リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

You Tube

2006年12月04日 21時40分15秒 | 音楽系
You Tubeにあったホピーのビデオまだあるかなと思ってアクセスしたら、
This video has been removed due to terms of use violation.だって。
リュートを弾いていただけのビデオだからそんなはずはないんだけどなぁ。(笑)
このビデオクリップは知り合いに教えてもらって見てみたんですが、割と最近のお姿でした。私は見ることができなかったんですが、バーゼルにいたときフランスのテレビ局が放送した番組で彼が演奏したことがありました。そのときの録画だったのかもしれません。
You Tubeにはいろんなビデオクリップがありましたけど、シロウトが自分の部屋で弾いている式のものはいいとしても、有名な演奏家のものを出すのはいけないと思いますね。タダで色んなものを見られるのは、確かに魅力的なんでしょうけど、これはあくまで供給するものがあるという前提に立ってるんですよね。私は、著作権がいつまでも生きている(作者死後50年後とか70年後まで)というのには反対なんですけど、著作権者が生きているときに、勝手に映像とか録音が流通するのは、ひどい話です。

いつまでも著作権が生きていると、超有名でない人の著作物は70年間まったく演奏されることなく(音楽の場合ですね)、従ってその後も演奏されず結局埋もれてしまうかも知れません。また著作権者の権利を踏みにじるような流通(ネットを通じてとか、中古品でとか)がずっと続けば、創造的活動に携わる人の生活が全くなりたたなくなり、世の中全体として芸術というものは消滅いく方向に向かうかもしれません。

ここ何年かくらいなら別に大きな変化はないとは思いますが、こういう状況が例えば50年とか100年という単位で続いたなら、気がついたときには何も価値のある創造作品なくなっていた、ということになるに違いありません。創造的活動って、昔からずっとそうですが、基本的に現代の資本主義的活動になじむものではありません。要するに金はかかるし、儲からん、ってヤツです。誰かが保護したりみんなが少しずつお金を出し合うなりして支えないと消え去ってしまいます。

二級品はそうやってなくなって、いいのだけ残ればいいんさ、なんておっしゃる方もいそうですけど、世の中そんなもんではありませんよ。(笑)一流の芸術は99%のクズみたいなわけのわからないゲイジツ品に支えられているんですから。カスあっての一流品です。

前回のリサイタルのときに、録音禁止にもかかわらず果敢に録音に挑戦し、ご丁寧に録音したものを私のところまで持ってきて頂いた方がいましたが、こういう方が何でもコピーしまくるんでしょうねぇ。(ちなみにこの御仁はことある毎に勝手に録音してしまう困った方でした)

やっぱりタダはいけません。創る方は、普通の人よりずっと恵まれた才能でもって(多分)かつ相当の努力をしているわけですから、その対価は払うべきですね。対価を払わない状況が続けば、やがては対価を払うべきものが存在しなくなります。でもそうなるにはかなりの時間を要するでしょうから、現時点では気がつかないのです。でもそうなってからでは遅すぎです。(作者死後の)著作権保護にしてもそうですが、どうも現代は肝心のクリエーターが無視されてる感じ。

作者が死んだら著作権保護はおしまい、でも生きてる間はどんなことでもちゃんと対価を払う、コピーとかコピーが流通しやすい環境を作らない、こういう単純な感じでいいような感じもするんですけど、カオスと化してしまっている現代ではそうもいかんのだろうなぁ。