リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リハーサル

2025年01月30日 09時31分07秒 | 音楽系

2月9日のコンサートのリハーサルです。

今回の共演は、ヴァイオリンの鈴木崇洋さんとヴィオラ・ダ・ガンバの山下瞬さんです。鈴木さんはリサイタルを始め今まで何度もご一緒させて頂いてます。山下さんは昨年末八百津町のカフェ・ビスでご一緒させて頂いたばかりです。

12月のコンサートではフレンチ・テオルボで通奏低音とソロを演奏したのですが、今回は初めてラース・ジェンソンに新しく作ってもらったアーチ・リュート(リウトアッティオルバート)を使います。

この楽器はまだ音を出し始めて一ヶ月程度なのですが、現段階でもとても音が前に出て良好です。中音域も高音域もとても音が良くのびます。バス弦がアキラのローデド・ナイルガット(CD弦)で、シングルかつテオルボより30センチも弦長が短いのでバスの音量がどのくらい聞こえるのか少し心配でした。ソロでは特に問題ないのですが。でも実際は全く杞憂でした。

実際にアンサンブルで合わせてみて、バスの音は、最初のアタック(0.5秒くらい)にどれだけ音のエネルギーが出ることがいかに重要かよくわかりました。金属巻線は音の持続時間がCD弦やガット弦に較べてはるかに長いし音もメタリックなので大きな音に聞こえますが、実際の初期アタックの音エネルギーはあまり変わらないようです。長く金属的なギーンより短く丸いボンのほうがいいということです。昔はそういう音でアンサンブルをしていたわけだし。

さて今回のプログラムはテレマン、ヴェラチー二、マレ、デルブロアなどの作品を演奏予定です。コンサートは2月9日(日)15時開演、会場はくわなメディアライヴ内のときのホールです。バロック音楽の旅シリーズの最終回ですが、飛び込み参加もかのうです。


バロック音楽の旅17第5回コンサート

2025年01月27日 17時41分00秒 | 音楽系

昨日はバロック音楽の旅17第5回コンサートでした。

今回は太田光子さん、桐畑奈央さん、杉浦道子さんを迎えてイタリアの音楽中心のプログラムです。

今回も沢山の方にお越し頂きました。いろいろ都合がおありの方もいらっしゃることもあって、受講申し込みされた方全員がお越し頂くことは普通ないですが、今回はひょっとして全員が?!という感じでした。(あとで調べてみましたら残念ながらそうではなかったですが)

プログラムは次の通りです。

マルコ・ウッチェリーニ (1603 or 1610 - 1680)/ベルガマスカによるアリア第5番

ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョ (16世紀後半 - 1621-)

2本のリコーダーのためのカンツォン

リコーダーのためのカンツォン

ダリオ・カステッロ (1602 – 1631)/ソナタ第4番

マルコ・ウッチェッリーニ/アリア第15番〈君が壊したお針箱〉

マウリツィオ・カッツァーティ (1616 - 1678)/チャッコーナ

------------------------------ 休憩 ---------------------------------

ヨハン・クリスティアン・シックハルト (ca.1682-1762)

コレッリの合奏協奏曲によるトリオソナタ第1番ヘ長調 (作品6)

ジュゼッペ・サンマルティーニ(1695– 1750)/トリオソナタ第6番ニ短調

 

次回はこのシリーズ最終回で2月9日になります。鈴木崇洋さん、山下瞬さん、と私のトリオでお送りします。

 

 


朝食の音楽

2025年01月24日 10時36分20秒 | 音楽系

今日の朝食の音楽はと、ナクソス・ミュージック・ライブラリーで選び始めて、また何となくカステルヌォーヴォ=テデスコを選んでしまいました。好きですねぇ。でも聴いてたらすぐ飽きてしまうところもあるのですが。

曲目は知らない曲ということで、エクローグを選んでみました。伊福部昭の作品で交響的エグログというのがありますが、多分それと同じことばですよね。調べてみましたら「対話形式の田園詩」とありました。dialogue と親戚のことばかな。

アルバムの曲目を見て見ましたら、エクローグ以外はギター五重奏曲、ギターとピアノのためのファンタジア、フルートとギターのためのソナチネでよく知られた曲ばかりでした。

演奏は国際コンクールで優勝の経験もある若手ギタリストとあと共演者も多分若い人なんでしょう。五重奏曲はいろんな録音がありますが、本アルバムの演奏は秀逸。まず弦がとても美しいです。音程が正確だし。ストリング・カルテットの中にはとても音程の悪いカルテットがあって、このギターが入った五重奏曲に限ってそういう音程悪音汚カルテットが多いのは何でなんでしょう?

五重奏のテンポは幾分ゆったりめですが、汚い音を出しやたらと速い演奏が多い中とてもいいテンポ感です。ギタリストはとても才能のある人だと感じましたが、ソロアルバムはまだナクソスには出ていませんでした。ソロを聴いて見たいところです。他のアルバム曲もとてもいい演奏で、おかげで朝食がすすみました。

あと、ナクソスのミュージックライブラリーのアルバムにはレビューがあります。アマチュアが投稿している適当なレビューはさておいて、公式の紹介文はなかなかきちんとしているものが多い中、本アルバムの公式紹介文はまるでアマチュアが書いているようなレビューでちょっと残念でした。


日本人大リーガーの英語

2025年01月23日 09時01分29秒 | 音楽系

特に見たくはありませんでしたが、朝テレビをつけたらやってたので見てしまいました。佐々木投手のドジャーズ入団会会見です。

まぁ予想通り日本語で行い英語の逐次通訳付きでした。昨日のイチロー選手のアメリカ大リーグ殿堂入り会見でも隣に英語通訳がいました。

イチローなんか長くアメリカにいたはずですが、会見レベルの英語はできません。日本のファンには敢えてやらないんだと素朴に信じている方もいらっしゃるようですが。お相撲さんなんかモンゴル人力士が優勝してもインタビューでとなりにモンゴル語通訳がいる場面は見たことがありません。

事情はよく知りませんが、私が勝手に想像するに、実はアメリカで野球は二流スポーツなので、日本人選手がインタビューを英語で受け答えしていてもそもそもそれをテレビでは見ないのかもしれません。そのインタビューは実は日本向けなので別に英語で言わなくてもいいということになります。

選手の方もインタビューはそもそも日本向けなのでする英語で行う必要がないということをよく知っているので英語を勉強しないということなんでしょうか。

石原さとみが以前英会話のCMに出ていたので英語がペラペラだと思っている日本人が多いというネット調査結果を見たことがありますが、英語がきちんと出来る人が聞いたら石原さとみは英語ができない人であるということはすぐに分かります。

3ワード程度イングリッシュで応対していても英語が出来ない人から見ればあの人は英語がペラペラだと思われます。私が大学の2年生になったばかりのころ、ある講習会で英語圏の某女性ギタリストの「通訳」をしたことがありましたが、3ワード程度イングリッシュだったにもかかわらずもう英語がペラペラなんやと友達から褒められ妙にこそばゆかったことがありました。

日本人大リーガーも3ワード程度イングリッシュでチームメートと応対している場面をテレビがときどき映していますが、そのレベルの英語なら3ヶ月も必要ありません。でもそれを見た日本人は大谷もイチローも英語はペラペラなんだと思ってしまうわけです。日本のマスコミは彼らが実は英語ができるんだという風に見えるようなある意味「偏向」報道をしています。でも私が知っている限りでは、彼らは日本のお相撲さんがやっているレベルのマスコミ対応はできません。カザフスタン出身の金峰山の勝利インタビューでは普通に日本語で応対していました。

大相撲も含めてあらゆるスポーツ選手は、自分の国から出て外国で活動する場合はその国のことばで生活しもちろん現地マスコミによるインタビューなども現地のことばで対応します。日本人サッカー選手なんかオランダ語やらイタリア語で普通にインタビューを受けていますよね。

ことばはその人の生活の鑑、大リーグの日本人選手はアメリカで生活していても3ワード程度イングリッシュ以上の英語が必要でないとても特殊な環境に置かれているといえます。海外駐在会社員の奥様で滞米10年でも全く英語ができない人もいますから、まぁ同じような言語環境なんでしょう。これは日本の野球<アメリカのBaseballという少し特殊というかある意味いびつな関係になっているスポーツがもたらしている環境のせいで、もちろん選手個人のせいではありません。

 


加納木魂(1939-2025)

2025年01月22日 18時50分45秒 | 音楽系

ギター製作家の加納木魂氏が先日お亡くなりになりました。享年86歳。加納氏は名古屋出身のギター製作界の重鎮で、父君の木鳴氏の後を継いでギター製作家になられた方です。

加納氏は当ブログでも書いたことがありましたが、古楽黎明期にあってとても優れたリュートを製作した斯界のパイオニアでもあります。私自身、かつて氏の製作による8コース・ルネサンス・リュートと13コース・バロック・リュートを使っていました。リュートとは名ばかりのレベルの低い楽器しかなかった当時にあって、リュートという楽器はこういう風に鳴るのだということを高いレベルで示すことができたのは氏の大きな功績だといえます。

後年リュート製作は止めてしまいましたが、わりと最近までときどき名古屋のギター専門店ミューズ音楽館でお目にかかることがありその時はいつもお元気な様子でした。ミューズ音楽館の山下氏は、お亡くなりになる2,3日前にもお元気なお姿に接していたとのことですので突然の訃報ということでした。

ここに追悼の意を表し氏のご冥福をお祈り申し上げます。

 


「ほ」か「ぼ」か「ぽ」か「ぷ」か、それが問題だ

2025年01月21日 10時56分55秒 | 音楽系

大相撲一月場所では豊昇龍(モンゴル出身本名スガラグチャー・ビャンバスレン)に土がついて3敗(さんぱい、さんはい?)となり、横綱昇進は絶望的になりました。

そんな中幕内を見渡してみますとなんと前頭十四枚目の金峰山(カザフスタン出身本名バルタグル・イェルシン)が9戦全勝です。まだ上位とは当たっていないのでこのまま行くとは思えませんが、優勝の有力候補で目が離せません。

この金峰山というしこ名はどう読むかというと「きんぼうざん」というのが正式のようです。峰は「ほう」「ぼう」「ぽう」、山は「さん」「ざん」「やま」と読めるので実はこのしこ名、相当な難読しこ名です。

山梨県にこの力士と同じ名前の山があるそうですが、そちらは「きんぽうざん」または「きんぷざん」と読むようです。ややこしいですね。「ん」の次に「ほ」が続く場合はいろんな読み方がありすぎるようです。

野党勢力の有名な政治家の場合は「ほ」ですが、別の与党政治家が「ぽ」と読んでしまったため、その与党政治家はえらく非難されました。でもその政治家が思わず「ぽ」と読んでしまうくらい「ぽ」の方が普通のような気がします。ナントカ連峰、ナントカ連邦共和国、漢方薬、憲法、ドリア旋法、信奉、天保などほとんどの「ほ」が「ぽ」に変化します。非難された政治家さんはある意味お気の毒だと思います。

件のお相撲さんは「ほ」でも「ぽ」でもなく「ぼ」ですが、このパターンはあまりないみたいで、すぐに用例が出て来ません。私が幼少の頃ウチのすぐ近くにキンボウと呼ばれていた犬がいましたが、たぶん「キン坊」だったでしょうけど、これの場合は「坊」は最初から「ぼう」ですから、違うかなと思って漢和辞典でしらべてみましたら「ほう」という読みもありました。

さて9連勝の金峰山、今日の対戦相手小結阿炎です。いよいよ三役との対戦ですが、どうなるでしょう?


slweiss.com

2025年01月20日 11時49分36秒 | 音楽系

以前slweiss.comというサイトがあり、そこではヴァイスの作品のソースや作品番号などがきちんと整理されて掲載されていました。

ヴァイスのソナタの演奏プログラムを書くときに、何番だったっけ?に即答えてくれるなど重宝していたサイトで随分前から愛用していました。

それがコロナ禍の最中のことだっと思いますが突然アクセス出来なくなりました。コンピュータに詳しいヨーロッパ在住の若手に尋ねてもよく知らないとおっしゃる。

とても役に立つサイトだっただけにホントに惜しいことになったと思っていた矢先、最近ふと思い立ってslweiss.comにアクセスしたらあの懐かしいカバーページが出て来ました。復活したんですね!

ただ内容的にはヴァイスに特化したものではなく、現在残されているソース全般を対象にしたものです。もちろんヴァイス関連のソースも含まれていますが、以前のようにヴァイスに特化したページも復活してほしいところです。

再興なったサイトを見て見ますと、旧slweiss.comを運営していた方がお亡くなりになりサイトを閉じたらしいですが、篤志家の手により昨年復活したようです。

以前のような形での復活も望んでいますが、まずは再興されたことをお祝い申し上げましょう。


フレットを巻き替える

2025年01月17日 14時02分24秒 | 音楽系

2月のコンサートで新しいAttiorbatoを使ってスカルラッティのソナタK. 380を演奏する予定ですが、1コース10フレットの音が11フレット(木の張りフレット)に少し当たるみたいなので、フレットを交換してみました。

矢印の部分ですね。

リュートは9フレットまで巻きフレットというケースが多いのですが、新しい楽器は10フレットまで巻きフレットです。以前使っていた同じマテオ・セラスモデルのAttiorbatoは巻きは9フレットまででした。

ラースがここに0.72mmという結構細めのガットを巻いてきたので、1コース10フレットの音(f)をフォルテで出すと11フレットに少し当たってしまうのです。

でもここだけ太いのを巻いたら今度は9フレットがびびってしまいます。ということで10以下も全部巻き直しをすることにしました。1コースに1.28mmという妙に太いのを巻いていましたので、ここも1.20mmに交換しました。ここから順に細くしていく訳ですが10フレットには0.80mmを巻きましたところ音はびびらなくなりました。件の箇所は思い切り音を出したいところなので、これで忌憚なく強い音を出せます。

ちなみにこの曲は13フレット(タブの文字だと O になります)を使います。クラシック・ギターだとこのくらいのポジションはなんでもないところでしょうけど、リュートだと弦幅が広くなるわ、ボディが干渉して左手が押さえにくくなるわでなかなか大変な箇所です。新しい楽器では、シングル仕様で弦幅が多少は狭いし、ボディも少し小さめなので多少は楽ですが、弾きにくい箇所であるには違いありません。

 


較べてはいけない!(2)

2025年01月16日 15時02分08秒 | 音楽系

クラシック・ギターの神様?のアンドレス・セゴヴィアと同じ年代のギタリストで、アウグスチン・バリオスという人がいます。

私がギターを弾いていた当時(70年代の初め~1974)のアマチュアやギター教室の先生たちはこの二人を双璧を成すものだと見ていたように思えます。あくまでも私の印象ですけどね。

片やパリの楽壇で確固たる地位を築き、当時の著名演奏家、作曲家とも親交のあるギタリストが南米パラグアイの田舎でポップスまがいの曲を作曲・演奏していたギタリストと比較されるのもおかしな話ではあります。

当のセゴヴィアもバリオスのことなんか歯牙にもかけていなかったようです。そりゃそうでしょう。ルーセル、タンスマン、イベール、テデスコなど当代一流の作曲に作曲を依頼して演奏、あるいはバッハとかハイドンなの古典楽曲を編曲演奏をしてギターの価値を高めようとしているギタリストにとって、「なんで田舎ギタリストと私が較べられんとあかんの?」という感じだったんでしょう。

私自身の短いギタリスト期ではバリオスの作品に全く食指が動かず、コンサートで演奏することもありませんでした。大聖堂という曲がバッハへのオマージュだ、と言っている人もいましたが、どこが?という感じでした。でもアントニオ・ラウロのベネズェラ・ワルツ第3番を演奏していましたから、もう少しギターを長く弾いていたらバリオス作品を弾いていた可能性もあるかも知れません。


較べてはいけない!(1)

2025年01月15日 19時36分57秒 | 音楽系

60年代中頃の話ですから、もう60年近い昔です。私はその頃父親が購入した「セパレートタイプ」のステレオセットでLPやらAM、FMラジオを聴きまくっていました。

レコードではクラシック音楽を聴いていましたしたが、ラジオの方はもっぱらポップス。毎週火曜日と金曜日にそれぞれ前田武彦・木元教子と小島正雄がパーソナリティを務める洋楽ヒットチャート番組(2つとも確か2時間番組でした)を聴いていました。

ご丁寧にもそれぞれの番組の毎週の順位をノートに記録していたのですが、残念ながらそれはもうどこかに行ってしまって手元に残っていません。残っていたら結構面白い資料になっていたかも知れません。

当時の洋楽シーンはビートルズが出て来た頃です。ベンチャーズの曲もヒットしていました。私の印象ですが、その当時はビートルズとベンチャーズが横並びで比較されていたような感じでした。でも個人的にはビートルズは「本物感」を感じましたが、ベンチャーズの曲はなんか軽い感じがしていました。その後の音楽作品としての評価はご存じの通りです。今から思うとベンチャーズなんてアマチュアに毛が生えた程度のモノでしたが、リアルタイムの評価では、ビートルズとベンチャーズが双璧のような印象を受けました。

当時はビートルズをきちんと評価出来る人がほとんどいなかったので、ベンチャーズと較べてしまったんですね。