは できない
けれど かんたんにとおってゆく
ことが できる

風のように 軽々と
ぼくはぼくの影を捨て
白い鳩の翼に酔って
なにもないもののように
色のない風の小鳥になり
すきとおったとびらを
とおってゆく

ゆめと うつつの あいだの
すきとおった とびらをこえて
ぼくは ゆめのなかに とぶ
小鳥は すべてを見る
ゆめは 灰色の砂絵で描いた
とてもおおきな
ダンジョンの地図だった
そよ風が何かをささやくたびに
世界は変わってゆく

空の向こうから
神様が 地球にくぎを打つ音が
聞こえる
それは不思議な音で
誰かがこう言っているように
聞こえるのだ

じかんがないよ
でんしゃが でてしまうよ
さいごの でんしゃが

ぼくは ふたたび
ゆめと うつつのあいだの
すきとおった とびらをとおって
かえってゆく

すると駅があって
黄色い電車が とまっていて
乗客を待っている
乗っている人は少ない

切符はいらない
乗りたいと言えば乗せてくれる電車に
ぼくはしずかに入ってゆく
どこへゆくだろう わからない
でも

ベルが鳴る そこでぼくは
夢から目を覚ます




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