バロックリュートは比較的調性に対する適応性が高い方だと思います。ちょっとわかりにくい言い方ですけど,リュートとかギターとかヴァイオリンは曲が何調であるかによってすごくひきやすかったり,響きが明るくなったりまたその逆にもなります。まだヴァイオリンはメロディが主だからいいですけど,ソロ楽器のリュートとかギターはほとんど実用にならない調もあるわけです。
でもバロックのアンサンブル(通奏低音を担当します)をするときは,そんなことを言ってられません。当然昔も事情は同じだったでしょうね。
「ボク,イ短調は得意だけど,ト短調の和音は知らないから弾けません」
なんて言ってたら商売になりません。
でもそうは言っても調性に対する得手不得手があるのは厳然たる事実なので,せめて得手不得手の傾向をヴァイオリンと同じにということで使われるようになったのが,テオルボとかバロックリュートの調弦なんでしょう。これが,1弦をソに合わせるルネサンスリュート式の調弦だと,♭系の調は得意でも♯系はだめです。これはヴァイオリンの傾向とは異なります。そこで一弦をラに合わせるとそれは解消します。
バロックリュートは1弦がラではありませんが,6弦はラです。でも2~4弦(コース)は1弦がソのルネサンスリュートと同じ調弦です。いわば♭系もシャープ系もなんでも来いのオールマイティ型です。はじめに「調性に対する適応性が高い」と書いたのはそういうことです。ヴァイスも当然バロックリュートで通奏低音していた訳で,もちろん「ト短調はだめです」なんて言ってた訳がありません。イ長調でもホ長調でも変ロ長調でもなんでもオーケーだったでしょう。
でも実は,バロックリュートにはすごく苦手な調が一つあります。それはロ短調です。♯2個です。同じ♯2個のニ長調は非常に明るく響きますが,ロ短調はだめです。まぁ,鬼門みたいなもんです。(笑)これは,BマイナーとBメイジャーの和音が非常に押さえにくいからなんです。同じ理由でホ短調も苦手な方です。
ヴァイスのソロ作品でロ短調はゼロ,ホ短調はト長調組曲の一部で一曲だけありますが,ホ短調組曲というのはありません。イ短調の曲で途中で転調してホ短調になってくるとBのコードが出てきますが,上手く音型を工夫してバスを弾くのに負担がないようにしている(ごまかしている?)曲すらあります。
もっともBのコードを弾く解決策は実はありまして通奏低音で4ポジションをバレ(人差し指で何本かの弦をバッと押さえる)をして7弦(コース)を押さえたらそんなに問題はありません。でも音が暗くなるので,ソロでは使わなかったということなんでしょうね。当然通奏低音でロ短調がだめですなんて言ってられなかったでしょうから,いろんな方法を使ってやってたんだとは思います。それにしてもフラットがいっぱいつく変ロ短調の曲があるというのに,シャープがたった2つのロ短調の組曲がヴァイスに一つも残っていないというのも何か不思議な感じもしますね。
でもバロックのアンサンブル(通奏低音を担当します)をするときは,そんなことを言ってられません。当然昔も事情は同じだったでしょうね。
「ボク,イ短調は得意だけど,ト短調の和音は知らないから弾けません」
なんて言ってたら商売になりません。
でもそうは言っても調性に対する得手不得手があるのは厳然たる事実なので,せめて得手不得手の傾向をヴァイオリンと同じにということで使われるようになったのが,テオルボとかバロックリュートの調弦なんでしょう。これが,1弦をソに合わせるルネサンスリュート式の調弦だと,♭系の調は得意でも♯系はだめです。これはヴァイオリンの傾向とは異なります。そこで一弦をラに合わせるとそれは解消します。
バロックリュートは1弦がラではありませんが,6弦はラです。でも2~4弦(コース)は1弦がソのルネサンスリュートと同じ調弦です。いわば♭系もシャープ系もなんでも来いのオールマイティ型です。はじめに「調性に対する適応性が高い」と書いたのはそういうことです。ヴァイスも当然バロックリュートで通奏低音していた訳で,もちろん「ト短調はだめです」なんて言ってた訳がありません。イ長調でもホ長調でも変ロ長調でもなんでもオーケーだったでしょう。
でも実は,バロックリュートにはすごく苦手な調が一つあります。それはロ短調です。♯2個です。同じ♯2個のニ長調は非常に明るく響きますが,ロ短調はだめです。まぁ,鬼門みたいなもんです。(笑)これは,BマイナーとBメイジャーの和音が非常に押さえにくいからなんです。同じ理由でホ短調も苦手な方です。
ヴァイスのソロ作品でロ短調はゼロ,ホ短調はト長調組曲の一部で一曲だけありますが,ホ短調組曲というのはありません。イ短調の曲で途中で転調してホ短調になってくるとBのコードが出てきますが,上手く音型を工夫してバスを弾くのに負担がないようにしている(ごまかしている?)曲すらあります。
もっともBのコードを弾く解決策は実はありまして通奏低音で4ポジションをバレ(人差し指で何本かの弦をバッと押さえる)をして7弦(コース)を押さえたらそんなに問題はありません。でも音が暗くなるので,ソロでは使わなかったということなんでしょうね。当然通奏低音でロ短調がだめですなんて言ってられなかったでしょうから,いろんな方法を使ってやってたんだとは思います。それにしてもフラットがいっぱいつく変ロ短調の曲があるというのに,シャープがたった2つのロ短調の組曲がヴァイスに一つも残っていないというのも何か不思議な感じもしますね。