君が 秘密の部屋で
小さな瑠璃の虫をつぶすと
嘘が 君の目に忍び込む
昨日まで かわいかった
君の瞳が
今日は
まるでシャッターの降りた
異国の雑貨屋のように淋しい
目の中に 君がいない
いや 君が見えない
君の目の中の雑貨屋には
ふしぎな異国の魔法の青いペンダントがあった
小鳥の形をしたオルゴールが異国の歌を歌った
西洋の陶製の小さな天使の人形があった
天使はヴァイオリンをひいていて
目を閉じて 頬を染めて
音楽を奏でていた
夢が籠一盛りの林檎のように
光っていたのに
今はそれが 全部見えない
君の夢はどこに行ったの?
君は
誰も知らない
君の秘密の部屋で
小さな瑠璃の虫を殺した
決してついてはならない嘘を
君は 君についた
目の中に 染まった嘘の色を
君はかすかな作り笑いで支えている
ああ もう ぼくは
二度と 君に 会えない のだろうか
君は 秘密の部屋で
瑠璃の虫を 殺した