リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

弦を替える

2006年02月14日 00時13分58秒 | 音楽系
月末と来月はじめにあるコンサートのためにバロックリュートの弦を替えました。
全部替えるのは,何と去年の6月以来です。1,2コースは結構頻繁に替えますが,他の弦はそんなにへたるものではないので,めったに替えません。チェンバロだってコンサートの前に全部弦を張り替えないのと同じことですね。

しかしいつも思うのは,ナイロン弦やナイルガット弦の細い弦の精度の悪さです。今回も3コースは結局2本まともなのが揃わず,ゴミ箱にすててあった古い弦を使いました。3コースは4本捨てました。モッタイナイですね。

1コースは運良く2本目で当たり,2コースも3本目で当たりでした。といっても70点くらいの弦ですけどね。一旦捨てた古い3コース用の弦は,これはなかなかで,完璧です。

どこがいけない弦かというと,音程の悪い弦はもちろん論外。あと,弦をはじいた直後に振動が不安定で音程がゆれる弦がとても多いんです。今回すてた弦は全てこのパターンの弦です。リュートの弦って,意外と早く減衰しますから,1秒ちょっと音程の揺れがあれば,もうその弦は調弦が不可能です。ダブルで張るコースなら,2本の弦の音程一致点がないということです。

この点に関して,K社もA社もP社もどっこいどっこい。K社のガット弦はすばらしい精度なのに,事細いナイロン弦になるとぐっと精度が落ちます。ホントはメーカーでちゃんと検査して,だめなのははねてくれないとだめなんですけどね。リュート弦ってもうからないから,不良基準の敷居を低くしているんじゃないかと思います。

この不良弦のお陰で,弦を交換するのがほんとに手間です。もっとお金をはらっていいですから,100%正確な弦がほしいですね。そういや,若い頃ギターを弾いていたときも,いつも3セットくらい買ってその中から1セット取っていたことを思い出しました。あのころのO社の弦ってすごく不良品が多かったですけど,今はどうなんだろ?

今回みたいに5本も買って,いいのが2本取れないということもあると,大変困ります。太い弦や巻き弦はあまり問題はないのですけどね。こういうことがあると,精度抜群のK社のガット弦にしようかという誘惑も出てきますが,ガットは値段が高いし持ちが悪いので現代のコンサートには不向き。やはり各メーカーさんに安くていいナイロン弦を期待するしかないです。