リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュートの調弦の仕方(11)

2023年10月03日 20時38分57秒 | 音楽系
リュートの調弦シリーズで、ずっとバロック・リュートについて書いてきましたが、ルネサンス・リュートの場合はどうするのかを書いてみたいと思います。

実は基本的な考え方は全く同じです。しかしバロック・リュートは4度の音程を決定するのが一箇所しかありませんが、ルネサンスの場合は5-6コース間、4-5コース間、2-3コース間、1-2コース間と4箇所もあります。

これらの4箇所の4度を気持ち高くなるように5フレットを設定します。5フレットと開放弦で合わせる方法がオーソドックスで確実でしょうけど、私の場合は開放弦で2つのコースを鳴らしてみて、「なんとか許容できうる4度音」に合わせるようにしています。当然こちらの方が早いです。

この「なんとか許容できる」分を集めると、3-4コースの長3度が平均律より狭い=よりきれいな長3度になります。

合わせる順は3コースのラをチューナーで取って、2コースを「なんとか許容できうる4度音」=平均律より気持ち広めに合わせます。1コースも同様です。

次に1コースと6コースのオクターブをぴったりに合わせます。ここはぴったりでないといけません。

そして6-5コース間を「なんとか許容できうる4度音」に、次に5-4間も「なんとか許容できうる4度音」にします。

ここで3-4コース間の長3度音程を聴いてみます。平均律より狭くなっているはずですが、きれいすぎる=純正の長3度に近くなっているのはいけません。そこそこきれいな感じになっていることが肝要です。