リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

桑名六華苑コンサート

2008年10月13日 01時18分55秒 | 音楽系
今日は桑名六華苑で「バロック音楽イン・オータム」と題し、ビアンカ・ローザ(ソプラノ:加藤佳代子、リコーダー:錦万智子、リュート:中川)がコンサートを行いました。六華苑は桑名の豪商諸戸氏の邸宅を桑名市がゆずりうけ、一般に公開しています。帝国ホテルも設計したジョサイア・コンドルの作品で、西洋式の塔が経っている建物に和式の建物が直結しているという特徴的なものです。洋風建築と和風建築の合体はとても珍しく、重要文化財に指定されています。コンサートの会場になるのは、洋風の建物のロビーで非常に音響も雰囲気もいい場所で、古楽器の演奏には最適です。




六華苑で古楽系のコンサートを行うのは今年になって2回目です。第1回目は5月に行われ、私がバロック・リュートを演奏しました。このときはよく晴れて空気も乾燥していて気温も適温、最高の条件でした。今日のコンディションも5月と勝るとも劣らないくらい良かったです。もうこれで雨男は返上かも。(笑)


洋風建築ロビーから和風建築棟を見たところ


プログラムは次の通りです。

ゲオルク・フィリップ・テレマン作曲 カンタータ41番より
                  アリア「全ての創造物の支配者よ」

アダム・クリーガー作曲 恋の炎とはうらはらな気持ち
            ラインワインはとてもうまく踊る
            
作者不詳 聖ポール教会の尖塔
     ジョニー・コック・ザイ・ビーバー

作者不詳(中川祥治編曲) 竹田の子守唄

ヨハン・フィリップ・クリーガー作曲 愛しい人
                  孤独に寄せて


今回はアダム・クリーガーとヨハン・フィリップ・クリーガーの作品を「新規開発」したのが目を引きます。(というか目を引いて欲しいです(笑))この二人は血縁関係はないみたいです。彼らの作品はほとんど演奏されることがないと思いますが、なかなかいい曲を書いてます。一番最後に演奏した、ヨハン・フィリップ・クリーガーの「孤独に寄せて」を聴いて、今日のコンサートに来てらしたある方は感動して涙ウルウルでした。現代ではあまり日のあたらないクリーガーさんもさぞお喜びでしょう。(笑)

この曲は低音の主題が何度も繰り返され、メロディーはいろいろ変化していく、いわゆるバッソ・オスティナートという形で書かれています。もともとはソプラノと通奏低音のために書かれていますが、リコーダーの対旋律パートを私が書いてみました。実はリコーダーのパートを書き加えるつもりは全くなかったんですが、リハーサルの時、少し思い浮かんだメロディを口ずさんでリコーダーの錦さんに演奏してもらったらなかなかいいので、次も次もってやっているうちに結局全部作ってしまいました。ま、リハーサルのときの勢いがあったから書けた感じがします。ひとりでやっていたら多分書けなかったと思いますねぇ。ビアンカ・ローザのメンバーに感謝です。

桑名六華苑のコンサート、本年度は2回で終わりです。一昨年からここで演奏をさせてもらっていますが、今後定着してみなさんにもっとバロック音楽を楽しんでもらえたらと思っています。