リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

8枚組

2006年12月03日 20時50分52秒 | 音楽系

ギターショップ、ミューズのYさんとお昼を一緒にしました。

「・・・ジュリアーニはウィーンで活動した人だから、当然ドイツ語しゃべって仕事してたんだよ」と私。
「ほー、なんかそれは意外な話だな。何かイタリア語って感じがしてたけど」
「彼は、グーテンターク、の世界だね。それに対してカルリはパリで活動していたから彼は、フランス語、ボンジュール マドモァゼルなんだよね」
「なるほど、まるで見てきたみたいなこというね」
「うん、まぁね。ところで、例のカルリの8枚組のCDってまだ残ってる?」
「ああ、あれね。まだあるよ」
「おれ、珍品CD集めてるから、なんなら・・・」

その8枚組CDとは、もうかなり前にミューズに2セット入荷したんですけど、ずっと売れ残っていて少し気になっていたCDです。
結局、話のついでで、そのカルリの8枚組CD買ってしまいました。

一応昔ギターをやってたので、(でもギターだけをやってたのは5年くらいで、リュートを平行してやっていた時期を含めても8年くらいです)それなりにギターの古典の曲のことは知ってます。ジュリアーニというのは前のニューヨーク市長ではなく、ベートーベンと同時代人でウィーンで活動してたギタリスト。カルリもほぼ同時代人ですが、パリで活動してた人です。いずれも沢山の作品が残されていますが、ま、2級というかB級品ばっかしです。(ジュリアーニ、カルリファンの方、ごめんなさい)

でも、私個人的には結構好きなんですよ。特にカルリはジュリアーニよりさらに2級度が高い(要するに三流ということですね)と思うんですが、モーツアルト亜流作品を書きまくって、パリのサロンを渡り歩いていた彼の音楽家生活が見えてきてすごくいいんですよね。で、その8枚組CDですが、ギターとピアノ(フォルテピアノ)のための全作品集です。こういうのって一枚はずれだったとすると、残り7枚は当然はずれでしょうから、リスキーなんですよね。でも買ってしまいましたからねぇ。

今4枚目まで聴いてるんですけど、ギタリストさん、オリジナル楽器を使ってるそうですけど、音が汚いし、うーん、ま、要するにイマイチというか・・・ピアニストさんもオリジナルのフォルテピアノを使用ですが、大体同じ程度で、8枚分量産録音したって感じです。でも何か結構楽しいですよ。曲も罪がなくて。当時のパリの人もひょっとして同じような感想を持ったのかも。でなければ、カルリが作品300番台まで出版できた訳がないですからね。ひょっとしたら、彼って当時は今で考えられているより遙かに人気があったのかも知れません。決して上手いとは言えない演奏から、彼の人気の片鱗が垣間見えた感じでした。こういうのって好きなんですよ。(笑)