◇ 『認知症予防手帳(2019年版)』 監修者:国立長寿医療研究センター予防老年学研究
部健康増進研究室室長 土井 剛彦
2018.9 ミネルバ書房 刊
訳あって『認知症予防手帳(2019年版)』なる本を入手しました。そろそろ認知症が気になるお年頃
ということもあって興味深くめくってみた。
この本は認知症にかかわる基本知識と共に、実際自分が認知症になりかかっているのか、既になってい
るのかをチェックできる実にありがたい本である。監修者が国立長寿医療研究センターの予防老年学研究
部健康増進研究室の室長であることも心強い。
手帳であるからしてカレンダー付で、月間スケジュール、週間スケジュールを記入できるようになって
いて、各ページには毎日服用する薬のチェックができるし、欄外に認知症についてのアドバイスや予防法
が載っていたりしてなかなかの気配りである。
なんといってもまずは認知症についての基礎知識を確認したうえで、現在の自分の認知機能の状態を知
るチェックテストがあるところがいい。認知症を予防するために大いに役に立つから。
1.そもそも認知症とはどういう状態を指すのか。なぜ認知症が起こるのかどんな症状が起こるのか。
(簡単にいうと脳細胞が死滅したりして脳の働きが悪くなっている状態を認知症といいます)
2.主な認知症の種類と特徴。
(アルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭葉変性症、脳梗塞・脳出血による脳血管障害など。このう
ちアルツハイマー型認知症が50~70%を占めています)
3.認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)とは何を指すのか。
(認知症の症状は誰にでも起こる症状と人によって症状が異なる周辺症状とがあります。
*中核症状とは記憶・見当識・理解判断力低下・実行機能障害など
⋆周辺症状とは中核症状が因となって起きる不安・抑うつ、幻覚、せん妄、俳諧、暴力・暴言、睡眠障害
などを指します)
4.若年性認知症とは何か。
(65歳未満の若年成人が発症する認知症で50%が脳血管性認知症、20%がアルツハイマー型認知症です。)
5.軽度認知症(MCI)とは何か。
(認知機能低下が本人や周辺から自覚・訴えがあるような認知症の一歩手前の状態にある人を指します。
早期発見・早期対策が重要です)
6.認知症の診断・検査方法は。
(まず問診で症状を聞き出し、認知機能を調査します。また血液検査や運動機能や反射機能など神経学
的検査も行います。さらにCT・MRI・PETなどによる画像診断を行って総合的な判定を行います)
7.認知機能の検査方法。
(知能、記憶、言語、視空間認知、注意、方向性注意、前頭葉機能、複合的検査など多岐にわたる検査
がありますが、高齢者の運転免許更新などでおなじみの「改訂長谷川式簡易機能評価スケール」に基
づく検査が紹介されていて、実際3ケ月毎にテストをやって、認知機能の低下がないか確認できるペー
ジが用意されています)
またこの本には認知症の予防と進行防止・改善のための運動や頭の体操・食事などのアドバイスが付
いています。また症状別のケアの方法や早期発見のための新しい検査方法(血液検査によるアミロイド
βの分析)も紹介されています。
更にお薬手帳や通院・手術・入院記録、定期健診記録ページも付いています。
(以上この項終わり)